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『ガメラ2 レギオン襲来』BS12で放映 日本屈指のSF映画は「お蔵入り企画」から生まれた?

マグミクス / 2023年2月19日 10時10分

『ガメラ2 レギオン襲来』BS12で放映 日本屈指のSF映画は「お蔵入り企画」から生まれた?

■「怪獣映画」から「SF映画」へと進化

 面白い特撮映画が観たい! そんな人におススメしたいのが、金子修介監督の『ガメラ2 レギオン襲来』(1996年)です。SFマインドたっぷりに、大怪獣ガメラと人類が共闘し、未知なる宇宙生物と戦う様子がドラマチックに描かれています。

 平成ガメラ第1作となった前作『ガメラ 大怪獣空中決戦』(1995年)は、怪獣映画ながら絶賛の嵐となり、多くの映画賞に輝きました。前作『G1』は復活したガメラ、昭和ガメラシリーズでおなじみだった怪鳥ギャオスが激突するという「怪獣映画の王道」でした。金子監督が自信を持って放った第2作『G2』は、大人も楽しめる「本格的SF映画」に仕上がっています。

 劇場アニメ『機動警察パトレイバー the Movie』(1989年)をヒットさせた脚本家・伊藤和典氏が生み出したストーリーは、『G1』以上の緻密さを感じさせます。もちろん、樋口真嗣特技監督が手がけた特撮パートも見逃せません。

 2023年2月19日(日)の19時より、BS12の「日曜アニメ劇場 特別編」で放映される『G2』こと『ガメラ2 レギオン襲来』の見どころをご紹介します。

■当時21歳だった水野美紀さんがヒロインに

 今回、ガメラが戦う相手は、宇宙生物の「レギオン」です。巨大植物レギオンプラント、怪虫の大群レギオンソルジャー、さらにレギオンソルジャーを操る巨大レギオンが日本列島を襲います。

 ギャオスとの戦いから1年後。北海道に流星雨が降り注ぎます。支笏湖近くに大きな隕石が落ち、やがて未知なる宇宙生命体が出現することになります。札幌の地下鉄は怪虫の群れに襲われ、札幌のビル街には異様な植物が急成長を遂げます。街は大パニックに陥ります。

 謎の宇宙生命体は、聖書の一節「我が名はレギオン、我々は大勢であるがゆえに」から「レギオン」と命名されます。悪霊の大軍、という意味になります。

 怪虫の群れであるレギオンソルジャーが土やガラスに含まれるシリコンを摂取し、大量の酸素を発生。草体であるレギオンプラントを育てています。高酸素の環境では、人類は生きることはできません。地球とは異なる「生態系」が、地球を侵略し始めたのです。人類とレギオンとの殲滅(せんめつ)戦となります。

 隕石の落下を目撃し、レギオンの生態について調べる札幌市青少年科学館の学芸員・穂波碧を演じるのは水野美紀さん。撮影時21歳でした。レギオンと戦う自衛隊員の渡良瀬を永島敏行さんが演じています。『G1』に続き、ガメラと心で交信する少女・草薙浅黄は、藤谷文子さんです。ちなみに内閣官房長官は、「平成ガメラ」を復活させたエグゼクティブプロデューサーの徳間康快氏です。

 ガメラは『G1』に比べ、頭が小さくなり、精悍さを増しています。ヒレ状の前足を広げ、グライダーのように空を旋回するシーンには、『G1』を成功させた特撮スタッフの自信とさらなるチャレンジ精神を感じさせます。しかし、今回の宇宙怪獣レギオンは、ギャオス以上の強敵。ガメラは大ピンチを迎えます。

■10年の眠りから目覚めた宇宙生物

宇宙からの強敵・レギオンに、ガメラは苦戦することになる (C)KADOKAWA 日本テレビ 博報堂DYメディアパートナーズ 富士通 日販/1996

 ガメラに苦渋を飲ませる宇宙生物レギオンは、『G1』から引き続きシナリオを担当した脚本家・伊藤和典氏が生み出したオリジナル怪獣です。地球とは異なる「生態系」が襲ってくるというユニークなアイデアは、10年間にわたって温められてきたものです。

 1986年ごろ、金子監督は『ウルトラQ・ザ・ムービー』という企画を考えていました。日本の特撮ドラマの先駆作『ウルトラQ』(TBS系)のリメイク企画で、オムニバスものを想定していたそうです。オープニングで「マンモスフラワー」が登場し、クライマックスとなる第3話は隕石怪獣「ガラモン」が地球を襲うという構成でした。

 この「ガラモン」のエピソードを担当していたのが伊藤氏でした。金子監督は、1981年~86年にテレビ放映された人気アニメ『うる星やつら』(フジテレビ系)に脚本提供していた頃から、『うる星やつら』のスタッフだった伊藤氏と交流があったそうです。

 伊藤氏が考えた「ガラモン」は、地球をテラフォーミングするためのロボットだったという設定でした。残念ながら金子監督が企画した『ウルトラQ・ザ・ムービー』は日の目を見ず、代わりにまったく異なる内容の、実相寺昭雄監督作『ウルトラ Q ザ・ムービー 星の伝説』(1990年)が制作されることになります。

 10年の歳月を経て、レギオンプラントは発芽し、大成長を遂げたわけです。恐るべき生命力です。やはり、『G1』の成功が大きかったのでしょう。

■興奮度マックスの「足利防衛ライン」

 強敵レギオンに、ガメラは大苦戦。レギオンは札幌、仙台を壊滅状態にし、さらに南下します。自衛隊は首都・東京を守るため、最終防衛線として「足利防衛ライン」を張り、最終決戦に臨みます。

 レギオンに手も足も出なかったガメラですが、ガメラの復活を祈る子供たちや浅黄の純粋な想いが、ガメラに不思議な力を与えることになります。目を覚ましたガメラが自衛隊や民間人のアシストを受けて、レギオンに立ち向かうシーンは、胸が熱くなるものを感じます。

 SF映画としてのリアリティを追求する金子監督のこだわりと、「ガメラは子供たちの味方」という昭和ガメラのエッセンスが、うまくブレンドされた展開となっています。

 映画のクライマックス、人類だけでなく、地球の生態系そのものを変えようとするレギオンに対し、ガメラは究極の必殺技を繰り出すことになります。このシーンは、3月5日(日)のBS12で放映される『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』(1999年)にもつながることになります。

 日本の特撮映画史に残る大激闘の最後を締める、水野美紀さんのセリフも印象的です。

「ガメラだけは敵に回したくないよね」

 評価の高い「平成ガメラ」三部作のなかでも、『G2』はストーリー性と特撮パートの完成度がとても高いものとなっています。地球の守護神・ガメラの健気さに、誰しも心を打たれるのではないでしょうか。

(長野辰次)

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