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世代でなくても知っている『アルプスの少女ハイジ』 最終回のストーリーとは?

マグミクス / 2022年12月29日 7時25分

世代でなくても知っている『アルプスの少女ハイジ』 最終回のストーリーとは?

 1974年12月29日は、TVアニメ『アルプスの少女ハイジ』の最終回「また会う日まで」が放送された日です。「世界名作劇場」の前身である「カルピスまんが劇場」の第6作で、厳しくも優しいアルプスの大自然のなかで暮らす少女、ハイジの姿が描かれました。

『アルプスの少女ハイジ』を思い返すとき、真っ先に脳裏に浮かぶのは、やはりオープニングテーマ「おしえて」です。雄大なホルンとハープの音、異国情緒あふれるヨーデル、伊集加代子さんの歌声、大きなブランコで宙を舞うハイジ、そのいずれもが決して欠かせない存在として組み合わさり、50年近く経った今なお色あせない記憶として刻まれています。

「おしえて」の録音はアニメのオープニングとしては珍しく、海外のスイスで行われています。日本で録音した部分とスイスで現地録音したヨーデルとホルンをミックスする形で制作されたのですが、当時のアニメ音楽は地位が低く海外での経費は出なかったそうで、音楽ディレクターの木村英俊氏が自腹を切る羽目になったエピソードが残されています。それでもこだわりにこだわって作り上げられた「おしえて」はレコード120万枚を売り上げ、欧州でもヒット作となりました。

 総監督(総合演出)を務めたのは高畑勲氏。後に「スタジオジブリ」でらつ腕を振るった天才演出家です。高畑氏は統括プロデューサーを務めた高橋茂人氏の指示で画面構成(レイアウト)を担当した宮崎駿氏やキャラクターデザインの小田部羊一氏らと共に現地ロケを行い、作品作りに生かしています。ハイジの話題でよく挙げられる、火であぶってとろりとしたチーズを黒パンの上に乗せる食事のようなリアルな描写は、こうして生まれたのです。

 実のところ、高畑氏は黒パンとチーズのシーンを貧しい食事として描いており、日本の子供たちが憧れるものになるとは考えていなかったと後に語っています。しかしいま改めて該当のシーンを見てみても、ハイジは実においしそうに平らげており、貧しさなど全く感じさせません。精魂込めて描かれたハイジの表情と心の豊かさが、貧しい食事をごちそうのように見せてくれたのでしょう。

■クララが立って父親とおばあさまを出迎えた

『アルプスの少女ハイジ リマスターDVD-BOX』(バンダイビジュアル)

 さて、最終回の内容ですが、ハイジたちが住むアルプス山脈は間もなく厳しい冬を迎えようとしていました。都会育ちのクララではおそらく耐えられないだろうと、父親のゼーゼマンとおばあさまがクララを連れて帰ることになったのです。

 このとき、クララはハイジとペーターの協力もあり、なんとか歩けるようになっていました。そこでクララは歩けることを秘密にしておき、父親とおばあさまの前で歩いてみせて、驚かせようと考えたのです。

 やがてゼーゼマンとおばあさまがハイジたちの住む山小屋へとやってきます。そしてあのシーンがやってくるのです。アルムのおんじと挨拶を交わしていたゼーゼマンの後ろから、クララ「パパ!」と、ハイジが「おばあさま!」呼びかけます。振り向いた先には、ハイジとペーターの手を借りているクララの姿がありました。ゆっくりと、でも確実に立ち上がろうとしているクララ。ハイジとペーターが同時に手を離し、クララはふらつきながらも前へ歩き始めます。

 おばあさまはすぐに駆け寄ってクララを抱きしめます。目の前で起きた奇跡を呆然と見つめていたゼーゼマンもクララと抱き合い、涙を流したのです。そしてクララはアルプスへの郷愁を胸に宿しながら、おんじに背負われて山を下りてゆきました。

 1年にわたる物語はペーターとハイジが雪遊びをしながら、春になればクララに会えると語り合うシーンでついにエンディングを迎えます。ラスト前にクララとの再会シーンがあるのですが、これはおそらくふたりの想像のなかの光景なのでしょう。いつかまた、必ず会える。ハイジ、クララ、ペーターの友情は本物なのですから。

『アルプスの少女ハイジ』は名作として名高く、過去には数え切れないほどの再放送が行われました。キャラクターの認知度も高く、TVCMでもひんぱんに登場したため、現代でも極めて知名度の高い作品となっています。

(早川清一朗)

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