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『進撃の巨人』光るムカデの正体は? どうして始祖ユミルにとりついたの?

マグミクス / 2023年3月8日 16時10分

『進撃の巨人』光るムカデの正体は? どうして始祖ユミルにとりついたの?

■世界を滅ぼす災厄と化したエレンに挑む

『進撃の巨人The Final Season完結編』が遂に始まりました。3月3日に前編が放送され、残すは後編のみです。34巻にわたる原作が完結してから既に2年が経過しましたが、まったく古びておらず作品の熱量は衰えていません。

 この記事では巨人と人類の物語の始まりに戻り、始祖の巨人を生み出した「光るムカデ」のような存在の正体について考察します。

※この記事では『進撃の巨人』の未アニメ化の内容を含みます。ご了承の上お読みください。

●始祖ユミルに取りついた「謎の存在」

『進撃の巨人』世界において絶え間ない憎しみの連鎖の発端となったのは、122話「二千年前の君から」のエピソードです。身に覚えのない罪を着せられた奴隷の少女ユミルは半死半生の体で巨大な樹の洞に落ちてしまいます。そこで光るムカデのような謎の存在に取りつかれたことで、巨人に変身できるようになったのです。これが全ての始まりでした。

 圧倒的な巨人の力で民族のために尽くしたユミル。フリッツ王は彼女の死により巨人の力が失われることを恐れ、ユミルの3人の娘たちに母親の遺体を食べさせて力の継承を図りました。こうして長い年月を経てユミルの血が拡散することで、巨人に変身する力を持った特殊な民族が生れました。ユミルの民、エルディア人です。

 これら一連の経緯は原作マンガでもアニメでも、回想による状況描写以上の解説はありません。しかしユミルの回想シーンの直後、ガビに狙撃されて吹き飛んだエレンの脊髄から光るムカデが姿を現しました。始祖の巨人を継承したエレンの体内には、ユミルに取りついたものと同じ存在が宿っているのです。

●何が何でも生きて増えたい!

 光るムカデについては、作中で有機生命の起源であり、増えたいという最も基本的な生命の本質であると語られています。また『進撃の巨人キャラクター名鑑FINAL』(講談社)においても同様の内容が記載されており、ユミルに取りついたのは「死への恐怖と苦しみ」という生命の本質に反する感情に反応したからと記載されています。つまり濡れ衣を着せられ、死にかかっていたユミルの「怖い、死にたくない」という気持ちに反応して「光るムカデ」は強くて不死身の巨人になる力を与えたのです。

 ここで面白いのが「光るムカデ」が取りついたのが脳ではなく脊髄という点です。生存欲求が理性よりも根源的で反射的な感情だと言う点を見事に反映しています。盲目的なまでの生への執着があらゆる争いを生み、群れのなかで生存に有利な立場を永続化しようという試み(差別)につながり、無数の苦しみの原因になったのです。

 生への執着こそエルディア人を巡る差別の問題の根源にあるものです。かつてエルディア人に虐げられてきた人々は、巨人に変身できるエルディア人を生かしておいたら、再び自分たちの生存を脅かすと確信しています。そしてその思いがエレンに共存の不可能性を悟らせてしまいました。

■断種計画のジークと皆殺しのエレン

立体起動装置を装着したエレン。超硬質ブレードとワイヤーアンカー、マントが特徴的。画像は「figma 進撃の巨人 エレン・イェーガー」(グッドスマイルカンパニー)

 ジークは世界中から差別され憎悪の的となっているエルディア人を救うため、この世にエルディア人が生まれてこない世界を作ろうとしました。生まれてこないほうが幸せだったとして、始祖ユミルの力を使ってエルディア人を強制的に断種しようとしたのです。これは地球の歴史においても各地でたびたび語られてきた反出生主義(英: antinatalism)の一種で緩やかな滅びの道です。

 しかしエレンはジークの計画を拒否。エルディア人の生存を許さない世界を逆に破壊してしまおうと考え、遂に地ならしを発動しました。「光るムカデ」の意思を理性でねじ伏せたジークに対し、あらゆる束縛を嫌って「光るムカデ」の意思を暴走させたエレンは対照的です。

●どうやってエレンの思想を乗り越えるのか?

『進撃の巨人』において既にジークの思想は否定され、最終話に向けてエレンの思想が試されています。自分たちが生きるために他人を殺すことはどの程度許容されるのか、一方的に殺意を向けてくる相手なら殺してもいいのか、差別構造の歪みは正されるのか、憎しみは継承されるのか、共存する道はないのか?

 エレンの地ならしによって最大の利益を受けるのはパラディ島の住人たちです。自分たちを殺そうとする人間が残らず踏みつぶされ、生存が保証されます。しかし最大の受益者であり、エレンの幼馴染でもあるアルミンやミカサたちが、地ならしを止めようとするのはなぜなのか?

 そこには「虐殺は許されない」といった建前だけでは語れない複雑な感情が入り混じっています。物語はクライマックスに向けて最終加速を始めました。人類は盲目的なまでの生への渇望にドライブされた憎しみを超越することはできるのでしょうか?

「Final Season完結編」の後編で描かれる、物語の着地点をあなたの目で見極めましょう。エンディングではきっと言葉にならない思いが去来するはずです。

(レトロ@長谷部 耕平)

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