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【韓国アニメ時報】「盗用」続いた、コリアンロボットアニメの暗黒時代

マグミクス / 2019年5月6日 11時10分

【韓国アニメ時報】「盗用」続いた、コリアンロボットアニメの暗黒時代

■一部にはキラリと光る作画や演出も

 独自の歴史を歩んできた韓国アニメの特色と背景に迫る「韓国アニメ時報」。1976年の『ロボット テコンV』に続き、今回は1980年前後の韓国ロボットアニメについて紹介します。

 実は、この時期のロボットアニメは残念ながら見るに堪えないものが多くあります。日本アニメからの「盗用」も多くあり、ある意味韓国アニメの暗黒時代といえるでしょう。

 しかし、観ていて楽しい作品も少なくありません。まずは『テコンV』と同年の1976年には『鉄人007』という劇場アニメが公開されました。このアニメ映画はスパイものの要素を色濃く反映しているのですが、設定は日本のアニメからの「盗用」で成り立っているという代物です。

 タイトルの007については言うまでもありませんね。主役は『科学忍者隊ガッチャマン』からの「盗用」(しかし人数が4人と、1人減っている)。主人公が乗り込むロボットは『大空魔竜ガイキング』から、主人公の基地の設定は『ブロッカー軍団IVマシーンブラスター』からの「盗用」、といったものです。

 しかも音楽はピンク・フロイドからの「盗用」です。韓国のネットでは「音楽だけは一流」と皮肉られていました。こう書くと、非常にあきれるばかりの作品だという印象を読者に持たれてしまうでしょうが、残念ながらその通りなのです。

 似せない努力はしているのですが、そこが逆にパチものっぽさを醸し出しています。また、ピンポイントでセンスのある場面が出てくるのが困りものです。

 例えば冒頭。爆発の煙が輪になって、それがタイトルの『鉄人007』に変形して背景から日が昇るというタイトル場面は非常に格好のよい映像でした。また助けた敵の女性が裏切って最後に主人公を助けて死ぬという展開は、ベタながら燃えました。なお、劇中に登場する世界地図には日本は描かれていません。
 
 次に取り上げるのは1978年の『走れ マジンガーX』という作品です。タイトルからして怪しい響きを持っています。もちろん日本のアニメ『マジンガーZ』のタイトルからとられたのでしょう。主役ロボットのマジンガーXは「マジンガーZ」の続々編の『UFOロボ グレンダイザー』からの「盗用」で、東部の角が4本から2本に減っているのがパチものっぽさを強調しています。

■国民性が出る? 80年台定番のストーリー展開とは

「未来少年コナン Blu-rayメモリアルボックス」(バンダイビジュアル)

 1980年の『ロボットキング』もインパクトのある作品です。主役ロボットの元ネタは日本の特撮ドラマ『ジャイアントロボ』のGR2です。かなりマイナーなところからネタを引っ張っているなと思います。

 主役ロボットこそ日本の特撮からの「盗用」ですが、アニメ自体の出来は良くて、演出面なども洗練されています。また敵の女性幹部が主人公とのロマンスを経て(海辺でデートしたり、蟹を怖がって逃げる様子などを描写した上での展開なので、感情移入してしまいます)、寝返るものの儚く命が散ってしまうところなどは涙を禁じえません。

 取り上げた『鉄人007』でも、敵が仲間を裏切る展開がありましたし、『テコンV』でも同様の展開がありましたから、当時の韓国アニメではベタな展開だったように思えます。

 1983年の『スーパー特急 マジンガー7』の主役ロボットはその名の通り『マジンガーZ』を意識したデザインですが、その身体は『逆転イッパツマン』に登場するロボット三冠王の玩具からの「盗用」です。斧を使って赤い『勇者ライディーン』と戦います。同年の『スーパータイタン15』は、15体のメカが合体する日本アニメ『機甲艦隊ダイラガーXV』からの「盗用」が見られますが、合体パターンが多少違います。

 なお、15体のメカに対して乗り込むパイロットは3人だけです。また宇宙列車に合体するというオリジナルのギミックも登場します。

 1984年の『スペースガンダムV』は、日本の『超時空要塞マクロス』の有名なロボット、バルキリーのデザインを「盗用」したスペースガンダムVが活躍し、巨大なネズミやクモと戦います。タイトルも「ガンダム」そのままです。こうして当時の韓国のロボットアニメを挙げていくと、楽しめる部分がありつつも、どうしても日本のアニメなどからの「盗用」が多く認められ、複雑な気分になってしまいます。

 そんななか、注目すべき作品もあります。1982年の『未来少年クンタ バミューダ5000年』です。作品としてのレベルも非常に高く、戦闘シーンの演出や作画も同時代の韓国ロボットアニメのなかで抜きん出ているところがあり、当時の韓国アニメの到達点のひとつであったと思います。日本で研修を受けたスタッフが参加していたため、一定のレベルが保たれていたのだという話もあります。

 とはいえ、この時代の韓国アニメらしく、日本のアニメからの影響もあります。具体的には、『未来少年コナン』の影響で、劇中でコナンを思わせるシーンがあったりします。そのせいで「韓国版未来少年コナン」といった呼ばれ方をされることもあるようです。

 そうした理由から”玉にキズ”のある作品ですが、優れた作品であることには変わりはなく、おすすめできる作品です。韓国のロボットアニメで、日本のアニメからの「盗用」がない作品は1990年代を待たねばなりません。

(かに三匹)

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