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『聖闘士星矢』海皇ポセイドンと海闘士らの実力が「微妙」だったワケ

マグミクス / 2023年1月22日 6時10分

『聖闘士星矢』海皇ポセイドンと海闘士らの実力が「微妙」だったワケ

■「ハーデス編」の中ボス、タナトスの方が強い?

 1986年に連載開始され、2022年の現在までに5000万部を超える大ヒットを記録した少年マンガ『聖闘士星矢』は、ギリシャ神話を題材とした壮大な世界観や、星座をモチーフとした鎧「聖衣(クロス)」、人間の内に眠る小宇宙(コスモ)を爆発させて奇蹟を起こす戦闘描写などが人気を博して、世界的に話題となった人気作品です。

 シリーズの最新作として、海皇ポセイドンと海将軍を描く新シリーズ『聖闘士星矢 海皇再起 RERISE OF POSEIDON』(原作・車田正美/マンガ・須田綱鑑)が2022年9月から「月刊チャンピオンRED」で連載されています。

 この最新作のもとになっているのは、オリジナル連載の中盤で描かれた「ポセイドン編」です。ストーリーは「十二宮編」の続きで、生き残った聖闘士たちは城戸沙織を仕えるべき女神アテナと認め、冥王ハーデスの復活に備えます。そんななか、アテナによって「アテナの壺」に封じられていた、オリンポス十二神の一柱・海皇ポセイドンの封印が破られます。

 アテナとポセイドンは地上をめぐって何度も戦い、その結果としてポセイドンは封じ込められていたのです。

 しかし、13年前、アテナ殺害を兄のサガに進言したことで、スニオン岬の岩牢に幽閉されていた双子座の聖闘士カノンが、アテナの壺を発見してその封印を解き、ポセイドンより彼に仕える海闘士(マリーナ)、「シードラゴンのカノン」と認定されます。

 カノンは海皇ポセイドンの名前を借り、海闘士を集めます。そしてマーメイドのテティスに、地中海の大富豪ソロ家の嫡男・ジュリアンを拉致させました。

 ジュリアンはポセイドンが地上に現れる時の「器」で、彼はポセイドンの意志と同化して、人間の罪から地上を浄化するために、大雨を降らせ、天変地異を起こします。

 アテナである沙織は、ジュリアンを止めますが、ジュリアンは「アテナである貴女が、ポセイドン海底神殿を支えるメインブレドウィナの中に入り、地上に振る大雨を受ければ、災害が軽減される」と提案します。ポセイドンの狙いは、アテナを人柱にすることで、地上の手に入れるだけでなく、メインブレドウィナを強固にするというものでした。

 沙織は地上の人びとのために、これを了承。そのことを知った青銅聖闘士の星矢たちは、アテナと地上を救うために、海底神殿に乗り込みます。しかし、メインブレドウィナを破壊するには、七つの大洋を支える柱を破壊しなければならないと判明。星矢たちは、それぞれの柱を守る「ポセイドン7将軍」と戦い、これを撃破します。

 星矢たちは海皇ポセイドンを退けて、メインブレドウィナにたどり着こうとしますが、あらゆる攻撃を反射するポセイドンに為すすべがありません。射手座の黄金聖衣と仲間の助力を得てポセイドンに矢を命中させると、ポセイドンは「ジュリアンとしての自我」を取り戻します。その間に、メインブレドウィナにたどり着いた星矢たちですが、星をも砕くという天秤座の武器をもってしても、傷ひとつつけられません。

 星矢は、仲間の紫龍と氷河の必殺技によってメインブレドウィナに飛ばされ、そして究極まで小宇宙を高めて、メインブレドウィナの原子を砕く奇蹟で、アテナを救出します。

 復活したアテナに対し、ポセイドンとしての自我を取り戻したジュリアンが三叉の鉾を向け、殺害しようとしますが、アテナに岩牢で溺れかけた自分を救ってもらった事実に気づいたカノンが身を挺して庇い、鉾を防ぎます。アテナはメインブレドウィナに封じられていた「アテナの壺」を開け、再びポセイドンを封印するのです。

■ポセイドン陣営の「弱体化」には理由があった?

