破壊衝動から虫を殺す小学生に、図工の美人教師が提案したのは？ ゾワッとする見事な伏線【作者インタビュー】

■手を故障した芸術家、田舎の学校で奇行に走る少年に出会う

　かつて芸術家として名をはせていた空世羅耶（うつせ・あみや）は、手の故障が原因で、田舎の学校へ教師として赴任します。赴任先の学校で、問題児と呼ばれるひとりの少年・鬼蓮（きさらぎ・れん）と出会ってしまい……。

　星樹スズカさん（@szk_stellagi）が「絵が描けなくなった女教師が問題児の少年を天才にする話」として公開した創作マンガ『空蝉の卵』がTwitter上で話題を集めています。

　この作品は2022年12月22日に発売された「月刊ガンガンJOKER」1月号に掲載された作品で、Twitterでは2.5万件を超えるいいねが付いています。読者からは「オチを読んで鳥肌が立った」「ゆがんだ狂気と美しい描写のギャップが好き」「独特な世界観にゾクゾクした」などの声があがっています。

　マンガアプリ「マンガUP！」にて『悪役令嬢の矜持〜婚約者を奪い取って義姉を追い出した私は、どうやら今から破滅するようです。〜』のコミカライズ化も決定している、作者の星樹スズカさんにお話を聞きました。

ーー星樹スズカさんがマンガを描き始めたきっかけを教えて下さい。

　小さい頃から読み物としてマンガが好きで、漫画家になりたいという気持ちがずっと強くありました。それまで百合バトルマンガなど考えていたのですが、あまりうまくいかず。そこで「自分が本当に描きたいものはなんなんだろう？」と思った際に「そのなかの人間模様を描きたいんだ」と思い、舞台を現実世界にした人間模様重視のマンガを編集部に持ち込んだところ、デビューが決まりました。

ーー『空蝉の卵』のお話が生まれたきっかけは何ですか？

『DEVILMAN crybaby』が好きなのですが、そこで永井豪先生を調べて「彼の天才性を保持させるための童貞を守る会」が発足したというのがとても印象的で。でも別にそれは意味がなかったそうなのですが……。性の発露が才能につながるってとても面白いなと思い、そこから「じゃあ童貞を奪おうとする女性もいるはずだ」と考えました。

似顔絵を描く授業で「先生を描きたい」と言い出して？（星樹スズカさん提供）

ーーラストにつながる伏線に興奮した様子の読者も多いです。このストーリーを描くうえで特に意識した点はありますか？

　仕掛けに気付いてくれた方が多くて安心しました。気付かれないで、あの終わりで終わってしまう可能性も高かったので。賛否が分かれるオチだとは思うのですが、最初から女性の破滅を意識した作品だったので、より深みを持たせるためにネーム会議に通ったあとも描き直しました。

ーー伏線だけでなく、教師と生徒の絶妙な「ゆがみ」についてのコメントなど、たくさんの感想が寄せられています。特に印象に残った読者の声について、教えて下さい。

　好悪の分かれる作品だとは思っているので、感想をいただけた時点で、どれもとても励みになっています。あとやはり登場人物の関係が刺さったなど、名前を出してほめられた際はとてもうれしくなりました。キャラがその人のなかで生きているんだな、と感じるので。

ーー今後、発表される作品については、どのように活動していきたいとお考えでしょうか？

　いろいろな反応を受けて、早く自分の単行本を出したいと思いました。同時に趣味のマンガを描いたりもして、いろいろな作品を世に発表していけたらいいなと思っています。単行本につながるような次回作もじわじわと構想を進めていますので、一つひとつの活動を見守って、応援していただけたらうれしい限りです。

（マグミクス編集部）