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アニメの「聖地巡礼」生み出した平成時代のOVA、見逃せない名作5選

マグミクス / 2019年4月30日 11時10分

アニメの「聖地巡礼」生み出した平成時代のOVA、見逃せない名作5選

■「聖地巡礼」発祥記念碑を生んだ作品はOVAだった

 1983年にリリースされた鳥海永行・押井守監督のSFアニメ『ダロス』から、オリジナルビデオアニメ(OVA)の歴史は始まりました。劇場公開作やテレビシリーズとは異なり、OVAの製作では気鋭の若手スタッフが抜擢されることが多く、90年代に入ると多種多様なOVAがレンタルビデオ店に並びました。
 
 近年は深夜アニメやネット配信に押されぎみとなっているOVAですが、平成時代を賑わせた5本の名作OVAを振り返ります。

●最終話のエンディングに誰もが号泣!!『トップをねらえ!』(1988〜1989年)

 庵野秀明監督の記念すべき監督デビュー作となったSFロボットアニメ。戦場へ送り込まれた女子高生ノリコが眠れる能力を爆発させる姿は、後の『新世紀エヴァンゲリオン』の主人公たちに通じるものがあります。キャラクター原案は、『超時空要塞マクロス』の美樹本晴彦が担当しています。

 昭和の終わりから平成元年にかけてリリースされた本作は、1話30分の全6話構成。序盤は、スポ根アニメ『エースをねらえ!』をパロディしたライトな学園コメディですが、次第にギアチェンジして後半からは”ウラシマ効果”をモチーフにした怒濤のハードSFアクション大作へと変貌します。観る者を裏切る心地よさがある、自由度の高いオリジナルビデオならではの作品です。

 本作の人気を受けて、2004年には鶴巻和哉監督による続編『トップをねらえ!2』がリリース。『トップをねらえ!』のラストシーンに感涙した人は、ぜひこちらもチェックしてみて下さい。

●「聖地巡礼」はここから始まった!『究極超人あ〜る』(1991年)

『らき☆すた』の埼玉県久喜市、『ガールズ&パンツァー』の茨城県大洗町、『けいおん!』の京都、『君の名は。』の岐阜県飛騨市など、人気アニメの舞台となった土地をファンが訪ねる”聖地巡礼”は、日本政府も外国人観光客を取り込んだコンテンツツーリズムとして力を入れており、ブームはまだまだ続く見込みです。

 そんな巡礼ブームの原点とされているのが、ゆうきまさみ原作コミックのOVA版『究極超人あ〜る』。私立春風高校光画部(写真部)に所属する生徒とOBたちがスタンプラリーをしながら鉄道旅行をするというシンプルなストーリーながら、JR東海の飯田線は『あ〜る』の熱烈なファンたちによっていち早く”聖地”化されました。

 旅の目的地である長野県伊那市では、本作にちなんだ自転車イベントが毎年7月に開催され、無人駅である田切駅近くには「アニメ聖地巡礼発祥の地」と刻まれた記念碑まで建立されています。SNSの発達によってアニメは個人で観賞するものから、体感・共有するものへと変わりつつあるのです。

■海外のセレブがファンを公言するアニメ

『Kite Uncut』(グリーンバニー)

●アニメ界に殉じた戦士たちの墓標『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』(1996〜99年)

 2019年4月29日(月)からNHK総合で『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の放送が始まりました。ファーストガンダムで描かれる”一年戦争”を富野由悠季&安彦良和による正史とは違った視点から追ったのが、スピンオフ作『第08小隊』です。

 本作の主人公シロー・アマダは、アムロやカミーユのようなニュータイプではなく、ごく平凡な若者。仲間たちと信頼関係を築いていくことで、数々の局地戦をくぐり抜けていきます。『機動戦士ガンダム』では出番の限られていた量産型メカのボールやジムにも活躍の場が与えられているのもうれしい。地味な小隊を率いるシローに感情移入するファンは少なくなかったのです。

 本作の神田武幸監督は「虫プロ」「サンライズ」で数多くのアニメ作品の演出を担当してきましたが、これが遺作となります。神田監督の後を継いで、シリーズ後半を完成させた飯田馬之介監督も2010年に亡くなっており、宇宙世紀に起きた戦争と同じくらい、アニメ業界の現場をサバイバルするのは熾烈だったに違いないでしょう。

 最終話のエンドロールに登場する鉄の墓標は、アニメ業界に殉じていった戦士たちのものではないでしょうか。

●ハリウッドも魅了した美少女スナイパー『A KITE』(1999年)

 R18指定の、いわゆるアダルトアニメですが、海外向けに再編集したインターナショナルバージョンもリリースされており、クエンティン・タランティーノ監督ほか多くのクリエイターたちのイマジネーションを刺激した作品。梅津泰臣監督が精魂を込めたアクションシーンを楽しめます。

 本作の主人公である女子高生の砂羽は、プロの殺し屋という裏の顔を持ち、12歳のときに両親を殺害され、スナイパーとして育てられながら、復讐するチャンスを狙っていました。やがて砂羽は、女性を性欲の捌け口としか扱わないクズ男たちに次々と天誅を加えていくのでした。

■アニメの奇才たちがコラボした逸品OVA

『A KITE』はハードなガンアクションが見せ場であり、中でも高層ビルから落下するシーンはスリル満点。カット割り、描写、演出……と徹底したこだわりが感じられるシーンとなっています。

 サミュエル・L・ジャクソンも本作の大ファンを自認しており、ハリウッドでの実写リメイク映画『カイト/KITE』(13年)に出演しているほど。日本生まれの美少女アニメが世界中で愛されていることがうかがえます。

●奇才たちのコラボレーションによる独特な世界『ねこぢる草』(2001年)

 98年に亡くなったカルト漫画家ねこぢるのシュールな世界観を、『機動艦隊ナデシコ』の佐藤竜雄監督が映像化。若き日の湯浅政明監督が脚本・絵コンテ・演出・作画監督の4役を務めています。奇才たちのコラボレーションが楽しい作品です。
 
 魂を半分なくした猫のにゃーこと、弟のにゃっ太が夢うつつの中を旅するロードムービーとなっており、スプラッター風味のサーカス団、大洪水をさまよう舟、砂漠を歩く象……と奇妙奇天烈なシーンが30分にわたって続きます。自在に動くカメラワークも独特です。

 視聴している私たちも、さながら臨死体験しているかのようなトリップ感覚が味わえ、90年代のオリジナルビデオ作品がいかに実験精神にあふれていたかを堪能させてくれる逸品となっています。

※本文を一部修正しました。

(長野辰次)

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