双子神のタナトスとヒュプノスを相手に、星矢たちが過酷な戦いを強いられる「聖闘士星矢 冥王ハーデス エリシオン編」DVD(エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ)

 さて、『聖闘士星矢』の連載全体を通してみると、「ポセイドン編」で描かれる海皇ポセイドンとその部下である海闘士の強さは微妙に見えます。

 例えば、ポセイドンと同格の、冥王ハーデスの配下である死の神タナトスは、星矢たちを救援にきた黄金聖衣を木っぱみじんに破壊しています。黄金聖衣は「神話の時代から一度も破壊されたことがない」究極の聖衣ですから、その破壊は非常にインパクトがありました。

 一方、ハーデスと同格で、タナトスより格上のポセイドンは、何度も三叉の鉾から雷のような力を発して、星矢たちを攻撃していますが、星矢・紫龍・氷河がまとった黄金聖衣を破壊するどころか、黄金聖衣をまとってもいない瞬や一輝、シャイナを殺すこともできません。三叉の鉾で貫かれたカノンですら、致命傷を負ってはおらず、冥王ハーデス編で味方になるほどです。

 また、海闘士最強であるポセイドン7将軍は聖闘士で最強の「黄金聖闘士に匹敵する」実力者(元聖闘士がふたりいますが……)のはずなのですが、聖闘士では最下級である青銅聖闘士の星矢たちに次々に倒されてしまい、「お前たちの実力など、黄金聖闘士の足元にも及ばない」と言われてしまいます。

 前述したように、アテナとポセイドンは神話の時代から地上を巡って戦っていたのですから「7将軍は黄金聖闘士並み」というのは根拠があるはずなのです。

 客観的に見て、7将軍で「黄金聖闘士並みの実力者」は、牡牛座の黄金聖闘士アルデバランを一方的に破り、瞬のネビュラストームを受けても生存したセイレーンのソレントだけでしょう(シードラゴンのカノンは双子座の黄金聖闘士サガと双子で技もほぼ同じ。実力も生き写しですから「最強レベルの聖闘士」であり、海闘士とは言えないでしょう)。

 最強の7将軍がこの程度で、同格以上の黄金聖闘士12人を含む、88人の聖闘士を擁するアテナと戦うのは無理ですし、ポセイドン自身も復活したアテナに、あっさりと封印されてしまうのですから、アテナより格下に見えます。なぜポセイドン陣営はこんなに弱いのでしょうか。

 その答えは、「アテナの封印」にあるのではないかと考えられます。

 ポセイドンは「アテナの小娘の封印とは関係なく、起きたい時に起きる」と言っていましたが、実際はカノンによる封印開放後も「アテナによる封印の効果は完全には切れておらず、ポセイドンの力は大きく制限されていた」のではないでしょうか。

 天秤座の童虎が、対ポセイドンで黄金聖闘士を動かさなかったという描写がありますが、童虎はアテナの封印がまだ有効で、ポセイドン陣営が弱体化していることも知っていたのかもしれません。

 アテナが配下の聖闘士に勝利の加護を与えるように、ポセイドンは海闘士に加護を与えているはずです。ポセイドンは「目覚めるごとに小宇宙が増大化している」という描写もあります。逆にいえば、星矢たちが7将軍と戦っていた時には、アテナの封印と、自身が目覚めきっていないことが合わさって、本来の力を発揮できなかったのでしょう。

 その結果、7将軍も本来の力を発揮できなかった。「黄金聖衣に匹敵する防御力を持つ」はずの鱗衣が、星矢たちにあっさり破壊されたのも、ポセイドンの力が弱まっていたからでしょう。ポセイドン自身もアテナに「アテナの壺」を使われようとした時に「私にそんなものは通用しない」ではなく「やめたまえ」と、格下であることを認める発言をしていましたから、自身が弱体化している自覚はあったものと思われます。

 ちなみに、「国際水路機関(IHO)」によると、世界の海洋は66に分けられているそうです。劇中では「雑魚の海闘士」と7将軍とテティスしか海闘士は登場していませんが、ポセイドンがアテナと地上を巡って対等に戦っていた時代には、もしかしたら残り58人の海闘士がいて、堂々と正面から戦える陣営だったのかもしれません(他に海闘士がいたけれど、ポセイドンが完全復活していなかったことで、召喚できなかったということです)。

 なお、冥王ハーデス編で、ポセイドンは封印された状態でありながら、アテナに助力して黄金聖衣をエリシオンの星矢たちに送り届けます。タナトスは「ハーデス様に地上を渡さないためにポセイドンがそうした」と考えましたが、この推論は違うのかもしれません。

 ポセイドンは神である自分の目の前で「奇蹟」を起こした星矢たちを認め、助力に値すると考えたのでしょう。その上で、アテナがハーデスに殺されると、永久にアテナの封印が解けなくなるか、もしくはハーデスがアテナの封印を受け継ぐことを危惧し、助力したのではないでしょうか。

 連載中の新作『聖闘士星矢 海皇再起 RERISE OF POSEIDON』では、ポセイドン陣営がどう描かれるのか、楽しみでなりません。

(安藤昌季)

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