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『鬼滅の刃』鬼殺隊は、なぜ個人が運営している?「政府非公認」の理由を歴史から考察

マグミクス / 2023年2月5日 18時10分

『鬼滅の刃』鬼殺隊は、なぜ個人が運営している?「政府非公認」の理由を歴史から考察

■「鬼狩り」が取り締まられることの不思議

『鬼滅の刃』には、人を喰らう鬼が多数登場します。鬼は人間を大きく上回る身体能力を持ち、太陽の光を浴びるか、頸を斬られない限りは死にません。強い鬼となると「血鬼術」と呼ばれる特殊能力も使いますから、普通の人間ではとうてい太刀打ちできない強敵です。

※この記事は、物語の核心に触れない範囲で、一部アニメ化されていないエピソードを含みます。

 鬼の王・鬼舞辻無惨は平安時代に生まれた人物のようです。無惨が最初の鬼であるかは分かりませんが、少なくとも人間は千年程度の間、鬼の脅威にさらされていたということです。

 これほどの脅威なのですが、なぜか国は鬼への対策を取りません。国は鬼の存在を認識していないわけではありません。後に鬼殺隊最強の「岩柱」となる悲鳴嶼行冥は、鬼となった人間を殺害したことで、殺人犯と認定され、投獄されてしまいます。鬼殺隊を率いる「お館様」である産屋敷耀哉が政府に働きかけ、彼を釈放させています。

 これは、政府が「産屋敷家の求めに応じて、殺人犯を免罪」したということですから、政府は鬼の脅威を理解しています。でなければ、悲鳴嶼は脱獄囚として政府に追われる立場になってしまうのですから、超法規的措置が行われたということでしょう。

 産屋敷家は特殊能力として先見の明があり、莫大な富を得ている家とのことですが、国家とは財力や投入できる人員に天地の差があります。鬼がのさばって国民を殺害することは、国も困るはずですから、国が自ら鬼退治を行うことには、明らかに必要性があります。

 国が組織的に日輪刀を作ったり、住民を避難させたり、鬼に有効な新兵器(例えば不死川玄弥は日輪刀と同じ、猩々緋砂鉄・猩々緋鉱石からなる弾丸を込めた銃を使っています)を開発すれば、鬼の討伐はずっと速く進むのではないでしょうか。

 にも関わらず、実際には炭治郎たちは、鬼狩りに必要な日輪刀を持っていることで「廃刀令違反」として、警察に追われています。つまり警察には「鬼殺隊員は逮捕してはならない」という認識が共有されていないようなのです(一部の警察だけかもしれませんが)。

 国家ではなく、産屋敷家が「鬼殺隊」を編成している理由。それはふたつ想像できます。ひとつは「外国との関係性」です。幕末の開国以来、日本は不平等条約の改定や、日本を文明が遅れた国であると見なす動きに対して、神経をとがらせていました。

 史実では不平等条約が改められたのは、1911(明治44)年のことで、大正時代をモチーフとした『鬼滅の刃』からみて、ちょっと前のことです。「日本には鬼というモンスターがいて、人を食う」と諸外国に認知されたら、外交上問題であり、鬼の存在を秘匿したいと政府は考えている可能性があります。そういう意味で、政府は表だって「鬼殺隊員は鬼と戦っているから、取り締まってはならない」と布告はできないのでしょう。

 また「鬼殺隊」自体が、産屋敷家が創設した組織のようです。「産屋敷家の当主が代々短命なのは、血筋に呪いがかかっているから」といったように、鬼の存在と産屋敷家には、呪術的なつながりがあります。

 逆に言えば「鬼狩り」は、天が産屋敷家に課した贖罪行為であり、日輪刀や「全集中の呼吸」は、産屋敷家の加護の元でなければ、充分な効果を発揮しないのかもしれません。そう考えるなら、産屋敷耀哉が鬼殺隊隊員を「子供たち」と言うのは、理解できる気がします。構成者全員が自分の加護の元にある存在だからです。

「国家を含む、他の誰も鬼と戦う能力を持たない」という、筆者の推理がもし合っているのであれば、産屋敷耀哉の悲痛なまでの覚悟は、無理なからぬものだと思います。

(安藤昌季)

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