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荒れがちな「声優交替」 最近の『ガンダム』では平穏だったワケ

マグミクス / 2022年12月23日 11時50分

荒れがちな「声優交替」 最近の『ガンダム』では平穏だったワケ

■丁寧に段階をふんで「声優交替」を発表

 長年続く人気アニメシリーズにおいて、声優の交代は難しい問題です。長期にわたって作品を展開できるのは人気があればこそですが、それゆえファンの作品への思い入れは強く、それまで培われてきた作品世界の変化に、熱心なファンほど敏感に反応してしまうのもわかります。

 2022年12月に公開された映画『THE FIRST SLAM DUNK』が、公開前の配信番組でメインキャラクターの声優一新を発表して話題になったのを覚えている人も多いでしょう。

 他に最近の声優交代で、筆者の印象に残っているのは、2021年公開の映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』です。

 映画『閃光のハサウェイ』は、富野由悠季氏の小説を原作とした作品で、それまで単体の映像化こそなかったものの、ビデオゲームなどで主人公のハサウェイ・ノアが登場した際は、前日譚にあたる映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』でも同役を演じた佐々木望氏が声優を務め、ファンの間ではお馴染みの配役となっていました。

 しかし、2020年3月24日、YouTube LIVEで配信されたファンイベント「GUNDAM FAN GATHERING -『閃光のハサウェイ』 Heirs to GUNDAM-」で、映画ではハサウェイ・ノア役を小野賢章氏が演じることが発表されたのです。

 実はイベントに先立つこと1週間前の3月17日、同作のプロデューサーを務める小形尚弘氏から「40周年を迎えたガンダム最新作として世界展開を見据えた上で」「メインキャスト、モビルスーツ・キャラクターデザイン、音楽等をリニューアル」するとのコメントが出されていました。

 実際にイベントが開催される前、旧来のファンの中には、この変更に違和感を表明する人もいました。しかし、こうした事前の告知に加え、アムロ・レイ役の古谷徹氏とシャア・アズナブル役の池田秀一氏をゲストに招いての「Heirs to GUNDAM」(ガンダムの継承者)と題したイベントで発表するという、丁寧に段階を踏んだ発表に、違和感を唱える声の勢いは衰えたように思います。

 コロナ禍の影響で、このファンイベントから実際の公開まで1年以上の時間があいたということもあるのでしょう。2021年6月の公開前には、キャスティングに対する異論は、あまり見かけなくなりました。

■古参ファンも喜んだ「キャスティング変更」とは?

ヒロインのフォウ・ムラサメ役で声優交替があった、『機動戦士ZガンダムII -恋人たち-』DVD(バンダイビジュアル)

 ガンダムで声優交代が話題になったのは、これが初めてではありません。

 2005年公開の劇場版『機動戦士ZガンダムII 恋人たち』で、フォウ・ムラサメ役がテレビ版の島津冴子氏からゆかな氏に交代した時には、交代の経緯を知らされていなかった島津氏が、当時の音響監督と富野由悠季総監督との談話とされる文章を自身のサイトに掲載したこともありました。『閃光のハサウェイ』での入念な事前告知は、そうした過去も踏まえてだったのかもしれません。

 そんななか、旧来のハサウェイのファンには嬉しいサプライズがありました。映画『閃光のハサウェイ』に、佐々木望氏が今度はゲイス・H・ヒューゲスト役で参加。さらに同作の劇場限定版ブルーレイディスクの特典として、佐々木望氏が小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』上巻を朗読した新規録り下ろしCDが附属することが発表されたのです。

「新規ファン開拓」というビジネス上の課題をクリアした上での、旧来のファンへの細やかな配慮といえるでしょう。

 昨今、話題となった旧作のリメイクに『うる星やつら』がありますが、同作でもかつて諸星あたる役だった古川登志夫氏が同作ではあたるの父役を、ラム役だった平野文氏がラムの母役を演じて、旧来のファンから好評を集めました。

 旧作とそのファンへの敬意と配慮をどのように示すかが、今後「声優交代」の成否を分ける鍵となるかもしれません。

(倉田雅弘)

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