「知ってビックリ」なゲーマー用語の本来の意味 「四天王の元ネタは仏教だったのか」
マグミクス / 2022年12月25日 19時40分
![「知ってビックリ」なゲーマー用語の本来の意味 「四天王の元ネタは仏教だったのか」](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_128899_0-small.jpg)
■宗教やダイエットなど、聞きなれた用語の意外な出身地
「今日はチートデイ」「死亡フラグが立った」「頭がバグった」など、有名なゲーム用語のなかには少しずつ意味を変えて日常会話でも用いられている語が見られます。そうやってすっかり浸透したがゆえに、今では本来の意味を知らないという方もいるかもしれません。
そんな用語たちの今日ならではのカジュアルな意味と、本来の意味を合わせて紹介します。
●犯罪を意味する言葉でもある「チート」
元々は「いかさま・詐欺・不正」などを意味する言葉で、ゲームに対して使われ始めた当時の意味は「ゲームのデータやプログラムを改ざんして、正規の利用では本来できないこと(ゲーム内通貨やレアアイテムを不正に増やしたり、キャラクターのレベルを急激に上げるなど)を不正にできるようにする行為」でした(警視庁公式サイト内「チート行為はやめましょう!」より抜粋)。
オンラインゲームで問題視されることが多く、日本でも逮捕者が出た前例があります。
また、計画的な中長期ダイエットにおける「1日だけなんでも好きなものを食べていい日」をチートデイといいますが、これも「体が低カロリーに適応して代謝機能が低下する(体重が落ちづらくなる)のを避ける≒自分の体を騙す」という意味です。
異世界転生/召喚モノの創作などでも広く見られるようになった今日は意味が段々と薄く広くなり、「規格外」「超ド級」程度の意味であることも多くなっています。
●日本でも1600年以上信仰されている「四天王」
「ラスボス、もしくはそれに近い存在に仕える4人の強大な存在」というような意味でおなじみの四天王。『ポケットモンスター』シリーズや『ロマンシング サガ』、『ファイナルファンタジーIV』など1990年代後半のゲームでよく使われ、一気に広まっていった印象があります。
元々は仏教の概念で、仏法僧の守護神である持国天、増長天、広目天、多聞天を指す言葉です。日本では厩戸皇子(のちの聖徳太子)が四天王の像を作ったという記録が日本書紀に残っていますので、日本でも実に1600年間以上信仰されています。
『真・女神転生』シリーズには仏教に伝わる四天王がそのままの名で登場する作品があるため、最初から本来の意味での四天王に触れたという人もいるかもしれません。
●意図せず”立てて”しまうこともある「フラグ」
「前兆」や「前触れ」というような意味でおなじみのフラグ。「ここは俺に任せてみんなは先にいけ」は死亡(or戦線離脱)フラグ、敵に全力の攻撃を当ててからの「やったか!?」は敗北フラグ……などというように、さまざまなシチュエーションで使われています。
往年の戦争映画などで見られたセリフ「俺、この戦争が終わったら結婚するんだ(≒大抵終戦前に戦死してしまう)」をきっかけに広まった感があります。
元々はプログラミング用語で、言葉の由来は「旗(Flag)」です。イベント等の進行管理の目印として旗(フラッグ)を立てる、という概念から生まれた用語で「特定の条件が成立したかどうかを示す変数」という意味でした。「イベントBを発生させるためには、まずイベントAをクリアしなければならない」と設定されているゲームでイベントAをクリアすることを「フラグを立てる」などといいます。
■有名なことわざにも絡む「運ゲー」
発売から3日間で全世界1000万本を売り上げた『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』 (C)2022 Pokemon. (C)1995-2022 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc.
「運ゲー」は「運(のみ)が結果を左右するゲーム」という意味で、特定のタイトルではなくかけたプレイ時間や腕前の向上が報われないと感じるゲーム全般にネガティブなニュアンスで使われます。
そこから転じて運が重要なさまざまな要素や状態に使われるようになりましたが、「必要な運の度合い」が人によってまちまちであることも多く「運だけがあればいい」ものを指すこともあれば「実力も必要だが、運も同時に必要とされる」ものを指すこともあります。
運といえば「人事を尽くして天命を待つ(人の力でやれるだけのことをやったら、あとは運を天に任せる)」)ということわざが有名ですが、任天堂の社名はこのことわざに由来しているそうです。任天堂にはネガティブなイメージは感じられませんので、何事もイメージは大切ですね。
●今では機械だけでなく人にも起きる「バグ」
英語で「虫」を意味するバグは、元々はコンピューター業界でプログラムのミスや欠陥を指す言葉でした。「虫食い状態である≒正常に動作しない」というわけですね。ボクシングでも弱点が多いチャンピオンを「チーズ・チャンピオン」と呼ぶ場合があり、この場合のチーズは「(ネズミなどにかじられて)穴だらけになっている」という意味で使われます。
今日では日常会話で人を指して使われることがあり「混乱して思考が追い付かない」、「頭の中が真っ白になる」、「思わず取り乱してしまう」ことなどが「バグる」と表現されます。1986年に放送されたTVアニメ『Bugってハニー』の第1話サブタイトルが「高橋原人・バグられた!?」でしたので、表現としては昔からあった…といえそうです。
●金融業界でも使われる「デフォルト」
今日では日常会話で「通常の状態」、「定番のもの」というような意味で用いられることも多い語ですが、元々は複数の意味を持っており、コンピューター業界では「初期設定」、「規定値」などを指す言葉でした。
格闘ゲームの対戦が盛んだった往年のゲームセンターでは何本先取すれば勝利になるかが店によって異なることがめずらしくありませんでした。これは店舗が客層に合わせてゲームの設定をいじっているからで、そうやって変更した設定を工場出荷時の設定(初期設定)に戻すことを「デフォルト(設定)にする」などといったりしました。
また、金融業界では「債務不履行(契約や約束が実行されない)」という意味を持っており、スクウェア・エニックスの『ブレイブリーデフォルト』シリーズは、この意味での「デフォルト」をタイトルに使い、ストーリーにも深く絡めています。
言葉の意味は時間や時代とともに変化していくものですが、本来の定義を知っておいても損はありません。齟齬のないように使っていきたいですね。
(蚩尤)
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