1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. アニメ・コミック

当時は見る手段が限られた、2002年放送の隠れた傑作アニメ 富野監督作品が「思ったのと違う」

マグミクス / 2022年12月9日 6時25分

当時は見る手段が限られた、2002年放送の隠れた傑作アニメ 富野監督作品が「思ったのと違う」

 今から20年前の2002年も、数多くのアニメが放送されファンを楽しませていました。これまであまり取り上げられることのなかった傑作として、富野由悠季監督が手掛けた作品や、バレエをテーマとした幻想的な作品をご紹介します。

●『OVERMANキングゲイナー』

『OVERMANキングゲイナー』は2002年9月から2003年3月までWOWOWで放送された富野由悠季監督のロボットアニメです。全26話。

 地球環境が悪化した近未来、人類はドームポリスと呼ばれる都市での生活を強いられていました。しかし自然環境は徐々に回復しつつあり、抑圧的なドームポリスでの生活を嫌った民衆はより良い環境を目指し移住を図る「エクソダス」を試みるようになっていました。しかし、ドームポリスの運営により利益を得ていた行政府はエクソダスを嫌い、妨害行為を行なっていたのです。

 エクソダスがらみのトラブルで両親を殺された少年・ゲイナーは自宅に引きこもり、ゲームに熱中する日々を送っていました。しかし、身に覚えのないエクソダスへの共謀罪により囚われてしまいます。地下牢へと放り込まれたゲイナーはゲインという名の青年と出会い、脱獄を図ります。首尾よく脱出したゲイナーは支配者である公爵秘蔵のロボット「オーバーマン」を起動し「キングゲイナー」と名付け、密かに計画されていたエクソダスに参加、戦いの日々へと身を投じるのでした。

 本作で何よりも話題となったのが、オープニングテーマの「キングゲイナー・オーバー!」です。作詞を井荻麟(富野由悠季)、作曲・編曲を田中公平氏、歌を福山芳樹氏と当時最高のメンバーで作り上げられたアップテンポな曲は、アニメソングとして極めて高いクオリティに仕上がっています。また、キャラクターやオーバーマンがひたすらモンキーダンスを踊るなど、前衛的な演出は、当時の視聴者の度肝を抜きました。

 ストーリー全体を統括するシリーズ構成は大河内一楼氏。現在『機動戦士ガンダム 水星の魔女』でらつ腕を振るっていますが、『キングゲイナー』の際はまだ脚本家としてのキャリアをスタートしたばかりでした。「人間地雷」のエピソードを提案して「これは違う」とたしなめられたり、前半と後半に戦闘シーンを入れるのが基本だったため脚本の密度とスピード感が鍛えられたりしたと語っています。『キングゲイナー』は今なお、近年の作品に影響を与え続けている物語なのです。

■当時は見ることが難しかった、価値あるアニメ

『プリンセスチュチュ 全曲集 ~Volle(フォレ) Musiksammlung(ムズィークザムルング)~』(キングレコード)

●『プリンセスチュチュ』

『プリンセスチュチュ』は2002年8月から2003年5月にかけて放送された、バレエをテーマに作られたアニメです。全26話。『美少女戦士セーラームーン』シリーズで作画監督やキャラクターデザインを担当した伊藤郁子氏が原案を手掛けており、構想に10年以上という長い期間を経て、佐藤順一総監督の元でアニメ化されました。放送当時、全国規模での視聴方法はキッズステーションとAT-Xのみだったため見るのは難しい作品でしたが、現在でも十分見る価値がある傑作です。

 金冠学園バレエ科に通うあひるは、バレエは好きだが下手でおっちょこちょいな、落ちこぼれの女の子。心を失っている憧れの先輩、みゅうとの役に立ちたいと願ってたあひるの元に、ある日謎の老人ドロッセルマイヤーが現れ、力を授けます。あひるはプリマバレリーナ「プリンセスチュチュ」に変身し、みゅうとが失った心のかけらを集め始めるのでした。

 しかしみゅうとの親友であるふぁきあや、ガールフレンドのるうはなぜかみゅうとが心を取り戻すことを拒否し、あひるの妨害を開始します。あひるが抱える秘密が徐々に明らかになっていくなかで、ドロッセルマイヤーが紡いだ物語『王子と鴉』が目覚め、るうは用意された悪役「プリンセスクレール」としてあひるの前に立ちはだかります。

 戦いの果てに平穏な生活に戻ったあひるたちでしたが、みゅうとは邪悪な存在へと変貌しておりクレールと共に暗躍します。あひるは再びプリンセスチュチュとして、みゅうとに狙われた人びとを救い始めるのでした。

 本作はバレエとクラシック音楽が作中にふんだんに取り入れられており、物語の進行と使用されるBGMの音楽の意味が密接にからみ合っていることが大きな特徴となっています。アニメーション制作における大いなる挑戦が行われた作品であり、現在でもその価値は色あせません。

(早川清一朗)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください