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ジャンプ編集部「アニメ化はしない」主義を打ち破った! ヒット作連発の時代を作った立役者たち

マグミクス / 2022年12月16日 15時10分

ジャンプ編集部「アニメ化はしない」主義を打ち破った! ヒット作連発の時代を作った立役者たち

■かつて、「週刊少年ジャンプ」はアニメ化を避けていた時期があった

 1969年にアニメ化された『男一匹ガキ大将』(作:本宮ひろ志)以来、「週刊少年ジャンプ」原作のTVアニメは、日本人にとって日常の一部として存在し続けています。膨大な数の作品がアニメ化されているため、見ていた年代ごとにそれぞれ思い出の作品が存在しているのではないでしょうか。

 1999年にアニメ化された『ONE PIECE(ワンピース)』は2022年現在も放送が続けられており2021年には放送1000回を突破、2022年夏に公開された『ONE PIECE FILM RED』は興行収入171億円、観客動員数1231万人を記録し、「ジャンプ」看板作品としての存在感をまざまざと見せつけました。

 1986年にアニメ化された『ドラゴンボール』も2022年に劇場版『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』が公開されるなど、今なお人気に衰えなどみじんも見られません。

 近年も『鬼滅の刃』が記録的ヒットを飛ばし、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は興収400億円越えを達成。2022年秋クールには『SPY×FAMILY(スパイファミリー)』や『チェンソーマン』、『BLEACH』や『僕のヒーローアカデミア』も放送中で、「ジャンプ」原作アニメは日本のエンターテイメントのなかで最も重要な存在として位置づけられていると言っても過言ではありません。

 しかし、そんな「ジャンプ」の歴史のなかで、アニメ化が行われていない時期があります。1973年に『侍ジャイアンツ』(マンガ:井上コオ、原作:梶原一騎)がアニメ化されてから、実に7年半の間、空白期間があるのです。

 その理由はなぜか。それは「週刊少年ジャンプ」の3代目編集長、故・西村繁男氏がアニメ化に消極的だったためでした。

 西村氏は月2回発売だった「少年ジャンプ」創刊号から編集者を務めており、本宮ひろし氏を発掘するなどらつ腕を振るった人物です。その伝説はすべてを書き連ねると本が数冊でき上がるほどの分量になるため割愛させていただきますが、「週刊少年ジャンプ」の前に「少年ブック」という雑誌で編集者を務めた時期があり、川崎のぼる先生原作の『スカイヤーズ5』のアニメ化の際にTV局に振り回された経験などから、アニメ化を忌避するようになっていたのです。

■「ジャンプ」アニメ化の壁を破った、歴史的作品

歴史を塗り替えた『Dr.スランプ アラレちゃん』 (C)鳥山明/集英社・東映アニメーション

 また、西村氏はアニメを見ればストーリーが分かってしまうので読者離れが起こりかねない点、アニメ終了が原作の人気に影響を与えるのではないかという問題、編集者がアニメになりやすいジャンルを漫画家に強要する可能性など、さまざまな懸念を持っていたようです。

 現代であればアニメを見て原作を購入する人が増え、売り上げが上がるのは半ば常識化しています。しかし後の2点に関しては現実に存在している問題でもあり、アニメとマンガを軸にしたメディアミックス体制が強固に作り込まれていない1970年代であることを考えれば、西村氏の考えは正論と言えるでしょう。

 しかし人気のある原作をアニメ化したいと考えるのは、製作側の常でもあります。人気の高い「ジャンプ」作品をアニメ化したいと考える個人や組織は当然存在していましたが、原作サイドの許諾を得られずとん挫していました。その壁を打ち破ったのが、鳥山明先生の『Dr.スランプ』(アニメ化の際に『Dr.スランプ アラレちゃん』に改題)だったのです。

『Dr.スランプ』のアニメ化は当初テレビ朝日が東映動画に企画を要請する形でスタートしましたが、原作サイドの了承を得られずに断念することとなりました。しかし東映動画がフジテレビに企画を持ち込んだところ、当時フジテレビ編成局長、後に代表取締役社長・会長を歴任する日枝久氏をはじめとする幹部が熱心にジャンプ編集部へのオファーを続けたため、集英社の経営陣が集英社とフジテレビ全体の問題として西村氏を説得し、アニメ化を許諾することになりました。

 結果、『Dr.スランプ アラレちゃん』は空前の大ヒット。平均視聴率22.7%は「ジャンプ」アニメ歴代1位の視聴率であり、今なお破られてはいません。現代では視聴方法が多様化しているため、おそらく永久に破られることはないでしょう。関連商品の版権収入も莫大なものとなり、集英社にも大きな利益をもたらしました。

『アラレちゃん』の終了後は『ドラゴンボール』、その次は『ワンピース』と、「ジャンプ」アニメの人気長寿作品が生み出された背景には、断られながらもあきらめなかった東映動画と、熱心なオファーにより集英社の経営陣を動かしたフジテレビの熱意があったのです。

参考文献:さらば、わが青春の『少年ジャンプ』 著:西村繁男(幻冬舎文庫)

(早川清一朗)

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