1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. アニメ・コミック

サザエさんたちの「年齢」に驚愕? 昭和の人は老けて見えたのか、実在のスターと比較

マグミクス / 2023年2月19日 18時30分

サザエさんたちの「年齢」に驚愕? 昭和の人は老けて見えたのか、実在のスターと比較

■たびたび話題になる『サザエさん』の年齢設定

『サザエさん』といえば、日本人ならば誰もが知っている国民的アニメです。原作マンガは1974年に連載終了、作者の長谷川町子先生は1992年に亡くなっていますが、アニメは69年から今まで継続中で、その歴史は半世紀を越えています。

 さて「サザエさん時空」と表現される『サザエさん』の作中時間は、その長い放送期間に対して完全にストップしています。登場人物であるサザエさんたちは年をとらないのですが、そもそもの登場人物たちの年齢設定を知って、驚いた方も多いのではないでしょうか?

●磯野一家の年齢設定

 一部では有名な『サザエさん』の磯野家の面々の年齢設定ですが、改めてまとめると

・フグ田サザエ(24歳)

・磯野波平(54歳)

・磯野フネ(50歳ぐらい、公式サイトの表記は「50ン歳」)

・フグ田マスオ(28歳)

・子供たち:磯野カツオ(11歳)、磯野ワカメ(9歳)、フグ田タラオ(3歳)

(※磯野一家の年齢設定については、アニメ公式サイト記載のものを正としています)

 子供のカツオ、ワカメ、タラオは、特に意外性はないですが、初めて知ったときに大人4人の年齢に驚いた人も多いのではないでしょうか。

 落ち着いて所帯じみているサザエはまだ20代半ばの若者、見た目、声などに落ち着きがあり、アラフォーくらいに見えるマスオも、まだ20代の若者です。また、おじさん、おばさんと言うよりおじいちゃん、おばあちゃんに見える波平とフネは、まだ50代。少なくとも現代では「老人」とはみなされない歳です。

 ただ、原作が連載されていた49~74年の時期は、「55歳定年」が主流だったため、当時に当てはめると、54歳の波平はいわば「隠居間際」の人です。しかし、2013年に「高年齢者雇用安定法」が改正され、2025年4月からは企業へ「65歳定年制」が義務化される現代の目線で見ると、64歳設定だったとしても「波平は老けて見える」と言う人もいるでしょう。

『サザエさん』に限らず、昔の人の方が今より老けて見えるというのは、よくある話ではあります。例えば、「今の年齢の自分や同級生が、子供のときにイメージしていた年齢よりも幼く見える」「自分が1年生の時の部活の3年生と、3年生になった自分たちが同じ年齢とは思えない」「60~70歳になった親が、子供のときに見た同年齢期の祖父母より若く感じる」というのは、よく話題になる「あるあるネタ」ですが、それも必ずしも気のせい、感覚の問題とは言い切れません。

 スポーツ庁の調べによると、65歳以上の高齢者を対象にした体力テストの結果が、この20年で男性5歳以上、女性は10歳以上若返っていると言います。また、厚生労働省による「国民生活基礎調査」によれば、「腰痛」「耳がきこえにくい」「目のかすみ」「物忘れ」などの悩みを抱える65~74歳の高齢者の率も、年々下がっているそうです。

『サザエさん』の原作が連載されていたのは1946年から1974年で、20年どころか50年以上前のことです。20年でこれだけ高齢者の体力が若返っているのですから、原作が連載されていた頃と比較すると、5歳から10歳程度ではなく、もっと若返っている可能性もあるでしょう。言い換えると、昔の人は今よりかなり老けて見えて、『サザエさん』の年齢設定は自然だったのかもしれません。

■昭和のスターたちと磯野家を比較

1956年の映画『サザエさん』はシリーズ化される人気作に。画像はポスタービジュアル  (C)東宝

●1956年版『サザエさん』を観てびっくり

『サザエさん』はアニメだけでなく、たびたび実写にもなっています。その代表例が江利チエミさんを主演にした映画シリーズで、人気作として全10作が製作・公開されました。映画1作目が公開された1956年当時はまだ原作も連載中で、同時代の感覚でキャスティングが行われていたはずです。

 当時の磯野家を演じた俳優の公開時の年齢を列挙します。

・サザエ…江利チエミさん(19歳)
・波平…藤原釜足さん(51歳)
・フネ…清川虹子さん(44歳)
・マスオ…小泉博さん(30歳)

 サザエとフネは設定よりも5歳ほど下ですが、近い年齢です。波平、マスオも同じくらいの年齢の俳優がキャスティングされています。鑑賞した印象ですが、原作のビジュアルと比べても、違和感は感じませんでした。

 また、波平の甥・ノリスケ(公式サイトでは「24~26歳」)は、のちに世界的に有名な俳優となる仲代達矢さんが演じています。当時は23歳だった仲代さんも、今の感覚で見るととても貫禄のある顔をしており、ノリスケとはまた別方向ですが、たしかに老けて見えました。

 ちなみに仲代さんは1962年公開の『切腹』で初老の浪人を演じていますが、撮影時まだ29歳(物凄い貫禄)。ただし、こちらの例は役作りによる特殊な例と考えた方がいいでしょう。しかし、それ以外の『人間の條件』シリーズ(1959年~)、『用心棒』(1961年)などの作品を見ても、現代の目線ではとても20代には見えません。

●昭和のスターは老けていた?

