タレントと次々コラボ! 昭和懐かし「タレントゲーム」の価格が今も変動するワケ
マグミクス / 2018年12月27日 18時0分
■店舗入口で早くもテンションが上がる
1980年代――。当時の子どもたちが夢中になっていたものはさまざまですが、なんといっても外せないのは、ファミリーコンピュータ(ファミコン)を始めとする家庭用ゲーム機でしょう。ファミコンに特別ハマっていなかった人でも、『スーパーマリオブラザーズ』『ドンキーコング』『イー・アル・カンフー』『バルーンファイト』『スパルタンX』『チャレンジャー』といった名作ソフトの名前は記憶にあるのでは?
名作ソフトだけでなく印象的だったのが、当時人気だったタレントとコラボした「タレントゲーム」。そんな懐かしいタレントゲームの現在を知りたくなり、秋葉原へ向かいました。
ということで、やってきたのは、JR秋葉原駅・電気街口(北側)から徒歩約3分のスーパーポテト秋葉原店(東京・千代田)。2004(平成16)年からファミコンソフトなどのレトロゲームを販売している老舗店で、品ぞろえはなんと5万点以上。1日に約300人が来店し、その半数は外国人だといいます。特にアメリカやフランス、ドイツの人たちが多いとのこと。レトロゲームって半端ないですね~。
『パックマン』(1984年)に出てくるゴーストや、『ポートピア連続殺人事件』(1985年)、『グーニーズ』(1986年)のプレイ画面をあしらった店舗の外観に、記者(1979年生まれ)は早くもテンション爆上げです。
店舗はビルの3階から5階まで。タレントゲームを売っているという3階にさっそく入ると、目の前には懐かしすぎるアイテムの数々が!
「こんなゲーム、あった!あった!」と控えめながら叫んでしまった記者の見た光景はコチラ(2018年12月12日、マグミクス編集部撮影)
店内でゲームにいそしむレトロゲームファンの外国人(2018年12月12日、マグミクス編集部撮影)
同店は、バラエティ番組『世界が驚いたニッポン! スゴ~イデスネ!!視察団』(テレビ朝日系列)の「外国人買い物客が日本で買いたいものベスト13」の放送回で1位にランクインしたというだけあって、店内には平日11時過ぎにもかかわらず、外国人が数人いました。
五十音順に陳列された商品の中から、さっそくタレントゲームを探してみることに。開始1分、最初のブツは「か」の棚で「あらわれた!」
『カケフくんのジャンプ天国 スピード地獄』(1988年)。横スクロール形式のアクションゲーム(2018年12月12日、マグミクス編集部撮影)
1970年代から1980年代にかけて、阪神タイガースの主砲として活躍したミスタータイガース・掛布雅之さん。そのそっくりさんとして注目されたカケフくん、間下このみちゃんと並ぶ人気子役でしたよね。
ちなみに2016年に発売された「懐かしファミコンパーフェクトガイド」(マガジンボックス)によると、この『カケフくんのジャンプ天国 スピード地獄』は、ラベルに印刷されたカケフくんの満面の笑顔とは裏腹に激ムズソフトとして有名らしく、全ステージクリアに3時間以上かかると、正規のエンディングが見られないのだそう。「スピード地獄」のタイトルに名前負けしてません。
■ひき笑い「ファーwwww」で有名な大御所
続けてソフトを探していると、次にあらわれたのは「さ」の棚。還暦を迎えてもお笑い界の第一線で活躍し続けている、あの大御所でした。
明石家さんまさんが出演する『さんまの名探偵』(1987年)。コマンド選択式のアドベンチャーゲーム(2018年12月12日、マグミクス編集部撮影)
さんまさんが今も所属する、総合エンタテインメント企業・吉本興業(大阪市)。その社長宅にあった宝石が盗まれ、プレイヤー(自分)とさんまさん(探偵)がタッグを組んで事件の真相に迫る……といった内容で、登場する人たちもほとんどが吉本興業所属の芸人でした。
バラエティ番組「はなきんデータランド」(テレビ朝日系列)での司会業が印象深い桂文珍師匠が、事件の最初の被害者という、この理不尽さ。カセットのケースが紙ではなく、プラスチックのハードタイプだったのも記憶にあります。
■10万●歳、あの「悪魔」のソフトも
