『ポケモンSV』で処理落ち、なぜSwitchは「性能が限界」と言われる? データだけでは語れない価値
マグミクス / 2022年12月23日 18時40分
![『ポケモンSV』で処理落ち、なぜSwitchは「性能が限界」と言われる? データだけでは語れない価値](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_128826_0-small.jpg)
■6年目を迎えた任天堂の主力ハード「Switch」
2022年も残りあとわずか。年末から年始にかけては、毎年のようにさまざまな市場が活性化するものと思われます。今回取り上げる「Nintendo Switch」(以下、Switch)も例外ではなく、発売から6年目を迎えてもなお影響力は衰えていません。クリスマスシーズン前後はもちろん、年間を通して任天堂の市場拡大に広く貢献。これまでの売上台数はゆうに1億台(任天堂 株主・投資家向け情報より)を超え、今年は『スプラトゥーン3』や『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』(以下、ポケモンSV)などのキラーソフトも発売されました。
しかし、大きな人気を誇る一方でSwitchの「性能不足」を指摘する声もあがっています。直近で言えば、『ポケモンSV』の「処理落ち」問題。「プレイ中に画面がカクつく」「予期していない場面でフリーズする」などの症状が、SNSを中心に数多く寄せられています。また、「Switchのフレームレート数」(1秒間に画面を書き換える回数)を問題視する意見も一定数見受けられます。
ゲーム市場で存在感の強さを見せる一方、各所で性能面に関する話題が上りやすいSwitch。一部のユーザーが指摘するように、同ハードは本当に性能の限界を迎えていると言えるのでしょうか。筆者は必ずしもそうとは言い切れないと考えています。
Switchは2017年3月3日に発売された任天堂のゲームハードです。「カタチを変えてどこへでも」と謳ったキャッチコピーの通り、Switchはゲームを遊ぶシチュエーションに合わせた3つのモードに対応。本体を外部モニターへ出力する「TVモード」をはじめ、本体に専用コントローラー「Joy-Con」を取り付けて携帯ゲーム機のように遊ぶこともできます。
またJoy-Con自体にもIRカメラや各種センサー類が備わっており、身体を使って遊ぶ体感ゲームが多くリリースされていることも特徴的です。携帯用に特化した「Nintendo Switch Lite」や有機ELディスプレイ搭載モデルも登場し、本体の買い替えや新規購入を含むユーザー数が現在進行形で増えています。
では実際のところ、競合ハード(家庭用ゲーム機)と比べた際の本体スペックはどうなっているのでしょうか。端的に言うと、単純な処理性能やグラフィック描画力は、「PlayStation」や「Xbox」といった競合ハードシリーズに軍配が上がります。このような性能面にくわえ、世代交代を行わずに発売から6年目を迎えたという現状も、「Switchの性能が限界を迎えているのでは?」といった意見に関連していると考えられます。
■ゲームハードの性能はベンチマークだけでは語れない
2017年3月3日に発売された「Nintendo Switch」。Wii Uに続く任天堂の主力ハードで、携帯用に特化した「Nintendo Switch lite」や有機EL搭載モデルなど、用途に合わせたラインナップを展開している (C)Nintendo
発売当時から言われている通り、処理能力に限って言えばSwitchは競合ハードに一歩遅れを取っていると言えるでしょう。しかし、処理落ち自体は『ポケモンSV』から顕在化したのではなく、同作よりも以前に作られたタイトルでも見受けられた現象です。
リアルタイムで複数のオブジェクトやキャラクターを描画する必要がある、3Dアクションゲームやオープンワールドゲームはその最たる例です。一方で負荷がそれほどかからないタイトルも数多く存在するわけで、大まかには「ゲーム内容によって左右される」と考えることができます。「最新タイトルでたくさん処理落ちしたからSwitchは限界」と決めつけるのは、いささか早計な判断と言えなくもありません。
くわえて、ハード性能は処理能力のみに依存するわけではなく、「ゲームハードに備わった特性が関与している」と言えます。冒頭で述べた3つのゲームモード、『Nintendo Labo』のようなユーザーの創作意欲をくすぐるタイトル、コレクション的価値が高い周辺機器「amiibo」……などなど、「高画質でゲームが楽しめる」「高フレームレートで映像が滑らか」といった特性があるように、Switchにも独自の強みがあります。諸々のベンチマーク(数値データ)が競合ハードと比べて低めなのは発売当時から言われていること。処理性能だけに着目して問題視するよりも、オリジナリティあふれるゲーム体験や高い汎用性など、Switchの特性も含めて論じるべきではないでしょうか。
2022年12月現在、Switchの後継機に関する情報はまだ発表されていません。どんな分野であれ、注目が集まると、過度に称賛&批判する声が一定数表れます。そうした意見に流されすぎず、ひとりのゲームユーザーとして、自分が楽しいと思えるプレイ体験を大切にしたいものです。
(龍田優貴)
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