1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. アニメ・コミック

『ガンダム』アムロの戦闘服、本編とOPで「色が違う」のはナゼ?

マグミクス / 2022年12月17日 6時10分

『ガンダム』アムロの戦闘服、本編とOPで「色が違う」のはナゼ?

■「色が違う」納得の理由

 SNS等で、『機動戦士ガンダム』のオープニングに登場する主人公アムロの宇宙用戦闘服の色が作品内と違うのはなぜか? という話題を見かけますが、皆さんはお気づきだったでしょうか? さらに、「それは、作品内と同じ白だと、字幕の文字が重なって見えなくなるから」という解答を見かけます。

 それに対しての異論もみかけますが、これは正しい解答です。白地に白い文字では見えにくいので、ここだけ、あえて違う色にしてあるのです。それ以上でも以下でもありません(ちなみに、この青い宇宙用戦闘服は、後に登場するスレッガー中尉も32話から着用しています)。

 以前このコラムでご紹介した「シャアザクがピンクである理由」(※)と同じで、これはアニメーションに登場するキャラクターのコスチュームや背景などの色は、単にイメージだけで決めているわけではないという、わかりやすい例かもしれません。少なくとも、字幕のことを考慮すれば、白い戦闘服はあまり「向き」ではなかったということがわかります。

※2022年9月10日マグミクス掲載記事:『ガンダム』シャアのMSがピンクなのはナゼ? 都市伝説「絵の具が余ったから」はホント?』

 では、なんでアニメのオープニングやエンディングに限らず、TVや映画の字幕はどれも「白」なのでしょうか。

 もちろん白が100%ではありませんし、作品によっては黒など例外もあります。しかし、圧倒的に白である場合が多いのはお分かりだと思います。この理由も実は「色の特性」によるものなのです。

 TVも映画も、映像というのは「光」です。かつての映画やアニメはフィルムだったわけですが、フィルム映像とは、フィルムに光を当てて透過した光をスクリーンに映したものです。

 一方、TV画面は、ご存じの通りスマホやパソコン同様「モニタ」ですので、モニタ内の三原色発光ドットを組み合わせることによって表示しています。光は赤、緑、青(RGB
)の三原色全てが合わさると、色のない光そのもの、つまり人の目には「白」に見えます(モニタ上の黒は、発光を止めモニタの地色を見せることで表現されています)。

 いわば、映像における白は「色」ではない光そのものなので、どんな色にも埋もれません。それに白はどの色よりも明度が高く、人の目には強く映るので、大変見分けやすいのです。

 かつてのアニメの字幕は、セル(透明のプラスチック系樹脂の薄い板)に、専用の白い絵の具を使って手書きしたものを撮影し、事前に撮影してある画面に合成することで作られていました。

 専門的な話になってしまうため、ここでの説明は省きますが、ところがフィルム合成における特性で、フィルム上の「白」には合成が出来ないのです。当然、白い文字も合成出来ませんから、元画面には何か別の色が必要で、それがあの「青」というわけです。

 しかし、やがてこの字幕も、ビデオ処理やデジタル処理で映像に直接打ち込めるようになり、今では白い文字だけが書かれた手書き文字のセルもなくなってしまいました。

 ちなみに、字幕文字を専門に製作していたのは、スタッフタイトルの中に「タイトル」という名称で記載されている人々(もしくは会社名)です。

 セル書きの時代は、主にエンディングなどで紹介される声優さんや、作画、仕上げ、背景などのスタッフ名も、新たなメンバーが加わったりするたびに彼らが文字を書き加えたり、別のものを作ったりしていたわけです。

 当然、画面1枚に書ける文字数も限られます。私の現場時代の記憶でも、作品によって一画面内の行数しばりがあり「外注の作画さんで載せられるのは3人まで」などの制約のために、参加していただいているのに、画面でご紹介出来なかった方はたくさんいらっしゃるのです。

 それがデジタルになった今では、とても読み切れないほどのスタッフタイトルを掲載したエンディングも、文字に色を付けることも、エフェクト処理を加えたような凝ったものも可能です。ただ、その分、文字が読みにくいなぁ、と、ときおり思うこともあります。

 TVアニメは、視聴者に楽しんでもらうことが何より大事です。オープニングの青い戦闘服のアムロの画面には、主題歌の歌詞が映っています。ここには、視聴者であるはずの子供たちにガンダムの歌を覚えてもらい、一緒に歌って欲しいという当時の作り手たちの想いが現れているのだ、と想像していただけたら……と思います。

【著者プロフィール】
風間洋(河原よしえ)
1975年よりアニメ制作会社サンライズ(現・バンダイナムコフィルムワークス)の『勇者ライディーン』(東北新社)制作スタジオに学生バイトで所属。卒業後、正規所属にて『無敵超人ザンボット3』等の設定助手、『最強ロボ ダイオージャ』『戦闘メカ ザブングル』『聖戦士ダンバイン』『巨神ゴーグ』等の文芸設定制作、『重戦機エルガイム』では「河原よしえ」名で脚本参加。『機甲戦記ドラグナー』『魔神英雄伝ワタル』『鎧伝 サムライトルーパー』等々の企画開発等に携わる。1989年より著述家として独立。同社作品のノベライズ、オリジナル小説、脚本、ムック関係やコラム等も手掛けている。

(風間洋(河原よしえ))

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください