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復活アニメの「声優交代」は是か非か? たった5年で新作キャスト変更の「納得いかない」例も

マグミクス / 2022年12月6日 19時10分

復活アニメの「声優交代」は是か非か? たった5年で新作キャスト変更の「納得いかない」例も

■声優の交代は昔からあった? ルーツを探る

 近年、過去の人気作品の再アニメ化が増えてきています。喜ぶファンも多い過去人気作の再アニメ化ですが、その賛否が分かれることがありました。それが声優の交代問題です。理由は作品によってさまざまですが、もっとも多い理由は時間が経過したことでしょう。はたして、声優交代問題はどれくらい前からあったのでしょうか?

 アニメで声優が交代した作品といって、筆者が最初に思い出したのが『サイボーグ009』でした。『009』が最初にアニメ化されたのは1966年7月21日公開の劇場版。1時間ほどの作品でした。この後、人気があったことから劇場版第2弾『サイボーグ009 怪獣戦争』が1967年3月19日に公開されます。

 そして1968年4月5日からTVアニメとして放送されました。このTVアニメから一部の声優が変更されました。これがもっとも初期の声優交代になるでしょう。とはいえ、この頃は「声優」という呼称も一般的ではなく、それほど大きな問題にはなっていないようです。

 同じく東映動画(現在の東映アニメーション)制作のTVアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』第1作は1968年1月3日から1969年3月30日まで放送され、第2作は1971年10月7日から1972年9月28日まで放送されました。

 ここではメインの鬼太郎、目玉おやじ、ねずみ男のキャストは続投しましたが、「鬼太郎ファミリー」と呼ばれる仲間妖怪のほとんどは変更されています。そして、後に放送された第3作では目玉おやじ以外はキャストが一新されました。以降は新作が製作されるたびに、キャストが一新されるのが通例となっています。

 これは鬼太郎役を変えることで世界観を一新するという意味もあるのかもしれません。実は第2作は第1作とつながった続編になっていて、原作が同じ物語は第1作と第2作では製作されていないからです。他シリーズは世界観を一新することで新作としてリメイクし、ぬらりひょんやバックベアードといった敵妖怪と過去の因縁もなく戦っていました。

 また、厳密には声優交代というほどのことではありませんが、この当時は作品に登場するたびに担当声優が変わるキャラも珍しくなく、それだけおおらかな時代だったということになるかもしれません。

 前述した『009』は、1979年3月6日から1980年3月25日にもTV版2作目として製作されています。この時は完全にキャストが一新されました。このシリーズは人気も高かったことから、放送終了後に劇場版『サイボーグ009 超銀河伝説』が、1980年12月20日に公開されています。

 この劇場版の際、ファン投票を参考にメインキャストを決めるという企画がありました。大方のキャストはTV版第2作の声優でしたが、一部は旧シリーズからの担当声優も選ばれていました。

 おそらくこのファン投票が、日本アニメ史上、最初の声優交代に関するファンの意見だったのかもしれません。当時はアニメ雑誌の創刊ラッシュだったこともあり、ファンの意見が表に出るようになったのは時代の流れでもありました。

■なかには納得がいかない、不可解な声優変更もあった

オリジナルキャスト続投、さらにEDテーマは「Get Wild」という徹底ぶりで話題! 2023年公開予定の『劇場版シティーハンター』原作・北条司描き下ろし第1弾キービジュアル -The Final Chapter Begins.- (C)北条司/コアミックス・「2023 劇場版シティーハンター」製作委員会

 前述したように、時間経過や制作会社が変わることで、担当声優が変更されることは珍しいことではありません。ただ、なかには首をかしげる声優変更もありました。

 そのひとつが『トランスフォーマー ザ☆ヘッドマスターズ』(1987年7月3日~1988年3月28日)です。前作『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー2010』(1986年11月14日~1987年6月26日)は海外作品で、『ヘッドマスターズ』からは国内主導で製作された作品ということが要因でしょう。

 一応、ほとんどのメインキャスト声優が続投していましたが、逆にそこで一定の線引きが見えてしまいファンは残念な気持ちになったことは確かです。ただし以降の作品で再登場した際は、ほとんど変更がありませんでした。

 筆者が当時、一番衝撃を受けたのが『キン肉マン』(1983年4月3日~1986年10月1日)の続編『キン肉星王位争奪編』(1991年10月6日~1992年9月27日)での声優変更でした。なぜなら、5年しか経っていないのにキン肉マンとミート君以外のキャスティングが一新されたからです。

 それも普通に声優変更されたなら納得もいくのですが、かつて主要キャラを演じていた声優がまったく別の役にキャスティングされていました。前作でバッファローマンなどを演じていた佐藤正治さんが、続編ではマンモスマンを演じているのです。ここまではいいのですが、作中でマンモスマンはバッファローマンと戦いました。この時、バッファローマンの担当声優は松田重治さん。おかげでふたりの戦いを見て、脳内パニックを起こしたのは筆者だけでないと思っています。

 ちなみに、この続編である『キン肉マンII世』(2002年1月9日~12月25日)では、一部の初代声優陣がかつて演じていたキャラに復帰していました。しかし、逆にキン肉マンとミート君は変更されています。

 こうして過去の例を振り返ってみても、声優変更には一定の法則はあまり感じられません。おそらく、その時のスタッフの考え方が大きく左右するのでしょう。それでもスタッフから無言のメッセージと言えるような起用も、最近は見られるようになりました。

 たとえば旧作で演じていた声優をあえて別なキャラのレギュラーとして起用して、リスペクトを示すことです。こういった手法が話題にもなりますし、ファンにとっては一定の理解が得られる起用になると考えられるでしょう。

 逆にあえて時間が経過してもキャストを変えないという選択もありました。最近、発表された2023年公開の劇場版『シティーハンター』では、変わらないオリジナル声優陣の起用が発表されて話題になっています。しかも、エンディング曲はTM NETWORK の「Get Wild」という徹底ぶり。時代が変わっても、あえて変えないという意思がくみ取れます。

 どれだけ時間が経過しても声優を変えない。時代に合わせてベストの声優で作品を作る。……正解のない問答だと思います。あえて言うならば、変えないことでかつてのファンに喜んでもらうか、時代に合わせることで新たなファン層を獲得するかということでしょうか?

 スタンスは人それぞれですが、筆者は出された作品を存分に楽しめるよう、どちらで来ても対応しようと考えています。

(加々美利治)

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