『ダイの大冒険』アルキード王国がバランを受け入れていたら…ダイは余裕でバーンに勝てた？

■ダイはもっと強くなっていた？

　人気ゲーム『ドラゴンクエスト』をモチーフとしつつ、少年マンガとしての解釈を加えた『DRAGON QUEST-ダイの大冒険-』。1996年の連載終了後も高い人気を持ち、2020年から二度目のアニメ化が行われて、さらにファンを増やしています。

　印象的なキャラクターが多い作品ですが、そのなかでも強い印象を残すのが、主人公の父である竜騎将バランでしょう。バランは人間、魔族、竜族が世界のバランスを崩そうとした時に、それを制裁するために神から力を授かった「竜の騎士」です。

　世界が魔王ハドラーの脅威に怯えていたとき、バランはハドラーよりも遥かに強い冥竜王ヴェルザーと戦っていました。魔界の大陸を消し去るほどの威力を持つ超爆弾「黒の核晶（コア）」まで使う、強敵ヴェルザーとの戦いは困難を極めました。バランは死力を尽くしてヴェルザーを打倒し、竜の騎士を回復させる奇蹟の泉にたどり着く前に力尽きそうになります。

　バランを助けたのは、アルキード王国の王女ソアラでした。ソアラは心優しい性格で、バランと恋愛関係となります。本来、一代限りで命を繋ぐことがない竜の騎士ですが、バランとソアラの間には、息子であるディーノ（後のダイ）が生まれたのです。

　しかし、王女を妻としたバランをよく思わない者が「バランは魔物だ」と、アルキード王に密告します。王はバランを捕らえて、攻撃呪文で処刑しようとします。バランはそれを受け入れようとしますが、ソアラがバランを庇って呪文を受け、亡くなりました。

　怒りが頂点に達したバランは、アルキード王国をこの世から消し去りました。

　こんな悲劇の物語ですが、もしアルキード王国がバランに理解を示していたら、どうなったでしょうか。

　もそも竜の騎士の力を回復する奇蹟の泉は、アルキード王国に存在するようです。そして、竜の騎士の存在は人間に秘匿されていたわけではなく、テランの王など、どんな存在なのか理解している人間もそれなりにいるのです。

　つまり、アルキード王に理性と調査能力があれば「神が遣わした竜の騎士が、我が国の王女と添い遂げている」ことは、むしろ国益になるとも考えられるはずです。

　バランはソアラが命を落とすまでは、非常に理性的な性格ですから、説明を求められたなら、竜の騎士の存在と、使命についてしっかりと説明できたでしょう。

　もし、アルキード王がバランを受け入れ、世界の救世主として敬意を払ったなら、どうなったでしょうか。

　アルキード王国にバランに反感を持つ者がいても、暗殺など不可能でしょう。つまり、バランは王女の配偶者として遇され、ディーノ（以下ダイ）は王子として扱われるはずです。この場合「竜の騎士の使命」を、アルキード王国は理解しているので、バランへの援助は惜しまないでしょう。力を回復したバランは、魔王ハドラーを圧倒的な実力で討伐し、アバンたちの出番はなくなっていたと思われます。

　そして、次なる脅威に備えて、ダイに武術を教えたはずです。バランとダイは性格的な相性がよく、ダイは真剣に武術を磨いたでしょうから、15年後に魔王ハドラーが復活したとしても、実際のダイよりもずっと強かったのではないでしょうか。

　この世界線で、魔王軍六大団長がどうなるかはわかりませんが（ヒュンケルが親の仇と狙う相手がバランになるかもしれません）、バラン＋竜騎衆＋劇中より強いダイとまともに戦えるのは、ミストバーンくらいだと思われます。

　バランがミストバーンの暗黒闘気や「凍れる時間の秘法」を破る方法を知っているかはわからないですが、ミストバーンを何とかできれば、大魔王バーンとの最終決戦となります。

　暗黒闘気については、バランは魔界で戦っていたので、対策技があるかもしれません。ミストバーンが出現した時、バランは「お前に私は倒せん」と言っていましたので。ただ、バランとダイのふたりがいることで、どちらかが老バーンを追い込めたなら、そこで完全体になるため「凍れる時間の秘法」を破らなくてもいいかもしれません。

　この世界線だと、ダイの剣が作れるとは限らないため（倒したハドラーから覇者の剣を奪って、ダイが使う可能性もありますが）、実際のダイ対バーンより有利になるかはわかりませんが、アバンやマトリフといった実力者がバランに助力すれば、世界を救えたのではないでしょうか。

（安藤昌季）