1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. アニメ・コミック

初代『ガンダム』打ち切りじゃなかったら、どんなラストだった?「富野メモ」から考察

マグミクス / 2023年3月17日 6時10分

初代『ガンダム』打ち切りじゃなかったら、どんなラストだった?「富野メモ」から考察

■打ち切りになっていなかったらアムロ・レイは死んでいた!?

『機動戦士ガンダム』といえば、ロボットアニメ界の金字塔として、アニメファンであれば知らない人のいないほどの超有名作品。そんな人気作品の『ガンダム』ですが、実は全52話放送予定が43話で打ち切られていたという過去があります。あの『ガンダム』が、本来のストーリーより9話も早く打ち切りの憂き目に遭っていたとは……。ガンプラを夢中で作っていた筆者には当時知るよしもありませんでした。

 しかしファンであるがゆえ、「もし仮に打ち切りにあっていなかったら、あの結末はどう変わっていたのかな」と考えてしまいます。

 たしかに思い返してみると、物語の終盤はやや唐突な展開があったのは否めません。たとえばジオン公国軍総帥のギレン・ザビを、味方である妹のキシリア・ザビが討つシーン。やや自軍優勢な状況とはいえ、戦闘中に軍事的天才であるギレンを撃つ危険性は理解できないはずはないですよね。いくらキシリアが軍事より政治向きの人物であったとはいえ、無理矢理な印象がありました。打ち切りの影響で、物語を一気に畳む必要があったのでしょう。

 そもそも、当時のロボットアニメと言えば勧善懲悪が当たり前で、毎度敵ロボットを倒して、めでたしめでたしが普通でした。一方『ガンダム』は、地球連邦軍サイドのアムロ・レイ視点をメインに描かれているとはいえ、戦争を背景にしているため、どちらが正義か悪かという概念がない世界。また戦争なので人がたくさん死んでしまうという暗い話が多かったことも、子供には受けなかった要因のひとつかもしれません。

『ガンダム』の監督である富野喜幸(現:富野由悠季)さんが残した「富野メモ」には、打ち切りによって放送されなかった数々のストーリーやネタが記されています。「富野メモ」によれば、主人公のアムロ・レイが最終回で死亡する予定だった、シャアの片腕としてシャリア・ブルが活躍するはずだったなど、世に出なかった構想が散見されます。シャリア・ブルの活躍はともかく、主人公のアムロ・レイが生きたまま終わってくれたのは不幸中の幸いでした。

 皮肉なことに、アニメは打ち切り決定直後の時期から盛り上がりを見せます。物語が終盤に近付くにつれて、どんどん人気が上がるという状況。玩具販売の売上も主人公機のパイロットが死ねば影響が心配されます。再放送や続編製作の可能性なども考慮されて、アムロ・レイが一命を取り留める結果になったようです。
 すっかり大ヒット作品の地位を獲得した『ガンダム』。その後も劇場版の上映や続編アニメのスタート、その他にもゲームを始めさまざま分野で人気を誇る一大コンテンツに成長を遂げました。

※本文の一部を修正しました。(2023.3.22 10:45)

■もしものラスト2パターンとは?

悠然と立つガンダムを立体化した「機動戦士ガンダム RX-78-2 ガンダム 1/144スケール 色分け済みプラモデル」(BANDAI SPIRITS)

『ガンダム』が打ち切られていなかったら、どういう結末を迎えていたのか。ふたつのパターンを考えました。

 ひとつ目は、スポンサーの要望通り低年齢層向けの結末。内容としては、勧善懲悪ものの定番パターンです。戦争発起人であるジオン軍が内部で腐敗を起こして、完全な悪として描かれます。連邦軍は正義の味方となり、予定通りアムロが非業の死を迎えつつも勝利。これではある程度の人気は見込めるものの、後の評価は「懐かしのよくあるロボットアニメ」となっていたかもしれません。

 ふたつ目のパターンは、中高生向けのちょっと考えさせられるアニメを作る前提。横槍もなく最後まで制作サイドの作りたいものを作れた場合を想定します。富野メモに登場したシャリア・ブルが登場し、戦況はさらに複雑化。キシリアとギレンを巡る政治的な抗争も深く描ききって、重厚な宇宙戦争作品となっていたはず。

 とはいえ、これではメインターゲットである中高生には難しすぎたかもしれません。最終的には一部のコアファンの心に残る「本格宇宙戦争ロボットアニメ」となっていたのではないでしょうか。

 IFストーリーを考えるのは楽しいものの、やはりガンダム本編の勢いを超える物語は考えられそうにもありませんでした。『ガンダム』という作品はターゲットを低年齢から中高生に変え、低迷からのテコ入れで増やした機体が思わぬ人気を博し、打ち切りで畳むために編纂された物語が大受けした奇跡の作品。さまざまな偶然が上昇気流を生んだと考えれば、打ち切りだったとはいえ、これ以上の結末はありえないのだと思います。

 しかし「富野メモ」を見ると、ワクワクしてしまうのはオタクの性。いつかどこかで、『本当はこんな終わり方をするはずだったIF世界のガンダム』を見られたら嬉しいですね。

(LUIS FIELD)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください