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魔の「第三艦橋」は何のためにある? 木村拓哉主演、実写版『ヤマト』BS放映

マグミクス / 2023年2月12日 12時30分

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■豪華キャストを配し、興収40億円を記録

「ちょ、待てよ!」

 SFアニメの金字塔『宇宙戦艦ヤマト』が、木村拓哉さん主演映画として実写化されると2009年に発表された際、驚きのあまり、そんな言葉がつい口からこぼれた人もいたのではないでしょうか。

 木村拓哉さんが主人公・古代進に扮した実写映画『SPACE BATTLE SHIP ヤマト』は、2010年12月に公開され、興収40億円のヒット作となりました。メガホンをとったのは、2023年11月に新作『ゴジラ』が公開される山崎貴監督です。得意とするVFXをふんだんに使い、まさかの実写化を実現しました。

 切れ長の瞳が印象的なヒロイン・森雪には、黒木メイサさん。沖田艦長には山崎努さん、徳川機関長には西田敏行さん、佐渡先生には高島礼子さん、真田技術長には柳葉敏郎さん……という豪華な配役も話題となりました。

 2023年2月12日(日)の19時から、BS12の「日曜アニメ劇場 特別編」では『SPACE BATTLE SHIP ヤマト』を放映します。本作の見どころを紹介するとともに、「ヤマト」ファンなら気になる「第三艦橋」にも触れてみたいと思います。

■「第三艦橋」が森雪と古代進の関係を変えた?

 実写版『ヤマト』のストーリーは、1974年にテレビ放映されたアニメシリーズの第1作『宇宙戦艦ヤマト』(日本テレビ系)をメインにしたものとなっています。西暦2199年。地球は謎の異星人ガミラスの攻撃を受け、滅亡寸前となっていました。古代進(木村拓哉)らは宇宙戦艦ヤマトに乗り込み、遥かイスカンダル星を目指して旅立ちます。イスカンダル星にある「放射能除去装置」を受け取ることが目的でした。

 アニメシリーズでは、レーダー手および看護師だった森雪ですが、黒木メイサさん演じる森雪はよりアクティブな人物です。戦闘機コスモタイガーを駆る、エースパイロットとして活躍します。火星でのガミラスとの決戦に古代進が参加していなかったことを、本人に向かって責めるなど、気性も激しい設定となっています。

 孤高のパイロットである森雪と、戦闘班の班長・古代進は乗艦当初は対立しあっていましたが、ある事件がきっかけで関係が大きく変わることになります。

 そのきっかけとなったのが、「第三艦橋」でした。ヤマトの艦底部分にある「第三艦橋」ですが、ガミラスのステルス艦に狙われ、取りつかれてしまいます。そのまま放っておくと、ステルス艦は自爆し、ヤマト全体が消滅しかねない大ピンチに陥ります。

 このとき、コスモタイガーで出撃していた森雪に対し、古代進は上官として非情な命令を下すことになります。九死に一生を得るヤマトでしたが、森雪は罪の意識に囚われてしまいます。苦しむ森雪を放っておくことができず、強く抱き締める古代進でした。

 このシーンは、映画のラストにつながる重要な伏線となっています。

■死亡フラグが立つ「第三艦橋」勤務

木村拓哉さん演じる古代進は、第三艦橋が敵に襲われるなか、非情な決断を迫られる (C)2010 SPACE BATTLESHIP ヤマト製作委員会

 そもそもヤマトの「第三艦橋」は、何のために存在するのでしょうか? 長年、疑問を感じてきたファンも少なくないに違いありません。実写版に限らず、「第三艦橋」は数々の悲劇に遭遇してきました。無防備な艦底にあるため、敵からいちばん狙われやすい構造となっています。

 アニメシリーズ第1作で最高の盛り上がりを見せた、第22話「決戦!!七色星団の攻防戦!!」では、ドメル将軍の自爆攻撃によって、「第三艦橋」は消滅。多くのクルーが犠牲となりました。

 続く第23話では、復旧したばかりの「第三艦橋」がまたしても悲惨な目に。ガミラス星の濃硫酸の海にヤマトが停泊していたため、「第三艦橋」は溶け落ちてしまいます。「第三艦橋」勤務は、あまりにも過酷な部署であることが分かります。

 唯一「第三艦橋」がスポットライトを浴びたのは、やはりシリーズ第1作の第8話「決死のヤマト!!反射衛星砲撃破せよ!!」でした。この回、冥王星の海でヤマトは転覆しているように見せかけ、沖田艦長は「第三艦橋」に一時的に移動し、ここで指揮をとります。「第一艦橋」「第二艦橋」が使用できない際の、臨時の指揮所という役割があったようです。

 劇場アニメ第2弾となった『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』(1978年)では、白兵戦部隊「空間騎兵隊」が惑星に降下する際のハッチとしても利用されました。

■不屈の精神、雑草魂としてのシンボル

 あまりにも過酷な歴史が続いた「第三艦橋」でしたが、リメイク版『宇宙戦艦ヤマト2199』(TBS系)では、真田技術長が新たに考案した波動防壁によって守られました。「第三艦橋」が最後まで無事だったことに、ホッとさせられました。波動防壁の要にもなった「第三艦橋」でした。

 今回の実写版では、古代進とは以前から知り合いだった若い安藤(浅利陽介)が「第三艦橋」のクルーとして乗艦しています。ヤマトに乗艦できたことを誇らしげにしていた安藤だっただけに、不憫さを感じずにはいられません。

 たびたびの悲運に見舞われてきた「第三艦橋」ですが、大破しても消滅しても、修復され、ヤマトの艦底部分を見守り続けてきました。

「雨ニモマケズ 風ニモマケズ」

 ファンタジー小説『銀河鉄道の夜』の作者・宮沢賢治が書き残した詩の一節が、思い出されます。「第三艦橋」は、不屈の精神、雑草魂のようなものを感じさせます。「波動砲」や「ワープ航法」といった派手なシーンに注目が集まりがちな『宇宙戦艦ヤマト』ですが、縁の下を支える「第三艦橋」にもぜひ注目してみてください。

(長野辰次)

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