絶妙すぎる「4コママンガ」の実写化 「知らなかった」「工夫凄い」
マグミクス / 2023年1月15日 18時10分
![絶妙すぎる「4コママンガ」の実写化 「知らなかった」「工夫凄い」](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_132253_0-small.jpg)
■迷惑社員の日々が令和に蘇る!
連載42年目となる人気4コママンガ『かりあげクン』が、ついに実写ドラマ化され、2023年1月の放送開始から話題となっています。『サザエさん』を筆頭に、4コママンガの実写化は過去にいくつかありましたが、原作の個々のエピソードが短く単発なだけに、ひとつの物語に組み合わせると、どんな仕上がりになるのかが気になるところです。
原作の4コマ感が活かされるのか、それとも普通のストーリー仕立てに編み直されるのか。過去には、実は4コママンガが原作とはあまり知られていない、意外な人気作もありました。
●4コマ感を活かしたドラマ『かりあげクン』
2023年1月7日(土)にスタート(23時~/BS松竹東急)したドラマ『かりあげクン』の原作は、連載開始から42年目を迎えた超長寿4コママンガです。『コボちゃん』『フリテンくん』などでもおなじみの、「4コマの巨匠」植田まさし先生が手掛けています。
主人公・かりあげ正太はいたずらが大好きで、会社でも仕事そっちのけで、いたずらばかり仕掛けている迷惑社員です。しかも常にポーカーフェイスで何を考えているか分からず、こんな人が実際に同僚だったらイライラして仕方がないと思うのですが……なぜか周囲からはほんのり愛されていて「かりあげのヤツ、まったく…」で終わってしまうという、お得なキャラです。ダメダメ社員でも許される、むしろ愛される平和な職場へのあこがれもあって、長年愛されてきたのかもしれません。
そんな世界観がクセになる『かりあげクン』は、戸塚純貴さん主演で実写化されました。初回を見ると、原作の4コマエピソードをしっかり活かした作りで、30分枠で「かりあげ正太と申します!」「ネット社会はつらいよ」「競馬大好きクラモチさん」の3本立てで作られています。
かりあげクンのいたずらの毒気を心地よく着地させるには、原作のエピソードを盛り込んだショートドラマ形式が最適なのでしょう。ちなみに、ややダサかったはずの「かりあげ」ヘアは、令和の時代には逆にカッコよく見えてしまったので、そこは思い切ってもっと刈り上げてほしかったです。
●そういえば4コマ感がやや漂う? ドラマ『来世ではちゃんとします』
2023年1月5日(木)からシーズン3の放送が始まった大人気ドラマ『来世ではちゃんとします』(0時30分~/テレビ東京他)も、実は同名4コママンガ(著:いつまちゃん)が原作です。主演の内田理央さんをはじめとする、「性」をこじらせた女性たちのラブエロコメディで、なんでもありの深夜ドラマのなかでも、かなり濃厚です。
もちろんTVドラマよりは原作の方が過激ですが、実写となるとどうしても、こってりした雰囲気(と、こちらの気恥ずかしさ)が増してしまいます。どんなに性的にディープな内容でも、軽く読めてしまうのは、4コママンガの強みでしょう。ドラマ版の1話が2~3タイトルで構成されているのは、原作の4コマの軽い空気を、実写にも漂わせたいからでは? と思わせられます。
●4コマから一大巨編へ……ドラマ『義母と娘のブルース』、映画『自虐の詩』
大ヒットしたドラマや話題になった映画も、意外に原作は4コママンガでした。
2018年に放送された綾瀬はるかさん主演の『義母と娘のブルース』は、平均視聴率14.2%、最終回は19.2%という数字を記録し、その後2回のスペシャル回も放送された大ヒットドラマです。「ぎぼむす」と略して、親しまれました。血のつながらない母娘の、10年にわたる成長物語が丁寧に描かれたこのドラマの原作が、実は4コママンガ(著:桜沢鈴)だと知ったら、驚く人も多いでしょう。ギャグと感動のバランスの良さもしっかり再現し、原作ファンからも好評を得ました。
また、中谷美紀さんと阿部寛さんが共演した映画『自虐の詩』(2007年公開)も、同名4コママンガ(著:業田良家)が原作です。すぐにちゃぶ台をひっくり返す乱暴者のヒモ夫・イサオと、そんな彼に健気に尽くす妻・幸江の姿に、笑わせられながらも、小さな幸せを感じ、涙させられました。
どちらの実写版も、言われなければ4コマが原作とは思わない作品ですが、実は原作は2作とも、4コマの連続で物語を進めていくストーリー仕立てになっているのです。各エピソードで4コマとしての起承転結もしっかりつけながら、全体の物語も描いていくという、スゴ技に驚かされます。
4コママンガは、同じ大きさのコマで成り立っているからこそ、どこに注目させてどう見せるのかが、実写版制作陣の腕の見せどころと言えるでしょう。力の入った実写作品が、さらに出てくることを期待しています。
(古屋啓子)
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