第1部最終回『水星の魔女』 ファンの想像の上を行く、凄惨な結末に絶望【ネタバレあり】
マグミクス / 2023年1月10日 12時10分
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■ファンの予想をはるかに上回る衝撃的だった最終回
2023年1月8日放送の第12話「逃げ出すよりも進むことを」で第1クール最終回を迎えた『機動戦士ガンダム 水星の魔女』。そのあまりにも衝撃的な展開に、ファンからは早く第2クールを放送開始してほしいという悲鳴にも似た声があがっています。
※以降の本文中には放送された第12話「逃げ出すよりも進むことを」に関する詳しい記載があります。閲覧にはご注意下さい。
あまりの展開に茫然自失となった人も多いことでしょう。それほど衝撃的だった『水星の魔女』第1クール最終回。筆者も中盤まではTVに向かって声を出していたのですが、終盤は声を出すのを忘れていたくらいの衝撃でした。どの点が衝撃的だったのか、順番に振り返ってみましょう。
まずは物語序盤の不人気ぶりから一転して、人気が急上昇していたグエル・ジェタークに起きた悲劇です。第11話までのファンの見立てでは、MS(モビルスーツ)に乗って活躍してほしいという声が多くありました。これまでの経緯から、スレッタ・マーキュリーを助ける展開をファンとしてはもっとも期待していたからでしょう。
ファンの期待どおりMSに乗ったグエルでしたが、その結果、誤って父であるヴィム・ジェタークを殺してしまうという悲劇的な展開が待っていました。
正直、筆者としては今回の展開が「PROLOGUE」と重なる部分が多いことから、予想していたのが「父親の死」です。そして、11話の展開から、それは襲撃してきた「フォルドの夜明け」本来の目的であるデリング・レンブランでなく、ジェタークの可能性が高いと思っていました。そのためジェタークがMSで出ると言った時、死亡フラグだと思ったのですが、まさかグエルの手によってとは想定外。まさに予想を上回る悲劇です。
これでグエルがどうなるのか、第2クールまで想像することしかできません。「父親殺し」からこれまで以上に現実から逃げ出すのか。それとも責任を取るために前向きになって進むのか。公式から情報が出ない限り、3か月はこのことで悶々としそうです。「影の主人公」とまでファンから評価されているグエルだけに、前向きな姿を第2クールでも見たいところです。
この他、地味なところですが地球寮の仲間を助けるため、ゲリラ組織「フォルドの夜明け」との関わりを知られてしまったニカ・ナナウラも気になります。はたしてどうなるのでしょうか? すべてを仲間に語って、これまでと同じ関係を保てるのか? ひょっとしたら目撃したマルタン・アップモントが察して不問にするという可能性もあります。まさかマルタンを亡き者に……というダークな展開にならないことを祈りましょう。
そういえばファンのなかには当初の予定なら、第12話が2022年12月25日に放送されていたことから、「クリスマスにこれを見ないでよかった」というファンもいました。なかには12月30~31日に開催されたコミックマーケットの『水星の魔女』関連の同人誌の売り上げに影響したのでは? というものもあり、確かにそれほどの衝撃だったと筆者も思います。
■呪いの言葉かもしれない「逃げたらひとつ、進めばふたつ」
放送前、「内向的な性格」と発表されていたスレッタだが…『機動戦士ガンダム 水星の魔女』ティザービジュアル第2弾 (C)創通・サンライズ・MBS
放送前は11話ラストで離ればなれになったスレッタとミオリネに注目が集まっていましたが、ふたりとも無事な姿で最終回を迎えることができました。問題は精神的に予想以上のダメージが来たことです。
12話でもっともファンが安堵したのが、ミオリネが父と和解できそうになった展開でしょうか。これまで「クソオヤジ」と呼んでいたのが「お父さん」に変わり、相変わらずの憎まれ口も微笑ましく感じれて心の変化が感じられました。
思えば物語が始まった時はラスボスと思われていたデリングでしたが、株式会社ガンダム設立の頃から潮目が変わり、いつの間にか愛されキャラになってきました。こういったふうに、物語が進むにつれてキャラの評価が変わるというのも本作の見どころのひとつかもしれません。
逆に不穏な動きからラスボス説が浮上してきているのが、スレッタの母であるプロスぺラ・マーキュリーです。
今回、スレッタを救うためにとはいえ人の命を奪い、それを正しいことだと語る姿は人によって解釈はいろいろあるでしょう。それをスレッタへの洗脳と思うこともできますし、プロスペラなりのショックを受けた娘に対しての方便とも考えられます。
このシーンで使われていたBGMがオープニング曲「祝福」のアレンジバージョンで、ここに12話サブタイトルの「逃げ出すよりも進むことを」が引っかかっていたのではないか? そう筆者は思いました。
思えば「逃げたらひとつ、進めばふたつ」の言葉ですが、一見すると前向きに思えます。ところが12話に関して言えば、グエルも進むことで悲劇に見舞われ、スレッタも進んだことでこの後、ミオリネと決定的な心の断絶を生むことになりました。ここまでで言えば、「逃げたらひとつ、進めばふたつ」は前向きな言葉というよりも呪いの言葉になっています。
進んだ結果、他に選択肢がなかったとはいえ、スレッタはミオリネの前で人を殺してしまいました。その罪悪感はプロスペラに消されたことで、スレッタはいつも通りの屈託のない笑顔でミオリネに血まみれの手を差し出します。そして、最終回をしめる最後のミオリネの言葉が「人殺し」でした。
正直、第1クール最終回を事前に予想した人は多いと思いますが、この凄惨な結果を的中させた人はいないのではないでしょうか? 筆者も悲惨な結末をいくつか想像していましたが当たりませんでした。
Twitter上ではさまざまな言葉がトレンド入りして、放送終了後から『水星の魔女』の独占状態のようになっています。このなかで筆者がもっとも注目したのが「血染めのユフィ」でした。別作品なので分からない人も多かったかもしれませんが、『水星の魔女』のシリーズ構成である大河内一楼さんが同じくシリーズ構成を手掛けた『コードギアス 反逆のルルーシュ』第22話のサブタイトルです。
このエピソードは当時のアニメファンにはトラウマ級のものでした。そういった点で今回のスレッタの行動に、あの時の思いがよみがえった人が少なくなかったようです。筆者としては大河内さんの脚本はいつも想像とは違った展開だと感心していましたが、多くのファンも『水星の魔女』での大河内さんには注目しているということなのでしょう。
第2クールは4月からの予定ですが、この3か月は長いようで短いのかその逆なのか分かりませんが、ファンからはさまざまな声が絶えないと思います。はたして第2クールはどんな展開から始まるのでしょうか?
(加々美利治)
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