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ヒット作の「人気投票」で起きた事件  「まさかの1位」「無機物がランクイン」

マグミクス / 2023年3月12日 12時10分

ヒット作の「人気投票」で起きた事件  「まさかの1位」「無機物がランクイン」

■いろんな意味で愛されるキャラがランクイン?

 アニメやマンガで、一種のお祭りとして行われる「キャラクター人気投票」では主人公の順位が意外と低い、メインヒロインがサブヒロインに負けてしまう……といった事態はたびたび起こりますが、さらに異常な結果となった例もあります。開催してしまった以上、発表は取り消せないというのが、人気投票の恐ろしいところです。この記事では、そんな人気投票で起きた「事件」を紹介します。

●『イナズマイレブン』…モブキャラ・五条勝が1位に

 人気投票の歴史のなかでも、もっとも有名な事件と言えるのが、サッカーゲームから始まってアニメもヒットした人気シリーズ『イナズマイレブン』の、アニメ映画化にあわせて行われた人気投票の一件です。

 事の発端は、2ちゃんねる内で「イナズマイレブン人気投票で五条さん1位にして子供と腐女子泣かせようぜ」というタイトルのスレッドが立てられたことでした。帝国学園の五条勝は、悪役っぽい外見の目立たないモブキャラであり、普通に投票が行われていたら間違いなくランク外だったことでしょう。しかしながら、掲示板の住人たちが結束した結果、他キャラに大差をつけて五条が1位に輝くことになったのです。

 この『イナズマイレブン』の件以前にも、「Yahooきっずのポケモン投票でコイル一位にして消防ども泣かそうぜ」というスレッドが立ち上げられ、同様の投票操作が行われました。この時は運営側の操作が入ったのか、コイルは2位にとどまる結果となっています。

 しかし、『イナズマイレブン』では、五条がそのまま1位に。もちろん純粋な気持ちで投票に臨んだ人びとも多々いるため、非難の声も寄せられましたが、大きな注目を集めることとなりました。

 この件について、ゲーム販売元であるレベルファイブの日野社長は「五条さんには困らせてもらいました。担当が僕のところに来て、このランキングどうしますか?五条はずしますか?と聞かれ、放っておきなさい。と答えました。あれから、五条の少し微笑んだ顔が『しめしめ』と言っているようでなりません。」とツイートしています。

 制作側として、振り回されてしまったという想いがあるのは当然だと思いますが…その後の作品『イナズマイレブンGO』では、五条の10年後の姿が公開されるなど、公式も悪ノリに乗っかるような展開になりました。全肯定するわけにはいかないでしょうが、おおむね好意的に受け入れられているようで何よりです。

『チェンソーマン』…「コベニカー」がランクイン

 前述のような投票の「悪ノリ精神」は、一部の人々に脈々と受け継がれています。人気マンガ『チェンソーマン』にて行われた第1回人気投票では、「コベニの愛車」が7位にランクインしました。作中での登場も一瞬だけであり、普通は間違いなく投票しないというか、もはやキャラクターでもありません。しかも、その持ち主であり、主要キャラでもある東山コベニの順位は8位、無機物に負ける結果となってしまいました。

 この結果発表の際、実は、作者の藤本タツキ先生も「コイルや五条に投票する人生を送ってきた」ことをコメントしています。さらに続けて、「コベニちゃんの車がランクインしてしまった時にあの時の投票が自分に返ってきたのだと思いました。切ないけどどこか嬉しい気持ちになりました」とコメント。やられた側としては、やはり複雑な心境になるようです。

■推しへの「異常な愛情」が物語のラストを変えた?

ヒロインたちのなかで、人気投票で「異常な愛」を受けたのは? アニメ『ニセコイ』キービジュアル (C)古味直志/集英社・アニプレックス・シャフト・MBS

●『ニセコイ』…ひとりで1500票を送った千葉県のYさん

 人気ラブコメマンガ『ニセコイ』の1周年記念人気投票では、4位に輝いた橘万里花が最も注目を集めることとなりました。というのも、彼女が吹き出しにて「私に一人で1500票手描きで送ってくださった、千葉県のYさんに特別な感謝を……」という衝撃のコメントをしていたのです。

 万里花が獲得した総票数は2694票、つまり、半数以上が千葉県のYさんによるものだったことになります。手描きでこの数を送るというのは、尋常ではない愛の深さです。

 作者や編集部にもよほどの衝撃を与えたのか、第2回人気投票の開催告知には、「千葉県のYさん、今年もお待ちしておりますわ!!」と、さらに公式が煽る展開に。その結果……第2回の投票で、万里花は2位にランクイン。さらには、「千葉県のYさん自身」も19位にランクインするという異常事態となりました。

 その後も、Yさんの愛は止まりません。2015年の万里花の誕生日には、作者に花束と「月の土地の権利書」をプレゼント。翌年の誕生日には、花束に加えて、特注と思われる『ガラスの靴』を送るなどして話題になり続けました。

 猛烈なアプローチの結果、『ニセコイ』最終話にある出来事が訪れます。この回ではキャラクターたちの数年後が描かれていたのですが、万里花については、次の恋愛に向かう姿が描写されていました。そこで発していたセリフは、「さぁ!今夜のお相手はどんな人でしょうか? えーと千葉県在住の…」というもの。つまり、愛を貫いたYさんは、万里花との「見合い相手」として選ばれているのです。人気投票から、推しのキャラを振り向かせるところまで発展したのは、まさに「奇跡」と言えるでしょう。

(古永家啓輔)

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