『ドラクエ』っていま何シリーズなの？ 「ロト」「天空」ときて次は

■「ロト」「天空」以外にシリーズはあるのか……？

『ドラゴンクエスト』シリーズ。現在「XI」まで発売されている国民的RPGです。さて、この『ドラクエ』ですが、一体今は「何シリーズ」なのでしょうか？

『ドラクエ』は複数のナンバリングがひとつとなって大きな「シリーズ」を形成している、というのは広く知られています。例えば最初の「I」「II」「III」はそれぞれが独立したゲームではありますが、大きなくくりで「伝説の勇者ロト」をめぐる物語であることが分かります。

　時系列も「III」→「I」→「II」で構成されており、全てをプレイし終わって初めて「III」のサブタイトル「そして伝説へ…」の意味に痺れるのです。この3部作を合わせて公式的に「ロト」シリーズと呼ばれています。

　続く「IV」「V」「VI」は世界観がうってかわって「天空シリーズ」に突入。「天空城」や「マスタードラゴン」、そして「天空の装備」という要素で「IV」「V」の繋がりが明かされます。

　さて、続く「VI」は、直接的な繋がりがないのですが「ゼニスの城」が「V」の「天空の城」と近しい構造を持っているところなどから、現在では「天空シリーズ」の中に組み込まれています。実際、公式サイトでも「IV」「V」「VI」をもって「天空シリーズ」と呼んでいます。

　さて問題は「VII」から、です。『ドラクエ』シリーズの人気は変わらないのですが、なぜか「〇〇シリーズ」というくくりを聞かなくなりました。これは公式的にもそうなのでしょうか？

■超ボリュームの「VII」から『ドラクエ』に変化が？

「ロト」3部作の前日譚と思わせる演出がある、Nintendo Switch用ソフト『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めてS』

「VII」は「シナリオだけでA4の紙に1万6000ページくらいある」と堀井雄二氏が語るとおり、シリーズ最長規模のボリュームです。

「過去」と「現在」を行き来し、オルゴ・デミーラによって奪われた世界を取り戻していくというとんでもないスケール感のストーリー。サブタイトルが「エデンの戦士たち」ということで「エデン」シリーズが始まるのかと思えば、次回作「VIII」で何か直接的なワードの繋がりはなし。

　一応、「III」に登場した不死鳥ラーミアと神鳥レティスが同一のものであるかのような演出がありますが、概して「VII」と「VIII」は他のナンバリングとの関連性がないと言えます。私見ですが、膨大なシナリオを詰め込めるようになったため、小分けしてシリーズにする必要がなくなった、と言えるかもしれません。

　さて続く「IX」「X」ですが、こちらは2作合わせて「箱舟」シリーズと言われています。「X」のとあるクエストをプレイすれば「あれ？これ、IXの話の続きでは…？」という瞬間に出くわします。とはいえこのシリーズ名はあくまでもファンの間での呼称であり、「ロト」「天空」のように公式のものではありません。

　そして古参ファンの胸を震わせたのが、記事配信時点での最新作『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』です。原点回帰を謳った本作ですが、随所に「ロト」という文言が登場。「III」から実に約30年の時を跨いで「ロト」シリーズが復活を遂げたのです。

　まず舞台が「ロトゼタシア」と「ロト」を冠した世界なのです。さらにさらに、ストーリーを進めていくと、これはもう「ロト」3部作の前日譚としか思えない演出がたびたび登場するのですが……本稿では事実上「ロト」シリーズという表現にとどめておきます。

「XI」がシリーズ最高傑作と言われているだけに、次回作『ドラゴンクエストXII 選ばれし運命の炎』にも俄然、期待が高まります。何シリーズであっても、とにかく『ドラクエ』をやりたい、このファンの想いは「ロト」「天空」シリーズよりもはるかに長く続いているのです。

（片野）