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初代『ガンダム』ファンから否定され…『Gガン』誕生秘話、評価を覆した異色設定

マグミクス / 2023年3月21日 6時10分

初代『ガンダム』ファンから否定され…『Gガン』誕生秘話、評価を覆した異色設定

■否定から絶賛に評価一変!

 数あるガンダムシリーズのなかでも、ひときわ異彩を放つといえば、やはり『機動武闘伝Gガンダム』でしょう。

『機動戦士ガンダム』『機動戦士Zガンダム』『機動戦士ガンダムZZ』『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』『機動戦士ガンダム0083 STARDAUST MEMORY』『機動戦士ガンダムF91』『機動戦士Vガンダム』……多少のデコボコはあれど、ずっと、いわゆる「リアル路線」の物語を作り続けてきたガンダムですが、1994年、それまでのガンダムファンを唖然とさせる番組が登場しました。それが『機動武闘伝Gガンダム』です。

 未来世紀、武力戦争に代わり、地球の覇権をかけて各国代表のガンダムファイターが、それぞれの国を代表するモビルファイター(この世界で「ガンダムファイト」にエントリーする各国の代表が操るガンダムたちは「モビルスーツ」ではなく「モビルファイター」と呼ばれます)のガンダムを駆使して武闘大会で闘う……こう聞いただけで「これでガンダムなの?」と思われた方も多かったことでしょう。

 当然ながら、当時のガンダムファンもびっくり仰天。始まった当初は、そりゃあもう、賛否両論、実際には「こんなのガンダムじゃない!」派の意見が大多数だったようです。

 しかし、そこはガンダム。大きな流れの中で展開する主人公とその師匠との人間ドラマ、裏に隠された巨大な陰謀、最後には、愛する人や人類すべてに問いかける壮大なテーマが見えるという、何段もの凝った作りに、否定派から肯定派に変わるファンが続出。また、昨年惜しくも急逝された鵜島仁文さんが、作曲、作詞、歌唱を担当したオープニングの透き通った力強い歌声も『Gガンダム』を語るときには忘れてはならない魅力でもありました。

 だからこそでしょう。驚いたことに『Gガンダム』を絶賛する人のほとんどが、筆者が知る範囲では、なんと初代ガンダムからのファンでもあるのです。

 では、どうしてこんな異例ともいえるガンダムが登場したのでしょうか。

※本文の一部を修正しました。(2023.3.23 10:20)

■「宇宙世紀」という枠を外したワケ

『Gガンダム』物語前半で主人公ドモン・カッシュの乗機となるシャイニングガンダム。画像は「HGFC 1/144 GF13-017NJ シャイニングガンダム (機動武闘伝Gガンダム)」(BANDAI SPIRITS)

『機動武闘伝Gガンダム』は、実は「ガンダム誕生15周年記念」向けのスペシャル作品として企画されたものなのです。

 当時、すでにガンダムシリーズはアニメファンの間で確固たる人気を得ていました。そんな中で迎える15周年です。なにか今までとは違う「新たなガンダム」が望まれるのはごく自然なことでした。

 世間では、あの『ドラゴンボール』も大人気で、スポンサー側からも、ああした要素を取り入れることは出来ないかといった提案もあったと聞きます。そこで、サンライズ側(当時)の担当者たちは考えました。どうやったらガンダムを弾けさせることができるのか?

 その答えの大きな一歩が、ガンダムシリーズがずっと継承してきた「宇宙世紀」という枠を、思い切って外すことでした。『Gガンダム』では『機動戦士ガンダム』の世界からは全く切り離された特殊な世界を作りあげることにしたのです。こうすることで、宇宙世紀とは関わりのないガンダムを存在させることが可能になり、ガンダムに新しい可能性を開くことにもなるでしょう。

 事実、この後に続く次世代監督たちの手になる『新機動戦記ガンダムW』や『新機動世紀ガンダムX』等、宇宙世紀ではない世界のガンダムシリーズを作ることも可能になり、その後30年近く経った今でも人気を得ているさまざまなガンダムが存在出来てもいるのです。

 ご記憶かもしれませんが『Gガンダム』の本放送の前には、3本の特別番組が3週にわたり放送されています。マイケル・富岡さんと、当時子役タレントだった内山信二さんが『Gガンダム』の制作スタジオを訪問し、アニメーションが出来てゆく課程を見学してゆくと同時に『Gガンダム』とはどんな作品かを先んじて紹介するという番組です。

 アニメ番組で「紹介特番」が作られるのは当時もそれなりにあったのですが、3本も作られたというのは珍しかったことでしょう。これもまた、15周年という特別な位置だてだったからこそ、と言えるかもしれません。

 この特番は、2017年に期間限定で生産されたHDリマスター版Blu-ray BOX(バンダイビジュアル)にのみ収録されていますが、その構成と演出は、アニメに詳しい方ならご存じの『J9シリーズ』で監督を務めた「四辻たかお」さんが担当しています。

 ただ、特番がなぜ3本も作られたのかについて、上記のような経緯もあって番組制作のスタートがやや遅れ、本編アニメーションの製作が間に合いそうもなかったから……という話も当時は漏れ聞こえてきましたが、そこを問うのは「野暮」ということにしておきましょう。

【著者プロフィール】
風間洋(河原よしえ)
1975年よりアニメ制作会社サンライズ(現・バンダイナムコフィルムワークス)の『勇者ライディーン』(東北新社)制作スタジオに学生バイトで所属。卒業後、正規スタッフとして『無敵超人ザンボット3』等の設定助手、『最強ロボ ダイオージャ』『戦闘メカ ザブングル』『聖戦士ダンバイン』『巨神ゴーグ』等の文芸設定制作、『重戦機エルガイム』では「河原よしえ」名で脚本参加。『機甲戦記ドラグナー』『魔神英雄伝ワタル』『鎧伝 サムライトルーパー』等々の企画開発等に携わる。1989年より著述家として独立。同社作品のノベライズ、オリジナル小説、脚本、ムック関係やコラム等も手掛けている。

(風間洋(河原よしえ))

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