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『シャリバン』誕生から40年 悪役が「怖すぎ」て抗議殺到も…大人も惹きつけた怪奇路線

マグミクス / 2023年3月4日 6時10分

『シャリバン』誕生から40年 悪役が「怖すぎ」て抗議殺到も…大人も惹きつけた怪奇路線

■よりドラマチックになった「宇宙刑事シリーズ」第2弾

 本日3月4日は1983年に特撮ヒーロー番組『宇宙刑事シャリバン』が放送開始した日。今年は40年目にあたります。当時の人気も高かった作品ですが、後年に与えた影響は大きなものがあり、現在でも高い支持を得ている作品でした。

 新時代の特撮ヒーローを目指して製作された前作『宇宙刑事ギャバン』。その予想以上の人気から続編となる本作『シャリバン』の製作は、早い段階から決まっていました。そのため、前作『ギャバン』第42話で本作の主人公となる伊賀電がゲストとして登場、同最終回でシャリバンの姿を見せるというプロモーションが行われています。本来なら作品の第1話で描く誕生編を前作で済ましていました。

 両作品の密接なつながりはそれだけではありません。前作主人公であるギャバンを上司としてセミレギュラーに置き、前作で争奪戦になったホシノスペースカノンを応用したプラズマカノンを搭載する「超次元戦闘母艦グランドバース」を登場させるなど、続編ゆえに互いの世界観を密に設定していました。

 前作では一条寺烈/ギャバンを演じた大葉健二さんのキャラクター性もあって主人公をコミカルに描写することも多くありましたが、今作の主人公である伊賀電/シャリバンを演じた渡洋史さんは正統派のハンサムだったことから、比較的そういった演出は少なくなります。

 しかし、逆に前作以上の怪奇演出やホラー描写が増え、ハードでドラマチックな展開が多くなりました。特に中盤から描かれるようになった「奇星伝」というサイドストーリーによって、電のルーツと使命が大きくクローズアップされることとなり、メインターゲットである子供以外の視聴者層を引き付ける要因となります。

 その人気がハイティーンにも及んだことを証明するかのように、アニメ作品系列である徳間アニメージュ文庫のラインナップで、本作の書籍が発売されるということもありました。

 従来の層以外にも人気が及んだ理由として、前作から引き続いて金曜19時半という家族で観ることの多いゴールデンタイムで放送されたことも一因という説もあります。しかもキー局であるテレビ朝日系列では、本作の前が『ドラえもん』、後が『ワールドプロレスリング』という人気番組に挟まれたことも大きかったかもしれません。

■悪が強いから正義が輝く!『シャリバン』を支えた敵役たち

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 前述したように、怪奇性を主軸に置いた演出によって、本作の敵組織である「宇宙犯罪組織マドー」の不気味さは際立っていました。

 その首領である魔王サイコは、無表情で玉座から動かぬ巨像のような姿に、抑揚のないかすれた声がこれまでにない悪ボスという印象を与えています。しかも、時々「カーッ!」という声と共に表情を見せるのも印象的でした。

 これは担当声優である飯塚昭三さんが声帯の不調から復帰したばかりだったという事情もあります。そのため、飯塚さんは前作『ギャバン』の敵首領であるドン・ホラー役を第10話で降板し、半年間の休養を取っていました。ちなみに特撮の悪役声で有名な飯塚さんですが、この作品枠では『機動刑事ジバン』まで8作連続で参加、そのうち6作で敵首領の声を担当しています。

 シャリバンとの戦闘で前線指揮を執るガイラー将軍も筆者には印象的でした。戦う時に発する「抹殺!」の掛け声と、地面に剣を突き立てて火柱をあげる攻撃方法は、オマージュ作品などでもよく再現されています。

 マドーで唯一のコミカル要素を持ち、髪形が似ていることから当時は「サリーちゃんのパパ」などとファンから言われていました。人気があったからか、演者である栗原敏さんは後に「宇宙刑事シリーズ」を締めくくるスペシャル番組でゲスト出演しています。

 そして本作でもっとも話題になった悪役が、第34話から登場した軍師レイダーでしょう。演じた安藤三男さんの鬼気迫る演技に、メイン視聴者である子供たちが怖がり、番組へ抗議が殺到したとまで言われています。

 レイダーの演技は子供向けの枠を超えた迫真の演技で、子供のころから安藤さんの悪役を見てきた筆者の目から見ても納得できるほど。怖くてチャンネルを変えてしまう子供が増えたのは理解できました。

 しかし、こういった悪役が強いからこそヒーローであるシャリバンの活躍が目を引いたわけです。変身前の電を演じた渡さんのキレキレのアクションも合わせて、最後には正義が必ず勝つという勧善懲悪なストーリーが子供たちの心を引き付けたのでしょう。

 そのスピリットを歌にしたエンディング曲「強さは愛だ」は、特撮ヒーロー史に残る名曲です。エピソードに合わせて2番の歌詞を使うという演出も好評でした。

 この『シャリバン』の成功が続編である『宇宙刑事シャイダー』を生み、「宇宙刑事シリーズ」の流れを繋げます。そのバトンは後に「メタルヒーローシリーズ」となり、90年代には特撮ヒーローの大きな柱となりました。

(加々美利治)

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