ウルトラシリーズの「クリスマス回」は名作多すぎ！ 「南夕子がサプライズ登場で感動」

■「ウルトラマン」と「クリスマス」の相性は抜群？

　怪獣がいる世界にもクリスマスはやってきます。

　現在も続く「ウルトラマン」シリーズにおいて「クリスマス」に関連したエピソードはどれも印象的であり、ファンの間でも評価が高いものが多いのです。果たして「ウルトラマン」と「クリスマス」の組み合わせで、どんな物語が紡がれてきたのでしょうか。振り返ってみましょう。

　まず思い出されるのが『ウルトラマンA』の第38話「復活！ウルトラの父」です。

　放送が12月22日ということでのっけから街はクリスマスムード全開。北斗星司が泣いている子供にウルトラマンAの人形を与えるなど、メタ演出も冴える楽しい冒頭から、一転。異国文化であるクリスマスを憎むナマハゲが激昂し、雪超獣スノーギランを操って、町の人々の視力を奪うというショッキングな事態が発生。北斗はウルトラマンエースに変身するも、スノーギランの圧倒的力によって倒されてしまうのです。クリスマスなのに地球、大ピンチです。

　そこで活躍するのが冒頭からちょこちょこ登場していた謎のサンタクロースです。サンタの正体こそウルトラの父であり、彼の力でエースは復活。なんとかスノーギランを倒すのでした。

　さて、物語はここで終わりません。超獣を倒しても失明してしまった人々の視力は元に戻らないのです。すると夜空より、28話で月に帰ったはずの南夕子がサプライズゲストとして再登場。月星人としての能力なのか、町の人々の視力を回復させる、ウルトラの父とともに去って行きました。いつの間に父と夕子が仲良くなっていたのかは不明ですが、嬉しいゲストでした。

「超獣」と「ウルトラマンエース」と「巨大サンタクロース」が同じ画面にいる、聖夜の奇跡を感じられる名エピソードです。

■昭和と平成…それぞれに素敵なウルトラクリスマス

『ウルトラマンタロウ』の第38話「ウルトラのクリスマスツリー」もまた「クリスマス」回としてでなく、作品全体としても評価の高いエピソードです。『タロウ』のことだからクリスマスはさぞふざけ倒してくるのかと思えば……切ないのです。

　クリスマスの直前。主人公・東光太郎は両親を亡くした少女と出会います。彼女が持つ不思議なビー玉から両親の死因が、ウルトラマンタロウと怪獣との戦いに巻き込まれた結果だと知ってしまいます。このシビアな目線をクリスマス回に持ってくるところ、さすがです。

　少女はその後、男性に引き取られますが、その正体は地球調査にやってきたミラクル星人であり、彼は不思議なビー玉をひとみに託して、地球を去ります。輪をかけて切ないのが、ミラクル星人は地球侵略を企むテロリスト星人に殺害されてしまうのです。

　そして、テロリスト星人はクリスマスイブに襲来してきます。工業地帯で思うように身動きが取れず、タロウは大苦戦。そのピンチを救うべく少女はミラクル星人よりもらったあのビー玉を投げつけ……テロリスト星人は倒れるのです。そして物語はクライマックス。去り際、タロウは東京タワーをクリスマスツリーに変え、少女の笑顔を取り戻したのでした。

　最後にご紹介するのが2005年12月24日とまさにクリスマスイブに放送された『ウルトラマンマックス』第26話 「クリスマスのエリー」です。

　エリーとは満島ひかりさん演じる防衛チーム「DASH」の専任オペレーターアンドロイド。彼女と、12年に一度姿を現す幻獣「ユニジン」の研究をしている、怪しげな博士との奇妙な交流を描いた幻想的な物語。

　人を疑わないエリーが、周囲からぺてん師呼ばわりされている博士に流されるまま「ユニジン」を捕獲する計画を手伝わされますが、その過程で博士のこれまでの人生を知り、エリーは今まで感じたことのない感情に当惑します。

　そして、ついにユニジンが出現。白くまばゆい光を放つ、ウルトラ怪獣のなかでもひときわ美しい姿をしたユニジンは、一見の価値ありです。果たしてユニジンはどうなったのか……物語は最後まで暖かなファンタジーに包まれながら、幕を閉じます。

　いつ怪獣に平和が壊されるかわからない世界でも、クリスマスは優しい奇跡に満ちている。そんなウルトラクリスマス、ぜひとも聖夜にご覧になってはいかがでしょうか。

（片野）