「クリスマス回」が尋常じゃないアニメ3選 「トラウマ回すぎる」「何度見ても穏やかじゃない」

■「夢ある子供たちと一緒に見たらあかん」トンデモなクリスマス回で孤独もやわらぐ？

　恋人たちが心躍らせるイベント、クリスマス。街は電飾で美しく光り、「恋人と過ごせ」といった無言のプレッシャーをかけてくるようにも思えます。しかし、クリスマスは本来、イエス・キリストの誕生日を祝う日。アニメ好きなら、自分の好きなアニメを見てお祝いするのが筋というものです。この記事では、数あるアニメのなかでも「クリスマス回が尋常じゃない」作品を3つご紹介します。SNSでも「何度見ても穏やかじゃない」「ウワサには聞いていたけれど、神回」と評判です。

●『School Days』第12話「スクールデイズ」（最終話）

　高校1年生の伊藤誠（いとう・まこと／CV：平川大輔）は、毎日同じ電車に乗っている同級生・桂言葉（かつら・ことのは／CV：岡嶋妙）のことが気になっていました。そこで誠は、「好きな人の写真を待ち受けにして、3週間ばれなかったら恋が成就する」というおまじないを実行してみます。

　しかし、おまじないは隣の席のクラスメイト・西園寺世界（さいおんじ・せかい／CV：河原木志穂）にすぐばれてしまいます。世界は「手伝ってあげる」と、言葉を誠に紹介。誠は言葉に告白し、無事付き合うことになりました。しかし、浮かれた誠の日常は、それから大きく変わり始めて――？

『School Days』は同名ゲーム（開発・販売：有限会社スタック）を原作としたアニメで、主人公とヒロインふたりの、三角関係をメインとした物語です。性的な描写が多く、終盤に衝撃的な展開があることから、放送当時大きな話題となりました。クリスマスの夜、誠はそれまでの行いがたたったのか、世界にめった刺しにされて命を落とします。

　そもそも、言葉とも世界とも関係を持つだけでなく、クラスの女子たちとも手当たり次第に関係を持っていた誠。クリスマスに近づくにつれ、その浮気ぶりは加速していきます。そして、ついに世界から「来ないの……女の子の日」と言われ、世界を妊娠させていたことがわかるのです。

　クラスに世界の妊娠が知れ渡り、誠は誰に電話をかけてもつながらなくなってしまいます。「なんで俺、こんな目に……」とこぼす、まったく責任感のない誠。そんなとき、クリスマスイブに都合よく表れてくれた言葉に抱きつき、誠は世界を放置して言葉と食事をします。

「なんで子供なんて作ったんだよ！」と世界を電話で怒鳴りつけ、言葉を家に連れ込んだ誠。そして次の日、誠の家で話し合いをしようとした世界ですが、ゴミ箱に捨てられていた自分の手料理を見て、包丁を手に取ります。そのまま「ひどいよ！」と誠を何度も刺し、彼を殺してしまうのでした。

　あまりにショッキングなクリスマス回であるためか、一部アニメファンの間では有名な本作。ABEMAでは、クリスマスに本作を全話一挙放送するという、暴挙ともいえる企画を7年連続で実施しています。2022年も18：50から放送開始されます。

　聖夜だからこそ、ショッキングな作品で盛り上がるのもまた一興。ただし、刺激の強いシーンが多いため、ご視聴の際はご注意下さい。この作品は、「dアニメストア」「U-NEXT」「Amazonプライム・ビデオ」などで見ることができます。

●『銀魂』第200話「サンタクロースの赤は血の色」

　舞台は侍の国、江戸の街。20年前に突如舞い降りた「天人（あまんと）」が台頭し、廃刀令が敷かれたことで、侍は地位も誇りも失い衰退していました。そんななか、木刀を腰にぶら下げた銀髪の青年・坂田銀時（さかた・ぎんとき／CV：杉田智和）は、なんでも屋の「万事屋（よろずや）」を営んでいます。

　銀時と一緒に働くのは、剣術道場の息子である志村新八（しむら・しんぱち／CV：阪口大助）、戦闘民族「夜兎族」の少女・神楽（かぐら／CV：釘宮理恵）、ちょっと（？）大きい犬の定春（さだはる／CV：高橋美佳子）。万事屋舞い込むさまざまな依頼に、銀時たちは時に真面目に時に楽しく、立ち向かっていきます。

『銀魂』は同名マンガ（著：空知英秋／集英社）を原作としたアニメです。コミカルなドタバタ劇のなかに、たまに真面目なシリアスストーリーが挟まれますが、クリスマス回はもちろんコミカル寄り。第200話では、「サンタが来たことがない」と嘆く神楽を励ますため、たくさんのサンタ（身内）が現れます。

