好きになれなかった? 『めぞん一刻』の「七尾こずえ」という負けヒロイン
マグミクス / 2022年12月23日 15時10分
![好きになれなかった? 『めぞん一刻』の「七尾こずえ」という負けヒロイン](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_128852_0-small.jpg)
■積極的だが、話を聞かないヒロイン
人気マンガ『めぞん一刻』の主人公、五代裕作と音無響子は最終的に結ばれますが、それまでには『七尾こずえ』という、五代に思いを寄せる女性がたびたびふたりの関係を引っかき回します。こずえはいわば「負けヒロイン」ということになりますが、そんなにダメな女性だったのでしょうか?
●うっとおしいほどの積極性と勘の悪さ
同じバイト先で知り合ったこずえと五代。街で偶然再会したところから、こずえは異様な積極性をみせます。五代が響子を誘うために持っていた映画のチケットを目ざとく発見したこずえは「その映画みたい」とこぼし、映画デートにこぎつけます。
しかもこの日には食事をしたり、腕を組んで歩いたりするなど、男なら勘違いしてしまいそうな行動をとります。というのも、五代はこずえの初恋の人に似ているため、彼女は好意をもったようです。
以降もデートを繰り返すふたりは初詣に行ったり、プレゼントを交換したりと傍からみれば恋人のように見えますし、こずえ自身も友達に五代を紹介するなど恋人のような自覚はあるようでした。
一方、五代は一貫して響子への好意は変わらないため、何度か別れを告げようとしますが、傷つけることへの配慮や、こずえ自身が話を聞かない性格であるため、うやむやに関係を続けていきました。
こずえは、最後の最後まで五代が響子に好意をもっていることを知らず、いい意味で勘の悪さをもった女性でした。
●策士こずえ 家族を巻き込み五代を囲い込む
こずえの積極性は、次第に五代を追い込みます。デートで五代にネクタイ着用をリクエスト。そこにメロンを持ったこずえが現れ、促されるまま到着したのはこずえの自宅。不意打ちで両親と弟を紹介され、メロンは五代の手土産にするという、策士ぶりをみせました。その後、五代は家族に気に入られ、食事に招かれるようになり、その歓迎ぶりに五代もドン引きしています。
●こずえが恋人ムーブしてしまうのには五代にも問題が
こずえの思い違いは作中を通して続いていきますが、はっきり気持ちを言わない五代の言動にも問題があります。自分がこずえの初恋の人に似ていると知ったときは「ありのままのぼくを見てほしい」と言ってみたり、悩んでいるこずえに「おれにできることがあったら」と相談にのってみたり、祖母に会わせてみたりと思わせぶりなことをするため、こずえの恋人ムーブが加速していきます。
客観的に見る六本木朱美は「こずえちゃんもかわいそーねー、期待もたされたまんまずるずると」と、核心をついた指摘をしています。
■結局こずえは「負けた」のか?
優柔不断なところがこずえとの関係を長引かせた、五代裕作が描かれる『めぞん一刻』新装版 第2巻 (小学館)
●確かなものがなくても、長期間「恋人」と思っていられるメンタル
五代は何度かこずえにキスをしようとしますが、結局できず、さらに響子のこともあり決して好意を口にすることはありません。そんな五代にこずえは「手を出してこない」ことが悩みのひとつであるようでした。つまり、言葉でもアクションでも「確かなもの」がなくても、一応こずえは恋人と思っており、それをかなりの長期間持続させるタフなメンタルをもっていました。
●「あざとさ」は計算か? ナチュラルか?
クリスマスやバレンタインのプレゼントを欠かさないこずえ。なんでもない日に手編みのセーターをこさえて、五代が入院したときには見舞いに来て世話をやいたりもしました。また上目遣いも効果的につかい、かわいさアピールも欠かしません。
そんなこずえの「あざとさ」が最も発揮されたのは、最初で最後のキスシーン。五代に水をすくうような手つきで両手を見せ、目をつぶってと言った後に不意打ち接吻。これは「こずえ推し」でなくても胃が焼きちぎれるほどかわいく、五代に嫉妬さえ覚えます。
●最後にみせた、こずえの矜持
そうこうしているうちにこずえは同僚から唐突のプロポーズ。揺れはするものの、やはり五代に力点があるため悩みます。そこで上記のキスがあるわけですが、こずえはなぜか五代から「キスしてもらった」と解釈。これに対し、五代はこれまでの誤解を解くため「プロポーズしたい人がいる」と打ち明けます。当然、響子のことですが、こずえは自分のことだと早とちりし、涙を流し喜んでしまいました。
その後、再び五代はこずえとは別に「好きな人がいる」と告白すると、こずえも実は上記の同僚のプロポーズを受けるつもりでいると決心を伝えました。このときこずえは五代に対し同僚について「すごくいい人」「本当にあたしのこと好きでいてくれるみたい」「だからあたし、その人を信じられると思う」と淡々と伝えます。
この言葉は、こずえはまだ五代に気持ちはあるものの、はっきりしない男より、好意をきちんと示してくれる人を信じていくという女性の矜持(きょうじ)を感じます。
●幸せをつかんだ「負けヒロイン」?
「五代×響子」を応援する読者にとっては、こずえの恋人ムーブを不快に感じることもあったと思います。
しかし、こずえは明るく元気で、思いやりがある女の子でした。そのうえ、かわいいビジュアルも。さらに大きな自宅に住み、こずえが就職する際は、「父のコネ」で銀行勤めになるので、父もそれなりに仕事ができる人物だと思われます。このような高スペックのこずえは果たして「負けた」といえるのでしょうか?
こずえは最終的に上記の同僚と結婚。後に名古屋に転勤し、ご近所さんとも打ち解け、夫婦円満な様子が描かれています。
五代をめぐり響子に敗れはしたものの、幸せそうに暮らすこずえは決して「負け」ではなく、非常に魅力的なヒロインだったと思います。
(南城与右衛門)
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