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2022年に大躍進『スパイファミリー』 人気爆発の理由は「かつてないパターン」「寸止め」

マグミクス / 2023年1月5日 15時10分

2022年に大躍進『スパイファミリー』 人気爆発の理由は「かつてないパターン」「寸止め」

■『SPY×FAMILY』がヒットした要因とは?

 2022年12月末、TVアニメ第1シーズンが最終回を迎えた『SPY×FAMILY(スパイファミリー)』。その認知度と高い人気は、2022年を代表するTVアニメと言っても過言ではないでしょう。

 2022年はさまざまなアニメが製作され、ファンに支持されてきました。そのなかでもっとも注目した作品を挙げるとすれば、筆者は迷いなく本作『SPY×FAMILY』を選びます。もちろん人によって意見はさまざまでしょう。それでも筆者がこの作品を挙げる理由があります。

 それは知名度の急上昇。本作は配信サイト「少年ジャンプ+」で2019年3月25日から連載され、その年のうちにいくつかの賞に輝きました。その勢いから2021年のコミックス7巻発売時には発売累計発行部数が1千万部を超え、TVアニメ化に至っているのですから、普段からよくマンガを読む層は知っていて当然レベルの人気作品です。

 ところが一般的な知名度はそれほど高いものではありません。アニメ放映前と現在のマスコミの取り上げ方を見れば一目瞭然です。ファンになった人のほとんどが、アニメ化をきっかけにその魅力に引き込まれたというところでしょうか。それほど急速に一般層へ受け入れられた作品です。

 もっとも作品関係者はこの結果を予想していたのでしょう。そうでなければ分割2クールという厚遇で作品制作には入らないと思います。時間帯も夕方ではありませんが、深夜枠ではない23時台という新規の枠という点も見逃せません。

 こういった作品関係者の事前の仕掛けがヒットに結び付いたと考えられます。その結果、アニメファンといった特定の層だけでなく、一般層にまで知れ渡る人気作品になりました。この知名度の急上昇の結果、現在ではさまざまな企業とのコラボ企画が生まれています。これによってさらなるファン層の獲得も間違いないでしょう。

 これらの点を考えると、2022年を象徴するアニメ作品は『SPY×FAMILY』だったと思います。しかし同時に「ジャンプ」系アニメ作品が多数話題になった年とも言えるでしょう。TVアニメ『鬼滅の刃 遊郭編』から始まり、劇場版として『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』、『ONE PIECE FILM RED』、『THE FIRST SLAM DUNK』といったヒット作品が続きます。

 正確には『SPY×FAMILY』は「週刊少年ジャンプ」作品ではありません。(過去に読み切りの出張掲載は何度かあり)ネットでの活動をメインとした「少年ジャンプ+」の看板作品です。しかし系列的には同一のものであり、近い未来には紙媒体の雑誌よりも電子書籍が中心となる可能性だってあり得るかもしれません。そうなった場合、その前進拠点となったのは本作『SPY×FAMILY』だったと、後の歴史で語られることになるでしょう。それほどの勢いと可能性を持った作品です。

■『SPY×FAMILY』の魅力はあえて描かない「寸止め」にあり

TVアニメ『SPY×FAMILY』第2クールビジュアル (C)遠藤達哉/集英社・SPY×FAMILY製作委員会

『SPY×FAMILY』がより広い層に受け入れられた理由。それに関して色々あると思いますが、筆者なりのポイントをいくつか挙げていきましょう。

 もっとも重要だったポイントは、シリアスとギャグの黄金比とも言えるバランスの良さです。この点は近年の人気作品はおおむねこういった傾向にあるのですが、本作ならではの注目点がありました。それは本作が基本、コメディ作品であることです。

 昨今の人気作品はバトルものであることが多く、ギャグ面があっても本質はシリアスな物語でした。しかし本作『SPY×FAMILY』はその逆に、コメディにバトル要素を盛り込んだ作品です。ストーリーの骨子もシリアスな作りにしていました。

 スパイである「黄昏」ことロイド・フォージャー、「いばら姫」の名を持つ殺し屋ヨル・フォージャー、他人の心が読める超能力者の少女アーニャ・フォージャーの主要キャラ3人も、普段見せるギャグの顔とは別にシリアスで暗い過去があります。この二面性も魅力のひとつでしょう。

 ただシリアスと言っても、あくまでも笑える範囲に抑えているのが本作の絶妙な味付けです。たとえばロイドやヨルが人を殺す場面はさりげない描き方をしており、時には笑える要素で濁しもしていました。

 その反面、物語のストーリー進行における部分はシリアス度が高く、時にはハラハラドキドキさせてコメディだということを忘れさせるほどの緊張感を生みます。こういった基本的にはコメディだけど、シリアスな要素が入る作品は最近なかったかもしれません。

 ここで重要なこととして、メインキャラクターが死亡退場することがないのが注目点でしょう。たとえば『鬼滅の刃』ですと、バトルものだけに死亡退場者が多く出ます。それとは真逆で、『SPY×FAMILY』はそういった心配はありません。あくまでも今後の展開で何が起こるかは分かりませんが、コメディ作品でそういった心配はほぼないでしょう。

 そして恋愛要素に関して、読者や視聴者の想像に任せている点も人気の秘密ではないでしょうか?

 疑似夫婦であるロイドとヨルの恋愛関係には踏み込んでも、一定以上には進まないという展開が何度かありました。家族であるということが作品のポイントなので、この関係に男女としての進展がないのは大きな意味を持たないのかもしれません。しかし、この部分での展開は見ている方としては気になるもの。こういった部分に明確な答えを出さずにファンの想像に任せるというのは巧みな作劇ではないでしょうか。

 この部分はアーニャとダミアン・デズモンドの関係にも当てはまります。年齢的には恋愛というには幼くもありますが、ラブコメ的な要素を匂わせるものの明確な答えを出さない方式は一緒でした。

 それとは反対に、強すぎる愛としてユーリ・ブライアやフィオナ・フロストといった恋愛のギャグ要員を配置しているのも絶妙でしょう。こういったことから二次創作の世界では人気があるらしく、さまざまな想像がされているようです。このようにファンの想像をかき立てるというのは、作者である遠藤達哉先生の思惑なのかもしれません。

 今後の展開も気になる『SPY×FAMILY』ですが、今の人気が数年は続くことは間違いないでしょう。昨今のコラボする企業や団体の増え方は、すでにブームが長く続くことを証明しているようなものですから。

(加々美利治)

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