実写『サザエさん』歴代キャストで「最強の磯野家」を作ってみた結果

■名優からコメディアンまで勢揃い！

　国民的人気アニメ『サザエさん』（原作：長谷川町子）は、1948年に東屋トン子さん主演で『サザエさん 七転八起の巻』が作られて以降、アニメ放送開始前から何度も実写化されてきました。

　2019年に放送された「本編の20年後」を描いたドラマ『磯野家の人々～20年後のサザエさん～』で、天海祐希さんが44歳のサザエさんを演じたほか、西島秀俊さん（マスオ）や伊武雅刀さん（波平）、濱田岳さん（カツオ）、松岡茉優さん（ワカメ）など豪華キャストが集結したことも記憶に新しいですが、その他の歴代実写キャストも超豪華な顔ぶれです。今回は特に濃い面々を組み合わせて、「最強の磯野家」を作ってみたいと思います。

※何度か舞台化もされていますが、より多くの人が見ている映画、ドラマ版から選出します。

　まず、主役は2009～13年に定期的に放送されたドラマ『サザエさん』で、サザエさんを好演した観月ありささんを選出しました。明るくておっちょこちょいな、愛されキャラのサザエさんは『ナースのお仕事』のイメージも強い観月さんにぴったりで、チャーミングな演技が多くの人の心に残っています。チャーミングといえば、1992～96年のドラマでサザエさんを演じた浅野温子さんも、見事なコメディエンヌっぷりでした。

　サザエさんの夫・マスオさん役には、前述の浅野温子さんと最強タッグを組んだ宅麻伸さんを選びましょう。ドラマ『課長島耕作』の島耕作役など、ダンディーで優しげなイメージがある宅麻さんですが、マスオさんのようなコミカルな役も演じていました。ネットでも「浅野温子と宅麻伸の組み合わせが濃すぎて記憶に残ってる」「黒縁メガネでかっこいいマスオさん」と、今もイメージが強いようです。優しい雰囲気でいうと、観月さん版で同役を演じた筒井道隆さんと通ずる部分があります。

　磯野家の大黒柱・波平は、星野知子さん版（1981～85年のドラマ）の小林亜星さんも捨てがたいですが、こちらも浅野さん版のいかりや長介さんが、髪型込みでぴったりです。サザエさんが実写化するたびに、ネット上で「また見たい！」と声が上がるハマり役でした。フネ役の吉行和子さんとの空気感も、「アニメから出てきたみたい」と評判で、いかりやさんの代表作のひとつと言えます。

　前述の吉行さんのほか、竹下景子さん（観月さん版）、市毛良枝さん（天海さん版）ら、大女優が演じてきたフネですが、ここは星野さん版の乙羽信子さんを選びましょう。新藤兼人監督の作品で世界的評価を受けていた名女優が演じるフネは、記憶に残っている人も多いようです。81年から85年に定期的にドラマが放送されていた間に、乙羽さんがヒロイン・おしんの老年期を演じた大ヒット朝ドラ『おしん』（84年）が挟まれたため、「当時ギャップに驚いた」という人もいました。

　ノリスケさん役には、ミュージカル調の江利チエミさん版（1956年から続いた映画シリーズ）に出演した、仲代達矢さんを選ぶしかないでしょう。若き日のレジェンド俳優が演じるノリスケさんは意外過ぎて、いい意味で想像できませんよね。その後、黒澤明監督の映画でメインを張るとは思えない弱気な役ですが、驚いた顔の面白さはさすが名優です。ノリスケは、ほかにも星野さん版の五木ひろしさんや、浅野さん版の布施博さん、観月さん版の田中裕二さんなど、幅広いキャストが起用されてきました。妻のタイコさんには、浅野さん版の国生さゆりさんもいますが、意外性を加味して星野さん版の片平なぎささんを推したいと思います。

　実写になると、どうしても大人キャスト中心に濃くなってしまう傾向がありますが、子役時代の松島トモ子さんが演じたワカメちゃん（江利さん版）も、「びっくりするくらいかわいい」「江利チエミさんに負けないくらい歌うまい」と人気です。また、勝俣州和さんが演じた「サブちゃん」こと三河屋のサブロウ（観月さん版および天海さん版）、格闘家の武蔵さんが演じた穴子さん（観月さん版）など、各実写版に豪華で忘れがたいキャストが集っていました。

　それ以外にも舞台、CMといろんな俳優、タレントが磯野家やその周りの人々を演じており、実写『サザエさん』のメンバーに選ばれるのは、ひとつのステータスと言えそうです。今後はどんな豪華キャストが、サザエさんたちを演じるのでしょうか。

（椎崎麗）