 こうなると、他の昭和の映画についても気になるところです。戦後から1960年代半ば頃までの代表的な映画から、磯野一家と同じくらいの年齢だった俳優を振り返ります。

・志村喬『七人の侍』『ゴジラ』(1954)

 昭和を代表する名優・志村喬さんの主演の代表作といえば、2023年にイギリスのリメイク版『生きる LIVING』も好評の『生きる』(1952)でしょう。末期がんを患う主人公・渡邊を演じた志村さんは、撮影当時47歳ですが、見た目は完全におじいさんです。ちなみに、『生きる』はヒロイン役の小田切みきさんが公開当時22歳で、サザエとは2歳差。何となく髪型がサザエさんに似ていることもあり、こちらも同時代感が強いです。

 ただし、撮影前に盲腸の手術をしてすでに痩せていたという志村さんは、さらに役作りで減量しており、これは特殊な例と考えた方が良さそうです。ですが、2年後の1954年に志村さんが出演した『七人の侍』や『ゴジラ』を見る限りでも、今のアラフィフ世代より明らかに貫禄があり、老けています。

 志村さんが『七人の侍』で演じたリーダー格の侍・島田勘兵衛は、もうすぐ50に手が届くという設定で志村さんの実年齢ともほぼ同じです。しかし、今よりも寿命がはるかに短い戦国時代の「初老」役として、何ら違和感のない貫禄でした。また、ゴジラで演じた山根恭平博士は55歳設定で、波平のひとつ上でした。現役の学者役ですが、現代の感覚だと65歳と言われても納得いきそうです。昭和の4~50代が老けて見えることに、すんなり納得がいきます。

・笠智衆『彼岸花』(1958)

 同じく昭和の名優・笠智衆さんの代表作といえば『東京物語』(1953)ですが、役柄としては孫もいる70歳のおじいさんで(笠さんは当時49歳)、こちらも役作りがあるので特殊な例と考えた方がいいでしょう。

 対して、『東京物語』と同じ小津安二郎監督の『彼岸花』(1958)公開当時の笠さんは、ちょうど54歳。小津監督の初のカラー作品で、モノクロよりも現代と比較しやすいです。笠さんが演じた主人公の同期仲間・三上は、まだ現役で働いている役柄であり、演じている役も笠さん本人、波平と同じくらいと考えられます。

 こちらも今のアラフィフ世代より明らかに貫禄があり、老けて見えます。『彼岸花』に関しては、主演の佐分利信さんも当時まだ49歳ながら、還暦間際のような貫禄がありました。

■昭和の20代は今よりも貫禄ありすぎ?

26歳の原節子さん主演『わが青春に悔なし』DVD(東宝)

・原節子『わが青春に悔なし』(1946年)

 昭和の名女優・原節子さんは、小津監督の作品のイメージが強いですが、戦後まもなく黒澤明監督の作品で、戦争の時代に翻弄されたヒロインを演じていました。原さん演じる主人公の八木原幸枝は、1938年時点で25歳とはっきり年齢が明言されており、物語開始時点が1933年、終盤が昭和1941年、エピローグの数分が終戦の1945年で、劇中の大半部分で20代(20歳から28歳)だったことになります。

 原さんは公開当時26歳で、劇中でも現実でもサザエさんとは近い年齢です。現代的感覚だと「若者」と言うには随分と落ち着いていて、古風な美人という感じ。サザエさんと同じ年頃であることに、納得がいく雰囲気です。

・京マチ子『羅生門』(1950年)

 京マチ子さんは大映の看板女優として活躍した昭和のスターで、日本映画の国際的地位を向上させた傑作『羅生門』などで有名です。彼女が『羅生門』で演じた真砂は時代劇ということもあり、何歳なのかいまいちわかりませんが、明言していないということは年相応の役だったのでしょう。

 原さんと同じく、『羅生門』公開当時の京さんの年齢は26歳で、こちらもサザエさんと同じくらいですが、若者と言うにはだいぶ落ち着いて見えます。

・三船敏郎『醉いどれ天使』(1948年)

「世界のミフネ」こと三船敏郎さんが、黒澤監督作品に初めて出演した当時、三船さんは27歳で、マスオさんのひとつ下です。今の感覚では若者ですが、だいぶ貫禄がある雰囲気。

 マスオさんとは全然タイプの違う、彫りの深い美青年ですが、落ち着いていて所帯じみているのは似た雰囲気がします。『酔いどれ天使』で三船さんが演じたのは、若く血気盛んなヤクザの役なので、むしろ27歳より若い設定と思われますが、今の若い人たちが見たら「イケメンだけど30歳半ば」だと思うかもしれません。

・山崎努『天国と地獄』(1963年)

 こちらも日本を代表する名優・山崎努さんは、出世作の黒澤監督の『天国と地獄』公開当時、26歳でした。同作の誘拐事件の犯人・竹内銀次郎役が、山崎さんの大きな飛躍のキッカケになります。

 竹内はインターン(研修医)役で、設定としても当然若者です。しかし、こちらも貫禄たっぷりで、現代の医療ドラマだったら、もう10年くらい勤務している中堅の医師役を任されそうな雰囲気でした。

 いずれも「何歳くらいに見えるか」というビジュアルの話なので、作品を見ていただかないと分かりづらいのですが、昭和の名作はネットのレビューを見ても、「○○さんがこの当時まだ○○歳でビックリ」「○○役の○○さんが、今の自分と同い年で衝撃」というような感想が書いてあることが多く、「昭和の人は今よりも老けて見える」という感覚は確かにあるようです。『サザエさん』のキャラの年齢設定は、これから時代が進むにつれて、もっと驚く人が増えていくかもしれません。

(ニコ・トスカーニ)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください