「トトロは死神」スタジオジブリ作品の都市伝説はホント？「公式」の見解も

■名作の隠された秘密が明らかに

　長きに渡り日本のアニメ映画界を牽引するスタジオジブリは、これまでに多くの名作映画を誕生させてきました。作品作りに情熱を注ぎこだわり抜かれたストーリーは、観る人の心を掴んで離さない魅力満点。あまりに豊かなストーリー性や考えさせられる描写から、物語の「裏設定」を想像して楽しむファンもいるようです。巷で話題となっている「ジブリ映画の噂」にスポットを当て、真相に迫ります。

　2008年に上映された『崖の上のポニョ』は、魚の女の子・ポニョが人間の男の子に恋をする物語。なんとも可愛らしいストーリーですが、ネット上では「崖の上のポニョは死後の世界を描いたものだ」という過激な噂が囁かれています。

　ネットユーザーの考える根拠としては、「津波のように押し寄せる魚の大群がDNAの二重ら旋をモデルにしている」「赤ちゃんが泣いているのは両親が死んでしまったから」などがあげられていました。後に作中音楽を手がけた久石譲さんが『久石譲ファンサイト 響始めの部屋』にて、「人間の生と死とか現実に生きている世界と裏返しの世界の間の物語」とコメント。もしかすると世界観やテーマに関する噂は事実なのかも……？

　ジブリ作品の中で都市伝説作品といえば『となりのトトロ』が有名。母の療養のため田舎で過ごすことになったサツキとメイが、森の主であるトトロと出会うところから物語が大きく動き始めます。作中ではトトロと過ごすなかで「自然との共存」を学ぶ姿が描かれますが、SNSなどでは「トトロは死神だ！」という仮説が長年に渡り飛び交っているのです。

　死神説の裏付けとしてはサツキとメイの影がないシーンや、大好きな母に会わずトウモロコシだけ置いて帰る場面が取り沙汰されていました。しかし「トトロ死神説」に関しては公式が完全に否定しており、2007年5月1日にはスタジオジブリ公式ブログ・ジブリ日誌へ「トトロが死神だとか、メイちゃんは死んでるという事実や設定はありません」「噂を信じないでほしい」と、広報部によるメッセージがアップされました。

■宮崎駿監督の「証言」も

アシタカに生き方について問いただす山犬のモロ 　(C)2005-2022 STUDIO GHIBLI Inc.

　最後に解き明かすのは1997年に公開された、『もののけ姫』にまつわる噂。同作品は当時の日本映画の興行収入記録を塗り替え、193億円を記録したことで話題になりました。話題性のある作品らしく作中に登場する人の中に、“ハンセン病患者”を描いているという都市伝説も浮上したことでも有名です。

　後に宮崎駿さん本人が講演で、タタラ場で働く人びとのモデルは“ハンセン病患者”であることを明かしました。作品を通じて病気への理解を深めてほしいという意図が込められているそうです。

　さらに『もののけ姫』に登場する山犬のモロと、猪である乙事主が昔付き合っていたという色っぽい噂も…。謎を解き明かしてくれるのはDVD『「もののけ姫」はこうして生まれた』に収録されているメイキングのワンシーンでした。

　モロの声を演じる美輪明宏さんへの演技指導で、宮崎さんは「モロと乙事主はいい仲だった」と設定を伝えます。美輪さんも「……猪と犬が？」と笑いつつ完璧な演技を返し、宮崎さんの顔にも満面の笑みが溢れる名シーンです。DVDで監督本人が語っていることから、噂は事実だったということですね。

（LUIS FIELD）