再販してほしい!伝説の「トランスフォーマーガム」 全てが「規格外」な食玩だった?
マグミクス / 2022年12月27日 20時50分
![再販してほしい!伝説の「トランスフォーマーガム」 全てが「規格外」な食玩だった?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_128590_0-small.jpg)
■スーパーで買えた「第2のおもちゃ」
ベビーブームの影響で子供向け商品があふれかえっていた1985年。スーパーのお菓子売り場にはさまざまな食玩が棚を占領しており、当時のキッズにとっては「第2のおもちゃ売り場」と言えるような光景が広がっていました。
カバヤ食品が1985年に発売した「トランスフォーマーガム」も、棚を賑わせていた人気食玩のひとつ。お菓子としては大型の箱型パッケージで、プラモデルさながらのランナー(パーツを切り離す前の状態)が入っており、食玩とは思えないような数のパーツが詰め込まれていました。
当時はニッパーの存在を知らないキッズも多く、爪切りでパーツを切り離した人もいたのではないでしょうか。
「トランスフォーマーガム」第1弾のラインナップは全4種類。コンボイ(現・オプティマス・プライム)、ランボル(現・サイドスワイプ)、スタースクリーム、サウンドウェーブの人気4キャラクターです。
パッケージには丸い穴があいているので、そこから説明書に書かれた商品番号を確認して、欲しいトランスフォーマーを母親の買い物かごに入れるのですが、コンボイは正義の陣営サイバトロン(現・オートボット)の総司令官ということで人気が高く、どんなに商品棚のパッケージを探してもコンボイの商品番号である「1番」は見当たりません。売り場に行っては2、3、4番のどれにするか迷ったものです。
カバヤ食品といえば、乗り物を精巧な組み立てキットで食玩化した「ビッグワンガム」が有名です。当時も先輩プロダクトとしてリリースが続いていましたが、「トランスフォーマーガム」はキャラクタートイであるとともに変形機構も備わっていて、お菓子売り場では花形商品のひとつでした。
その「トランスフォーマーガム」、今となってはファンに「オーパーツ」と呼ばれる存在になっているのです。
■精巧なプラモデルに変形機構もついて、「たった200円」
2012年に発売された「トランスフォーマーガム 8個入 Box」(カバヤ)。変形機構なども再現している
「トランスフォーマーガム」が今なお評価されている理由は、その食玩とは思えない高いクオリティです。当時は同社が発売した「ビッグワンガム」とリリースが平行していたため当たり前のように思われていましたが、実は何もかもが規格外の商品だったのです。
まずはそのボリュームの凄さ。ランナーの数はだいたい3枚ほどで、それぞれ成型色が異なっています。例えばコンボイなら赤、黒、シルバー。組むだけで、ある程度は玩具版と同じ色分けがされるのです(一部大きく異なる商品あり)。あとは付属のシールで対処するのですが、そこは原作トイでも一部シールを使用しているため気になりません。
この時点ですでに「小さなプラモデル」といったクオリティです。しかも変形機構はタカラ(現タカラトミー)が発売した原作トイほぼそのまま。「原作トイの金型を縮小して使いまわしているのではないか?」と思えるほど精巧でした。
しかも第2弾、第3弾とシリーズを重ねるにつれ、合体戦士(数体のトランスフォーマーが合体した巨大ロボット)、ヘッドマスターズ(身体が乗り物、頭が搭乗者になるトランスフォーマーの総称。頭部を身体に合体させるとボディに内蔵された能力メーターがせり上がるギミックつき)、シックスショット(6つの姿に変形するトランスフォーマー)のような豪華なギミックを備えたラインナップも続くようになり、作品と切っては切り離せない存在になりました。
つまり、食玩なのに「原作トイがほぼそのままの形で手に入る!」という感覚だったのです。
しかも1箱200円という破格の価格設定です。例えばコンボイの原作トイは当時3900円。ランボルは1600円、スタースクリームは1980円、サウンドウェーブは2980円でした。「トランスフォーマーガム」ではギミックやパーツがオミットされることがあるので単純比較はできないものの、それが200円で手に入るとなれば気軽に両親に「おねだり」できます。
ちなみに当時のお菓子は100円の価格帯が多く、まだまだ10円や50円で買えるものも多かったので、「トランスフォーマーガム」の200円は高価格帯の食玩でした。
「トランスフォーマーガム」はカバヤの驚異的な技術の賜物だったのか、今振り返ってみると、あれほどのコストパフォーマンスかつギミックとクオリティを備えた食玩をリリースしていたのはカバヤ以外に思い当たりません。
もちろん、現代に復活させるとしても当時と同じものを求めるなら200円では済まないことが想像できます。そのような状況であるため、ファンは「トランスフォーマーガムはクオリティでもコスト面でもオーパーツだったよね」と熱く語るわけです。
なお現在の『トランスフォーマー』トイは当時と比べて格段に進化しました。単純明快な1985年当時とは違い、「このパーツがここに移動するの?」と驚くような変形機構でプロポーションと可動を両立させているのです。
2023年には実写映画最新作『トランスフォーマー ビースト覚醒』が全米公開され、新たな玩具が続々とリリースされることも予想されます。しかしどんなに最新トイがリリースされようとも、「トランスフォーマーガム」は新規ファンも「作ってみたい!」と思えるような伝説の食玩として、無理だと分かっていても再販が熱望されている商品なのです。
(気賀沢昌志)
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