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【少女マンガのトリセツ】もどかしい男子に夢中? 咲坂伊緒ワールド3つの魅力

マグミクス / 2019年5月2日 11時10分

【少女マンガのトリセツ】もどかしい男子に夢中? 咲坂伊緒ワールド3つの魅力

■咲坂作品の真骨頂『思い、思われ、ふり、ふられ』

 ワタナベエンターテインメント所属の少女マンガ芸人、別冊なかむらりょうこさん。少女マンガ好きとして、オススメの少女マンガのレビューや番組のMCを務めるほか、多くのマンガ家との対談も行っています。今回は新生活に合わせて読んでほしい「咲坂伊緒」作品と、その3つの魅力を解説します。

 入学や新生活の春。ぜひこの季節に読み始めたい作品が、咲坂伊緒先生の『思い、思われ、ふり、ふられ』(別冊マーガレットにて連載中。既刊11巻)。

 少女漫画を普段読まない人でも、咲坂作品を知っている方は多いのではないでしょうか。新刊が出るたび各書店のランキング上位を飾り、今回の作品も、昨年の第63回小学館漫画賞少女向け部門を受賞、現在累計450万部発行と大ヒットを記録中の作品です。現在でも幅広い年齢層の少女たちから支持され続けています。

 前作品『ストロボ・エッジ』『アオハライド』(共に別冊マーガレット)は、どちらも映画化されています。『ストロボ・エッジ』は、翌2015年に福士蒼汰さんと有村架純さんの主演で映画化され、同作品に登場する「壁ドン」はその年の流行語大賞にもノミネートされました。

『アオハライド』は、2014年に本田翼さんが主演をつとめました。そんな”恋愛パワーシチュエーション”の咲坂伊緒先生の作品には、どんな魅力があるのでしょうか。

●魅力その1 設定を聞いただけで、「もう何かが起こる!」という期待に胸が暴発しそうになる!

『思い、思われ、ふり、ふられ』(集英社)略して『ふりふら』は、高校入学を前にひょんなことから出会った、全く恋愛観の異なる2人の少女が友情を深めながら、それぞれの恋愛を応援していく青春ストーリーです。

 そう、2人の少女のどちらもが主人公なのです。1人目の主人公は、少女漫画のような恋愛に憧れるも、消極的な性格の恋愛未経験女子・由奈。2人目は恋愛に積極的で現実的な恋愛を楽しむ美人女子・朱里。

 そして、相手役となる男の子も、2人登場します。由奈の幼馴染の、天然で恋愛興味ない系男子・和臣。イケメンでモテるも、叶わぬ恋愛の経験をした、朱里の義理の弟・理央。

 主人公が2人。対する男の子も2人。うち2人は幼馴染で、2人は義理の姉弟。全員同じ学校、全員同い年、そして全員同じマンション。誰と誰が恋をしてもおかしくない。だけど、全てが上手くいくわけじゃない。そんな出会いが春に始まる。

 つまり、毎話トキメキのクライマックスな、青春カルテットラブストーリー!というわけであります。

■咲坂男子は"もどかしさ満載"! 不器用な姿にキュン

●魅力その2 咲坂男子は”もどかしさ満載”ベストオブ男子高校生!

 咲坂先生の描く男の子はちょうど大人と子供の中間です。少女漫画で描かれる男子像は、カッコよくて、何でもできて、主人公目線で見ているとついつい自分よりも大人っぽく見えてしまうことも多々。

 そんな男の子たちの不意な子供っぽさに惹かれる……なんてこともありますが、咲坂先生の描く男子はもどかしさ満載です!

「なんでそこはもっとこうしないの? もうわかるじゃん!」と言ってしまいたくなりますが、一方で「ああ、そうだ、この子たちは高校生だったんだ」と気付かされます。

 かっこよさだけでは生きていなくて、ダメな部分もあり、隙だらけでリアル。そんな部分を主人公の2人と関わるなかで、成長させていきます。

 ああ、男の子たちもこんなに考えて、自分にガッカリしながらも向き合ってくれてるんだ…なんて読んでたら、いつかの自分の想いが救われていくなんてことも。

●魅力その3 フリからオチへの一連の美しさ

 少女漫画の中ではおなじみの行為であり、それ以降も多数の漫画で用いられてきた「壁ドン」。

 咲坂先生の作品を読んでいると思い出すことがあります。それは私たちは「壁ドン」そのものにトキめいていたのではなく、「壁ドン」のような行為によって、「こんな近さに寄ると思っていなかったのに寄った!」という事実にトキめいているのだ!ということです。

 あくまでもこの「寄るとは思っていなかったのに…」の部分が重要なのです。

「まだそんな関係じゃない」「そもそもそんな距離に近寄りそうにもない人だ」「こんな距離に近寄ったら私の全てが見えてしまうじゃないか」といったさまざまな心理が垣間見えます。

 咲坂先生の作品では、日常のなかにある「え、こんな近さに寄ってはドキドキしてしまいますよ!」というシチュエーションと、登場人物たちの繊細に揺らめく想いがリンクし続け、とんでもないことが起き続けています。

 もう一度言いますが、毎話キュンキュンのクライマックスです。”下を向きがちな自分に相手が顎を持ってグイっ”や”雨の中、気になる相手と手つなぎダッシュ”、”寝てる相手が自分の手を突然のギュッ”…キュンキュンが止まりません…!

『ストロボ・エッジ』の中では、このような胸のキュンキュンの表現を「鎖骨がキシキシする」と表現しています。春は出会いの季節。自分の温度が最も上がる状態を知る機会に、ぜひご一読を。

●別冊なかむらりょうこ
ニコニコ生放送で番組「別冊・少女マンガ倶楽部」、「りぼん★みらいフェスタ」のMCとして活躍中の漫画好きタレント。漫画家のアシスタントとしても活動の幅を広げている。

(マグミクス編集部)

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