『君の名は。』『ラブプラス』ファン必読? 文化だけじゃない、「聖地巡礼」がもたらす新たなビジネスとは
マグミクス / 2019年1月4日 18時0分
■「聖地巡礼」を「消費行動」の視点から分析
2018年12月4日(火)に発売された「アニメ産業レポート2018」(日本動画協会)によると、アニメ関連市場は初めて2兆円を突破し、2兆1527億円(前年比108%)となりました。主に底上げしたのは、米国や中国のインターネットプラットフォーマーへの作品販売(前年比129.6%)などで、今後も大きな市場拡大が期待されています。
そんな同産業から近年生まれ、急拡大しているのが、アニメファンによる「聖地巡礼」です。聖地巡礼とは、熱心なファンが、アニメやマンガの舞台となった土地や建物などを聖地と称して訪れること。2018年12月8日(土)に発売された『巡礼ビジネス ポップカルチャーが観光資産になる時代』(KADOKAWA)は、その聖地巡礼を「消費行動」の視点から、そのメリットとデメリットを分析した1冊となっています。
著者で奈良県立大学准教授の岡本健さんに話を聞きました。
――本書を執筆されたきっかけについて教えてください。
角川新書の編集部から『巡礼ビジネス』というタイトルの執筆を打診していただいたのがきっかけです。アニメファンの中には、聖地巡礼を『アニメを地域振興に利用している』と否定的な人も少なくありません。そうしたこともあって、タイトルに『ビジネス』と入っている点が気になるものの、結果的には、そういう人たちにこそ読んでいただきたい内容に仕上がりました。大切な文化を守るためにビジネス的観点をいかに活用するか、そこを重点的に書きました。
■聖地巡礼の市場規模「潜在需要は相当」
――聖地巡礼というと、アニメのイメージが強いですね。
聖地巡礼は『君の名は。』で有名になったこともあり、アニメの印象が強いですが、『巡礼ビジネス』では、アニメ以外の聖地巡礼にも触れています。例えば映画や小説、マンガ、ゲームといったメディアコンテンツはもちろんのこと、城や刀剣、島、地名、マンホール、ダム、工場、ツチノコ、ゾンビなど、さまざまな対象への巡礼を扱っています。
本書で重要なのは『大切な場所』をいかに創り上げるかということです。聖地が誰かにとって大切な場所になれば、何度も訪れてもらえますし、友達や家族を誘って来てくれるかもしれません。SNSなどで宣伝してくれるかもしれません。そうなれば、国や地域を超え、同じ関心を持った人びとに巡礼してもらえます。
――聖地巡礼の市場規模は現在どのくらいで、今後どれだけの伸びを見せるのでしょうか。
市場規模は試算していないのでわかりませんが、日本のコンテンツのファンは、日本国内はもちろん、海外にも数多くいます。つまり、潜在需要は相当な規模でしょう。(伸ばすためには)その人たちに『行ってみたい』と思わせるような取り組みが必要です。
■『ラブプラス』の旅館に学べ
『巡礼ビジネス ポップカルチャーが観光資産になる時代』の表紙(画像:KADOKAWA)
――聖地巡礼が急拡大した裏には、どのような背景がありますか。
インターネットの利用率の増加で、『情報空間』へのアクセスが容易になったことや、アニメやマンガ、ゲームで育った『虚構空間』に親和性が高い人が増えたことなどが挙げられます。
――聖地巡礼が地域にもたらすメリットとデメリット(過度な商業化による弊害)について教えてください。また、デメリットの解決策とは。
経済効果はもちろん、メリットは、新たなアイデアを持ち込んでくれたり、気に入ったた人が移住してきたりすることです。
また、過度な商業化をすると来訪者が冷めてしまいます。それを避けるためには、徹底的に来訪者が持っている価値観について研究することが必要になります。布団を2組敷くという、恋愛シミュレーションゲーム『ラブプラス』の旅館の話(同書にて紹介)などがその例です。
『仕掛けすぎてはいけない』などとよく言われますが、そうではなく『仕掛けるなら徹底的に、丁寧にやる』ことが重要です。仕掛け方が雑だと、来訪者に見透かされてしまいます。
■観光・地域振興や、ビジネスにも応用可
――行政が「聖地」を観光資産化する際に欠かせないことを教えてください。
行政は、個々のアクター(関係者)では不可能なことを行うべきです。
――そのほかに、作品を通してうったえたいことなどがありましたら教えてください。
(今回)10年間におよぶ研究の成果をコンパクトにまとめました。アニメやマンガ、ゲームについての観光はもちろん、それ以外の観光・地域振興や、ビジネスにも応用できる知見がたくさん詰まっています。終盤では、巡礼ビジネスを始めるための『わらしべ長者メソッド』も紹介しています。それぞれが何か面白いことを実践して、楽しい日本をみんなで創っていきましょう。
* * *
なお同書には、インバウンドビジネスコンサルタント・村山慶輔さんとの対談も含まれています。定価860円(税別)。
(マグミクス編集部)
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