店内にはそのほかにも、こんなものまで……
写真左は、アクションゲーム『聖飢魔II 悪魔の逆襲』(1986年)。デーモン閣下のスタンスは30年間ブレていない。右は『所さんのまもるもせめるも』(1987年)。横スクロールのアクションゲーム(2018年12月12日、マグミクス編集部撮影)
出てくること、出てくること。
ここまで出てくると、各ソフトの思い出より、妄念が頭の中に湧いてきます。「デーモン閣下の『10万〇歳』ネタはいつまで続くのか」「サングラスがこんなに似合うのは、所ジョージさんとマンガに出てくるモグラぐらいだ」などなど。
店内で売られていたタレントゲームの数々。1980年代という時代の勢いもあって、アドベンチャーから将棋まで節操が……。もとい、バラエティ豊かなラインアップです(2018年12月12日、マグミクス編集部撮影)
そのほかにも、『田村光昭の麻雀ゼミナール』(1990年)や超能力者・清田益章さんの『マインドシーカー』(1989年)、『井出洋介名人の実践麻雀』(1987年)、アイドル・立花理佐さんの『リサの妖精伝説』(1988年)などもありました。とにかく懐かしすぎるわ!
■光り輝く、よゐこの有野さんの功績
ここで、黒縁メガネをかけた男性が記者に声をかけてきました。
「どうも~。店長の北林といいます。40歳で、思いっきりタレントゲーム世代です」
顔写真はNGだという北林さん。その代わりにファミコンの腕前を披露。体を左右に揺らしながら「おりゃ」「とりゃ」といった言葉を発していました(2018年12月12日、マグミクス編集部撮影)
記者とわずか1歳違い。ほぼ同志のような気持ちですが、そんな北林さんにタレントゲームについていろいろと質問してみることに。
――この店舗にはどのくらいのタレントゲームがありますか。
既存タイトルならほとんどありますね。
――どんな人がタレントゲームを買っていきますか。
レトロゲーム自体、よゐこの有野さんがやっている『ゲームセンターCX』の影響で購買層は多少広がりつつあります。タレントゲームは30代から40代の男性が大半。いわば、おっさん需要です。「そのタレントのファンだから買う」という人はほぼいませんね。もちろん例外はありますが。発売当時を懐かしんで買っていく人が多いかな。そのタレントがいまだに活躍している人であればなおさらです。
――タレントゲームの相場は。
う~ん、バラバラですね。平均したら1000円ぐらい。まぁ、『ジーコサッカー』(1994年)は50円なんですけどね。
『舛添要一 朝までファミコン』(1992年)。コマンド選択式のアドベンチャーゲーム。箱無しだと2000円ぐらいで買える(2018年12月12日、マグミクス編集部撮影)
――タレントゲーム特有なことはありますか。
そうですね~。あえて言えば、そのタレントが何かを「やらかした」ときに価格が変動するぐらい。例えば、舛添要一さん。2016年に東京都知事を辞任したときは、上がりましたねぇ。それまで1000円ぐらいでしたが、一気に5000円になりましたから(笑)。当時、多くのマスコミが資料用に買っていきました。問い合わせも毎日のようにありました。今はもう価格は落ち着きましたけどね。
――舛添さんですか。そのほかのタレントはどうでしょうか。
う~ん、M.Tさんとか、N.Sさんがやらかしたときはイマイチでしたねぇ。M.Tさんに関しては、「プリンセス(女性)がいっぱい」というタイトルの響きが…………今となっては意味深というか(汗)。
M.Tさんをフィーチャーしたアクションゲーム(1989年)。画像は自主規制(2018年12月12日、マグミクス編集部撮影)
お、おう……まぁ、一世を風靡した才能ある人たちですから、早く表舞台に復帰してほしいものです。
■「10代の若い子たちに挑戦状を出したい」
なんだかビミョー空気になったので、記者は話題を変えることに。「私見丸出しで構いません!」と、北林さんにお勧めのタレントゲーム3本を挙げてもらいました。
1本目はこれ。今では映画監督として世界中から賞賛を集める北野武さんをフィーチャーした、『たけしの挑戦状』(1986年)です。主人公が南の島に眠っているお宝を探しに行くという内容でした。
