やりたい放題? 原作者もびっくりした人気作の「アニメオリジナル」映画
マグミクス / 2023年1月8日 15時25分
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■「アニオリ」はいつの時代も賛否両論?
原作マンガにはないエピソードや設定を用いた「アニメオリジナル」のストーリーは、評価が分かれることも多いです。特に、劇場版アニメでは思い切った展開を持ち込んだり、原作には存在しないキャラクターが登場したりと、良くも悪くもファンを驚かせることもありました。今回は好き放題やりすぎて、議論が巻き起こった劇場版アニメをご紹介します。
●『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(1984年公開)
2022年10月からの「令和版」新作アニメも絶賛放送中の『うる星やつら』(原作:高橋留美子)では、初代TVシリーズの劇場版第2作『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』は、完全アニメオリジナルで描かれています。前作『うる星やつら オンリー・ユー』(1983年公開)から続投した、奇才・押井守監督の代表作のひとつとなった作品です。
主人公・諸星あたるやラムたちが通う友引高校の、「文化祭前日」が繰り返される様子をミステリータッチで描いており、タイムループものの先駆けともいわれるストーリーや、SF表現はファンからも高く評価され、今もなお傑作アニメ映画として語り継がれています。
一方、シリアスで陰鬱なシーンやメタ的なセリフも多く、本来のラブコメらしい雰囲気からはかけ離れている面もありました。また、終盤のあたるの言動には、原作やTVアニメからは考えられないものもあり、一部ファンの間では「解釈違い」「パラレルワールドだと思いたい」といった意見もあったほどです。
●『ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島』(2005年公開)
続いて、2022年公開の『ONE PIECE FILM RED』も話題となった『ONE PIECE』(原作:尾田栄一郎)の劇場版シリーズから、『ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島』をご紹介します。 『時をかける少女』などで知られる細田守監督にとって、初の長編アニメーション作品となった本作は、TVシリーズで見慣れた明るい雰囲気の前半と、まさかの「トラウマ」シーンが繰り広げられる後半のギャップが衝撃的で、今でも賛否両論を巻き起こしています。
もはやホラー映画である終盤の展開については、のちにインタビューなどで、スタジオジブリで『ハウルの動く城』を監督する予定だったものの、頓挫してしまった直後の細田氏の精神状態や苦い思い出も関係している、ということが明かされました。麦わらの一味の激しい仲違い、そしてキャラ崩壊とも思えるほど違和感のある発言の数々は、多くのファンたちを動揺させてしまっています。
しかし、「こんなの『ONE PIECE』じゃない!」と言われる一方で、細田監督独特のストーリーや作画を評価する声も多く、一部でカルト的な人気があるのも確かです。「孤独が生んだ悲しみ」も描いており、前述した『FILM RED』を観て『オマツリ男爵』を思い出したという人もいるほどで、ある意味『ONE PIECE』における盤石なテーマを取り扱っているとも言えます。
●『劇場版 銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ』(2013年公開)
アニメで「好き放題」やっていた作品といえば、『銀魂』(原作:空知英秋)を思い浮かべた人も多いのではないでしょうか。そのなかでも、劇場版第2作にして、当時「アニメシリーズ完結編」と銘打たれていた『劇場版 銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ』は、原作者の空知先生がストーリーとキャラクター原案を手掛けた完全オリジナルエピソードとなりました。
物語の舞台は5年後の未来で、そこは主人公の銀時がいなくなった世界。見知ったかぶき町のはずなのに荒廃しており、新八や神楽といった仲間たちもまるで別人のようになっていて、さぁどうする? というタイムスリップものの作品です。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『ダイ・ハード』、さらには「映画泥棒」(映画本編上映前に流れるCM)といった映画ネタや、パロディを散りばめつつ、『銀魂』らしさあふれるコメディとメタ描写、そして未来と過去を行き交う壮大なSF表現が展開されます。原作者自ら好き放題やってくれた劇場版アニメで、特に『銀魂』の「公式の暴走」に慣れているコアファンからの評価は上々、アニメ『銀魂』シリーズはまさに大団円を迎えました。
ちなみに、公開から約1年後に新たなTVシリーズの放送が発表され、同作は事実上「完結編」ではなくなっています。そして、新シリーズの第1話はこの件をネタにした、「謝罪会見」から始まりました。そんな小ネタ含めて『銀魂』らしいです。
(椎崎麗)
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