　サンタさんにクリスマスプレゼントをもらうため、毎朝おもちゃ屋さんのチラシをこれ見よがしに見る作戦を実行していた神楽。しかし、銀時からのプレゼントは「おもちゃ屋さんのチラシの寄せ集め」。それから1年が経ち、神楽は「サンタさんが来たことがない」と父・星海坊主（うみぼうず／CV：速水奨）に手紙を送ります。

　しかし、星海坊主からの返事は「仕事に忙しくて地球に行けそうにありません」というもの。落ち込む神楽を励まそうと、万事屋一同はクリスマスパーティー兼忘年会を開きます。そんな万事屋の庭には、サンタの格好をした星海坊主が。「メリークリスマス！」と現れたはいいものの、その隣には同じく、サンタの格好をした銀時が現れていたのです。

　無言でしばらく固まった結果、ふたりは本物のサンタの座をかけて殴りあうことに。しかし次々と、今度はサンタの格好をした柳生九兵衛（やぎゅう・きゅうべえ／CV：折笠富美子）や、「猿タクロース」こと近藤勲（こんどう・いさお／CV：千葉進歩）、プレゼントの袋に身を包んだ猿飛あやめ（さるとび・あやめ／CV：小林ゆう）まで現れる始末。こうして、仁義なきサンタクロース決定戦が開催されたのでした。

　もはや、サンタの定義も全く無視されるなかで、それぞれが私利私欲のためにサンタになろうとする第200話。しかもこの話は次回まで続き、出口の見えない死闘が繰り広げられます。クリスマス感はあってないような回ですが、あまりの関係なさに笑えるクリスマス回です。なお、第37話や第137話では、銀時が本物のサンタにそり（？）を貸すクリスマス回が楽しめます。この作品は、「dアニメストア」「Netflix」「U-NEXT」などで見ることができます。

●『アイカツ！』第12話「We wish you a merry Christmas！」ほか

　現役アイドルばかりを生徒に持つ、アイドル養成の名門校・スターライト学園。生徒たちはダンスや歌のレッスンを受けながら、「アイカツ！カード」を使って衣装やステージのセルフプロデュースを学びます。

　クリスマスイブのパーティーの実行委員に立候補した星宮いちご（ほしみや・いちご／CV：諸星すみれ）は、クラスメイトの中山ユナ（なかやま・ゆな／CV：雨宮天）が落ち込んでいるところを見かけます。「アメリカにいるパパとママに会えない」と、さみしそうにしているユナに、いちごは「私たちに任せといて！」とウインクして――？

『アイカツ！』は、同名のデータカードダスを原作・原案としたアニメです。『アイカツスターズ！』『アイカツフレンズ！』などシリーズ作品も制作されており、2022年でアニメ放送開始から10周年を迎えます。そんな「アイカツ！」シリーズには、クリスマス回で「アイドルが巨大なもみの木を斧で伐採し、ツリーにする」という伝統があります。

「アイドル×斧」という謎の伝統が始まったのは、シリーズ第1期の『アイカツ！』第12話。ユナを励ますため、いちごはユナに大きなクリスマスツリーを見せようと張り切ります。そして、ミニスカートの制服のままコートも羽織らず、斧を片手に雪山へ。

　もはや吹雪のような悪天候のなか、道なき道をかきわけて進むいちごたち。見上げるような大木を見つけ、いちごは「じゃあ、いくよ！」と斧でフルスイングします。4人のアイドルが交代で斧を振り続け、しまいには「アイ！カツ！アイ！カツ！（「アイドル活動」の意）」と掛け声をかけながら、のこぎりで仕上げに入ります。

　手伝う紫吹蘭（しぶき・らん／CV：大橋彩香）たちも、「これ、アイカツか……？」とツッコミながら、いちごの伐採を見守ります。最後は全員でロープをかけた木を引っ張り、無事に切断。巨大すぎる木の運搬手段に悩む一行でしたが、もみの木にまたがり、そりのようにして雪山を滑り降りるというダイナミックな方法で、学園へと木を持ち帰ったのでした。

　最初から最後まで女児アニメらしからぬ展開を見せた、伝説の第12話。以降「アイカツ！」シリーズのクリスマス回では、もみの木の伐採が「伝統」として受け継がれていきます。普通に伐採する回もあれば、伐採しきれずチェーンソーでことなきを得る回も。斧ではなく、正拳突きと日本刀のダブル攻撃で伐採する回すらあります。

　なお、第12話の伐採の様子は、作中のTVや街頭スクリーンでも放映されており、「この姿に憧れて学園に入りました！」という後輩まで出現。まさに「尋常じゃない」クリスマス回を世に放った、王道（？）女児アニメです。この作品は、「dアニメストア」「U-NEXT」「バンダイチャンネル」などで見ることができます。

＊　＊　＊

　クリスマスは、恋人たちだけのものではありません。ごちそうを食べながら、尋常じゃない「クリスマス回」を制覇すれば、誰よりも充実したクリスマスを過ごせるでしょう。

※配信状況は記事掲載時点のものです。

（新美友那）