『ガンダム 逆シャア』ラストでアムロとシャアが生存していたら…サイド共栄圏構想は実現した？

■誰が助けるかで変わる？

　アニメ『機動戦士ガンダム』『機動戦士Zガンダム』内で、アムロ・レイとシャア・アズナブルはライバル関係にありました。時には手を組んで戦ったふたりが、最終的に決別して対決したのが劇場版アニメ『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』です。

　シャアは地球に核の冬を起こして、人が住めない環境を実現し、結果として地球に住む特権階級も粛清することで、人類が宇宙で生活する社会を実現しようとしました。しかし、アムロがvガンダムと、vガンダムに搭載されたサイコフレームの力で、落下するアクシズの軌道を捻じ曲げます。そのままふたりは行方不明となり、作品は終了します。

　その後の時系列を描いた『機動戦士ガンダムUC』『閃光のハサウェイ』で、アムロたちが魂の声のような形で登場することもあり、アムロとシャアは死亡したと考えられています。もしふたりが生きていたら、どうなっていたでしょうか。

　ふたりを救出したのが地球連邦政府、あるいはロンド・ベル隊であれば、地球連邦政府との条約を破って、アクシズを地球に落とそうとしたシャアは、戦犯として死刑にされるでしょう。アムロについては、そのままロンド・ベル隊のモビルスーツパイロットとして、『機動戦士ガンダムUC』でも現役だったに違いありません。

　アムロの圧倒的実力で、ユニコーンガンダムに搭乗したら、ネオ・ジオン撃破は劇中よりずっと容易だったと思われます。

　ネオ・ジオン側がシャアを救出した場合は、どうなったでしょうか。この場合、シャアはネオ・ジオン総帥を続けるでしょう。『機動戦士ガンダムUC』でネオ・ジオンを束ねていたフル・フロンタルの正体は不明ですが、シャアのクローンという説もあります。ジオン共和国外務大臣モナハン・バハロが用意した強化人間のようですが、フロンタルはあそこまでシャアに似ているのですから、生育にシャア本人の関与があった可能性も高いです。

『機動戦士ムーンガンダム』の描写を見ると、本物のミネバ・ザビをシャアは保護していたようです。つまり、シャアは自分に近い実力を持つ、有能な影武者（『機動戦士ガンダムNT』に登場したゾルタン・アッカネンも「活用」されるかもしれません）と、ザビ家の正当な後継者の両方を手元に置いていることになります。

　成長したミネバは理知的で美しく、シャアを理解した上で、助言してくれる存在となりそうです。政略結婚すれば、ダイクン派とザビ派をひとつにできるので、政治的なメリットは大きいですが、ミネバには、ハマーンをはじめ、多くのニュータイプたちの魂が周囲にいるようなので、シャアがそこに踏み切れるかは微妙かもしれません。

　とはいえ、フル・フロンタルの「7つのサイドと月で人類を運営し、地球を排除した経済圏を作る」サイド共栄圏構想のような考えを、シャアは「地球の特権階級が地球に残り、妥協的だ」として認めなかったでしょう。つまり、再び隕石かスペースコロニーを地球に落として、地球に人が住めない環境を目指したのではないでしょうか。

　この場合のアムロですが、ネオ・ジオンに救出されたシャアは、一緒に救出されるであろうアムロを殺さないようにも思えます。アムロを終生のライバルと考え、自軍の重要機密であるサイコフレームまで提供するのが、シャアのこだわりです。アムロを世直しに勧誘して、拒否された後でロンド・ベル隊に送り返すのではないでしょうか。

（安藤昌季）