北野さんの「ダンカン、バカ野郎」という言葉は、ビートが効いている(画像:スーパーポテト秋葉原店)
「このゲームは難しすぎ、理不尽ゲームの最高峰っすよ! 当時、周りでクリアした人は誰もいなかったですし。攻略本を見ても分からないって、どんだけ難しいんだよっていう(笑)。今のゲームと違って、ファミコンゲームは基本、ゲーム内容の説明が少ないので、それも難しさに拍車をかけています。
当時、たけしさんが『やりたいことを全部詰め込んだ』というようなことを言ってましたが、まさにそう。詰め込み過ぎてカオス状態(笑)。その分、何度も挑戦したくなるんですけどね。このゲームを誰に勧めたいかって? そうですねぇ、10代の若い子たちかな。『人生は自分の思い通りにならない』ってことを知ってもらうには、一番のゲームだからです!」
■メイウェザーですら成し得なかった偉業
2本目は、ボクシングゲーム『マイクタイソン・パンチアウト!!』(1987年)。プレイヤーは主人公のボクサーを操作して、敵の動きを予測しながらスキを突いてパンチを打ち込み、敵をノックアウトさせるゲームです。ラスボスがプロボクサーのマイク・タイソンでした。
マイク・タイソンは華々しい経歴のかたわら、対戦相手の耳を噛んで失格になったことも(2018年12月12日、マグミクス編集部撮影)
「当時、友達の家でひたすらプレイしまくっていましたね。途中の対戦相手からから激ムズになるのが謎で、タイソンまで全然たどり着けない(笑)。でも、相手のパンチを避けてから、こっちがすぐにパンチを出すっていうテクニックがあるんですが、これが決まると最高で、爽快感がすごい。これはね……よくできているゲームですから、純粋にボクシングファンに勧めたいかな。そもそもタイソンがゲームになるってすごくないですか。(ボクシング5階級王者の)メイウェザーですらなってないのに(笑)」
■コレしかない、電話すると「あの人」が出るゲーム
いよいよ3本目。この流れから言ってかなり期待できそう。
「最後は………コレしかない」と力強く語る北林さん。
プレイ中に出てくる謎の番号に電話すると、ミポリンがメッセージをくれるサービスが有名でした(画像:スーパーポテト秋葉原店)
「恋愛アドベンチャーゲームの『中山美穂のトキメキハイスクール』(1987年)。コレに間違いない!」
2014年にミュージシャンの辻仁成と離婚した中山美穂さん。当時「おおっ、俺のミポリンが戻ってきた」とテンションが上がり、波の数だけ抱きしめたくなった中年男性は少なくないでしょう。そんな中山さんですが、最近では本格的な舞台に取り組んだり、日韓同時公開の映画に主演したりしているそうな。
「いや~、個人的にもろタイプなんです。ぱっちりオメメで、雰囲気も最高! これはジャケ買い作品ですよ、ジャケ買い。なに? ひと言ぐらい気の利いたことを言えないのかって? う~ん、そうだね…………『欲しくなっても、買う前に一晩考えよう」かな。次の日になってもまだ欲しかったら買いましょうと。というか私、このゲーム、1回もプレイしたことないんだよね~(笑)」
■レトロゲームで皆仲良く
「ここまで引っ張って、顔だけかよ!」とツッコミを入れようとした記者に突然、意外(?)なメッセージをくれた北林さん。
「タレントゲームみたいなレトロゲームの良いところは、友達みんなで楽しめること。スマホゲームだったら、ひとりで布団にくるまっても楽しめるじゃないですか。でもね、僕らが子どもだった昭和時代は違いましたよね。今の言葉でいうなら、どんな『陰キャ』でもゲーム好きはみんな友達の家に行ったり、逆に自宅に呼んだりしてたじゃないですか。ゲームを通してワイワイ言い合う、ああいったコミュニケーションってすごくいいと思うんですよね。だから、皆さんもたまには集まって、タレントゲームやレトロゲームをやってみてはどうでしょう?」
最後の最後でいい感じの〆の言葉をもらったので、これにて終了。記者も30年ぶりぐらいにタレントゲームやってみようかな~。
(マグミクス編集部)
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