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廃業あいつぐ「ゲームセンター」 かつては「居場所のない人間」が集まる場所だった

マグミクス / 2022年12月18日 17時10分

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■閉店が止まらないのは「ビデオゲーム中心のゲームセンター」

 ゲームセンターの閉店が止まりません。1986年には2万6573軒が営業許可を得ていたゲームセンターは2020年にはわずか3931店にまで数を減らしていましたが、この2年でさらなる閉店ラッシュが続いています。

 ここ数カ月だけを見ても、10月には町田の老舗「ゲームUFO 町田ターミナル口店」が姿を消し、 11月には相模湖畔にあるレトロゲームの聖地、「富士スポーツランド」が75年の歴史に幕を下ろし、12月には「鉄拳」シリーズで活躍するプロゲーマー・ノビ氏をスポンサードしていた「イスカンダル五井金杉店」も閉店を余儀なくされました。

 実は新規に開店する店もかなりの数があるのですが、かつて一世を風靡したビデオゲーム中心のゲームセンターとは異なり、ショッピングモールなどの商業施設内にUFOキャッチャーを置いた形式の店が大半となっています。ゲームセンターという名前は同じですが、かつてのように腰を据えて仲間とおしゃべりしながらゲームをする場所ではなく、家族連れやカップルが立ち寄って軽く遊ぶ場所へと、役割そのものが変化したのです。

 30年ほど前には、ちょっとした駅や学生街の周りに無数に存在していた「電子音が鳴り響く薄暗い空間」は、もうわずかしか残っていないのです。

 なぜ、ビデオゲーム中心のゲームセンターがさらに減り続けているのか。ひとつめの理由としては電気料金の高騰が挙げられるでしょう。2021年秋ごろから電気料金が上がり始め、ロシアのウクライナ侵攻による影響により値上げの動きは加速、2022年だけでも2割上昇しています。電気を使用する大型の機材を必要とするゲームセンターが負担に耐えられないのは当然と言えるでしょう。

 もちろん、新型コロナウイルスの影響による売り上げの低下もダメージとなりました。また、古いゲームセンターの場合は設備・建物の老朽化や関係者の高齢化も深刻だったようです。苦しい状況でも頑張ってきた店主が、耐震化工事を期に「ここが潮時」と閉店を決めた例も散見されます。プライズ系機材が多い店舗の場合は郊外のゲームセンターを閉店し、都心や観光地といった人が多い場所での再開店を行う事例もあるようです。

■「憩いの場」としての役割を終わらせたものは?

池袋サンシャイン通りにあるアミューズメント施設「アドアーズサンシャイン店」(左)。店内はプライズゲームとメダルゲームが中心のラインナップとなっている

 また、時代の変化に伴いゲームセンターが密かに果たしてきた役割が薄れたことも影響しているかもしれません。

かつて、ゲームセンターは不良のたまり場といわれてきました。しかし改めて振り返ってみれば、ゲームセンターには不良以外にもさまざまな人間がいたように思えます。暇を持て余した学生や仕事をサボっている会社員、ひたすらメダルゲームに興じるご老人など、小銭を払えば居場所のない人間を受け入れてくれる数少ない場所、それがゲームセンターだったように思えます。

 筆者も、学生時代はしばしば起こる不良たちとの諍(いさか)いに悩まされながらも、ゲームセンターに入り浸っていたものです。いつ行っても知っている顔がある。話したことはなくても対戦台に小銭を入れて乱入すれば、そいつがどんな奴なのかすぐわかる。友だちではないけれど、同じ時間と空間、ゲームを共有する仲間たちとの世界がそこにはあったのです。

 どうしてそんな大事な世界が次々と崩れ去っていくのか。

 大きな理由としては、SNSの登場が考えられます。SNS登場以前であればゲームセンターのコミュニティに居場所を求めていた人が、SNSに精神的な居場所を見つけられるようになり、わざわざ外へ出向かなくてもよくなったのかもしれません。

 家庭用ゲーム機の性能向上により、アーケードとそん色ないレベルのゲームが家で遊べるようになったこともあるでしょう。スマホでゲームが遊べるようになったため、ちょっとした暇つぶしのためにゲームセンターに行く必要がなくなったこともあるでしょう。

 しかし、「憩いの場」としてのゲームセンターを体験している者としては、SNSがその役割に取って代わったことが店舗閉店につながっていると、思えてならないのです。

(早川清一朗)

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