2023年はファミコン40周年! 発売の年から『スーパーマリオ』登場までの歴史「欲しくても買えない」
マグミクス / 2023年2月2日 12時10分
■画期的だった、小銭を入れなくてもプレイできるビデオゲーム
1983年7月15日に発売され、2023年で40周年を迎えるファミコンですが、動画を検索すれば今でもさまざまなゲームが紹介されているなど存在感は健在です。そこからも、当時の子供たちに与えた強烈なインパクトをうかがい知ることができます。ファミコンは、日本国内で1935万台、世界で6191万台を売り上げ、家庭用ゲーム機という文化の浸透に大きな貢献を果たしました。その歴史について、筆者の個人的な記憶に基づき、『スーパーマリオブラザーズ』登場までを振り返ってみようと思います。
1983年、最初にファミコンを知ったきっかけは、「ファミリーコンピュータ登場!」の声で始まるTVCMでした。とはいえ当初はそれほど気にしていたわけではありません。1980年には「ゲーム&ウオッチ」が登場してキャッチーなCMで一世を風靡(ふうび)していましたし、1981年にはエポック社の「カセットビジョン」が発売されており、カセット交換式の家庭用ゲーム機の存在は知っていたのです。いま改めて思えば、1980年代前半はゲームが徐々に家庭のなかへ浸透していきつつある状況でした。
とはいえファミコンは本体が14800円、カセットが3800円もするのはネックでした。普通の子供が買える代物ではありません。それに当時、ビデオゲームを家で遊ぶ文化はまだ醸成されているとは言えず、たまに駄菓子屋さんやデパートのゲームコーナーで遊ぶのが精々だったのです。
そんな事情もありそれほど興味は湧かなかったのですが、ある日、状況は一変します。遊びに行った友達の家に、ファミコンがあったのです。最初に遊ばせてもらったのは1983年12月7日発売の『ベースボール』だったと記憶しているので、それ以降の出来事なのは間違いありません。その日は、小銭を入れなくてもプレイできるビデオゲームに感動を植え付けられた、記念すべき日となりました。
当然、親にねだりましたがどうにもなりません。それでもなんとか、翌年1984年のクリスマスに買ってもらえることになって大喜びしました。しかし、探しても探してもどこにもないのです。このときすでにファミコンの人気は高まっており、任天堂も200万台以上を出荷していましたが、需要を満たすには全く足りませんでした。結局、おもちゃ屋さんの店員に「ファミコンに似たのがありますよ」と言われ、セガの「SG-1000II」を買ってもらったことをよく覚えています。
■『スーパーマリオブラザーズ』でファミコンブームは沸騰した
ファミコンブームを最高潮に盛り上げた『スーパーマリオブラザーズ』 (C)Nintendo
しかしファミコンを手に入れた友達が増えていくなか、「SG-1000II」では話題についていけず、翌1985年に再び親をおがみ倒して買ってもらうことになりました。新聞のチラシを見て入荷を知り行ってみたところ、すでに開店を待つ母親と子供たちで行列ができており、ファミコンの人気を改めて思い知らされたものです。初めてファミコンを手にしたときの喜びは、今でも忘れられません。最初に買ってもらった『ナッツ&ミルク』、2番目に買ってもらった『ギャラクシアン』、3番目の『ゼビウス』は、当時の自分にできる限り遊びつくした思い出のタイトルです。
この頃には「コロコロコミック」でもファミコンの特集が増えており、それがファミコンブームに拍車をかけていました。特に16連射で有名な高橋名人の人気はすさまじく、当時の少年たちにとってのヒーローとなっていました。マンガでもあさいもとゆき先生の『ファミコンロッキー』が非常に強い存在感を放っており、ゲームの情報が少なかった当時、『スパルタンX』を24周すると囚われのシルビアがラスボスとして登場するという、マンガに描かれた内容を鵜呑みにしてしまう子供も現れました。ええ、筆者がそのひとりです。
1984年から85年にかけてはファミコンの初期を支えたタイトルが数多く発売されています。光線銃を使った『ワイルドガンマン』や『ダックハント』、『ロードランナー』、『デビルワールド』、『パックマン』、『マッピー』、『クルクルランド』、『エキサイトバイク』、『バルーンファイト』、『忍者くん 魔城の冒険』、『ディグダグ』、『イー・アル・カンフー』、『ハイパーオリンピック』、『ドルアーガの塔』など……挙げていけばキリがありません。
なかでも特別なタイトルとなると、まず『スターフォース』となるでしょう。1985年の夏休みに開催されたハドソンのシューティングキャラバンは、国内初の大規模ファミコン大会として歴史に名を残しました。『スターフォース』の盛り上がりに合わせたかのように、8月10日には世界初の連射機能を持つコントローラ「ジョイボール」がHAL研究所から発売され、子供たちの憧れの的となっていたことを思い出します。
そして1985年9月13日には『スーパーマリオブラザーズ』が発売されたのです。国内681万本、世界で4024万本を売り上げた、当時究極の面白さを備えたアクションゲームの登場により、ファミコンの人気は本格的に沸騰することとなりました。その後、1986年にファミコンの歴史をいま一度大きく揺り動かすソフトが発売されることになります。
(早川清一朗)
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