ファミコン全盛期、子供たちが飛びついたゲーム雑誌の思い出 現在も唯一残る1誌とは?
マグミクス / 2023年1月28日 15時10分
■最初に登場したファミコン情報誌は?
ファミリーコンピュータが大きなブームを巻き起こした1985年を皮切りに数多くのファミコン情報誌が登場し、子供たちは情報を求めて飛びついていました。それまで、子供たちのゲーム情報源となっていたのは「コロコロコミック」などでしたが、マンガ雑誌なだけに、ゲームに関するページ量は満足できるものではありませんでした。続々と発行されたファミコン専門誌のなかでも、特に人気が高かった4つの雑誌について解説します。
●「ファミリーコンピュータMagazine」
徳間書店インターメディアが発行していた、「ファミマガ」の愛称で知られる「ファミリーコンピュータMagazine」は、1985年7月に創刊された日本で最初のファミコン情報誌です。当初は月刊誌でしたが、発売されるカセットの増加と他紙との競争もあり、月2回刊を経て隔週刊へと移行しています。ファミコンが擬人化されたキャラクターが表紙を飾っていた雑誌と言えば思い出す方も多いのではないでしょうか。
攻略記事が充実していたのが特徴で、別冊付録として攻略本が付いていることもしばしばありました。特に人気を呼んでいたのがバグや隠しコマンドを「ウル技(テク)」として紹介する「ウル技紹介コーナー」でした。毎号ひとつウソの技「ウソ技(テク)」が含まれており、『水晶の龍』の「ヒロインと野球拳」など子供たちに大きなショックを与えた「ウソ技」も生まれました。
ファミコン雑誌の代表格として活躍した「ファミマガ」ですが、1990年代半ばに任天堂ハードが劣勢になるとともに低迷し、1998年3月に休刊を余儀なくされました。しかしその後もたびたび復刻されており、かつてのファミコン少年たちを喜ばせています。
●「マル勝ファミコン」
角川書店(現:KADOKAWA)が発行していた「マル勝ファミコン」は、1986年4月にパソコン雑誌「コンプティーク」から派生する形で創刊されました。特にマンガに力を入れていましたが、なかでも1987年に連載が開始された『魍魎戦記MADARA』(原作:大塚英志、マンガ:田島昭宇)はヒット作となり、掲載誌を変えさまざまなシリーズが発表されています。
1991年に「マル勝スーパーファミコン」へと改題しましたが、1992年10月にあるトラブルから角川系の社員が一斉に退社。外部のプロダクションへと編集が委託されるようになり、品質が落ち人気も低迷してしまいます。トラブルは解決に至ったものの、「PlayStation」や「セガサターン」の台頭もあり誌名を「マル勝ゲーム少年」に移行、立て直しを図りました。しかしそれも果たせず、1997年に休刊を余儀なくされました。
■今なお健在なゲーム雑誌は?
2017年に発行された復刻版「蘇るファミコン必勝本」(宝島社)
●「ファミコン通信」(現:ファミ通)
今回紹介するなかで唯一発行が続いているのが、1986年6月にアスキーが創刊した「ファミコン通信」です。1991年7月に週刊化され、1995年には略称として使われていた「ファミ通」が正式名称となりました。2000年4月からはエンターブレイン、2013年にはKADOKAWAへと発行元が変更されており、現在はKADOKAWA Game Linkageが発行しています。
人気コーナーとして4人のレビュアーがゲームに点数を付ける「クロスレビュー」が存在しており、高得点を獲得したタイトルには大きな注目が集まるため、極めて強い影響力を保持していました。誌上で使えるポイント「ガバス」も大変な人気があり、1990年代半ばには他誌が続々と休刊するなか、圧倒的な存在感を保持し、今なお週刊誌として活躍を続けています。
●「ファミコン必勝本」
JICC出版局(現:宝島社)が刊行した「ファミコン必勝本」は、1984年から6年にかけて別冊宝島シリーズで刊行された「ファミリーコンピュータ必勝本」を引き継ぐ形で1986年3月に創刊されました。
他誌では扱いが少なかった『ウィザードリィ』の取り扱いが多く、ベニー松山氏による小説『隣り合わせの灰と青春』や石垣環氏によるマンガ『ウィザードリィ外伝』も連載されるなど、特に力を入れていました。なお、『隣り合わせの灰と青春』は2022年末からリイド社のWebマガジン「コミックボーダー」でコミカライズ版の連載がスタートしています。
他にも『ポケットモンスター』の生みの親である田尻智氏がエッセイ『パックランドでつかまえて』を連載し、後に小説家やシナリオライターとして活躍する手塚一郎氏や漫画家となる鈴木みそ氏(ちゃっきりみそ)など才覚あるライターが個性を発揮する企画が多く掲載されていたのも大きな特徴と言えるでしょう。
しかし「スーパーファミコン」への転換期を迎えると人気は低迷し、たびたびリニューアルを繰り返すものの勢いを取り戻すことはできず、1998年5月1・15日合併号を以て休刊を余儀なくされました。
(早川清一朗)
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