【漫画】耳かき専門店って何？ 元スタッフが描く体験談 女性客とのエピソードが「素敵」【作者インタビュー】

■興味はそそられるけれど謎も多い「耳かき専門店」

　ASMRがブームとなり、近頃では「耳かき」という行為そのものに興味を持つ人も増えています。過去に「耳かき専門店」で働いていた森民つかささん（@uouououoza1）は、自身の体験をもとにTwitterでエッセイマンガを公開中。最新作となる第2話では、とある女性客との心温まるエピソードが描かれました。

　穏やかな癒やしの雰囲気が伝わる本シリーズは「耳かき店に行ってみたいけれど、よく分からなくて不安」という人にも好評。新作には「かわいい絵柄とほっこりするストーリーに癒やされました」「素敵なマンガ」「私も行ってみたい」「好きなことを嫌いになるために始めたんじゃない、癒やすつもりが癒やされていた、っていう言葉が好き」など多くの感想が寄せられています。

　実体験をもとにした作者ならではの視点は、全国各地の同業者たちにも高く支持されているようです。耳かき専門店で現在働いている読者から「ぜひ一度読んでほしいマンガ。お客さまに助けられている部分がたくさんあります」といった共感の声もあがっていました。作品のTwitter投稿には、4600件を超えるいいねがついています。

　作者の森民つかささんに、お話を聞きました。

ーー森民つかささんは、どのようなきっかけでマンガを描き始めましたか？

　物心がついた時から絵を描くことが好きで、好きなマンガの模写ばかりしているうちに、将来は漫画家になれたらいいなと思い始めました。高校時代からマンガを描き始めて、新人賞に応募したりしてました。

ーー耳かき専門店で働いていた経験を、マンガに描いて公開しようと考えた経緯を教えて下さい。

　担当編集者さんに企画出しをしていたなかで、耳かき店で働いたことがある話に興味を持ってもらえたことが制作のきっかけでした。ネームの段階で「内容は素敵だけれど、商業掲載は難しい」とのことだったので、耳かき店についての情報を知りたい方たちに届けばいいなと思い、Twitterやpixivで公開することにしました。

ーー第2回目となる今回の題材に、この女性客とのエピソードを取り上げたのはなぜでしょうか？

　個人的に印象深いお客さまのなかのひとりで、友人に思い出話をすると「え！？　女性のお客さんも来るんだ」とよく驚かれました。「耳かき店は老若男女いろんな方に来てほしいお店ですよ」と発信したい思いもあったので第2話で取り上げてみました。

仕事を通じて客の「いろいろな形のページ」に触れてきたという作者（森民つかささん提供）

ーー耳掃除だけが目的であれば、耳鼻科に行くという選択肢もあると思います。膝枕スタイルではない耳かき店もあります。森民つかささんが考える「膝枕の耳かき専門店」ならではの魅力は何でしょう？

　リクライニングチェアに座って施術を行うイヤーエステ店なども、近年増えましたよね。イヤースコープを使って、自分の耳のなかを大画面で見ながら耳掃除してもらえる有料オプションが大人気みたいで、よくお客さまも話題にされてました。

　耳鼻科では掃除機のような機械で、一瞬で耳垢を吸い取ってくれるみたいですね。お医者さんにサクッと耳のなかを傷つけず取ってもらえるので、1番安心＆安全です。

　それらと比べての「膝枕耳かき専門店ならではの魅力」かぁ……何だろう。「実家や友人の家でくつろぎながら、気軽に耳掃除を頼む感覚で行ける、アットホームな休憩場所」でしょうか。

　あの唯一無二な空間を言語化するのって、難しいんですよね……(笑)。だからこそマンガにしてみた、といったところです。

ーー作品に対する読者からの反応では、どのような声が特に印象に残りましたか？

　大阪や静岡の耳かき店で以前働いていた方たちから「耳かき店のお仕事もスタッフの子たちにも癒やされて本当に大好きだったので、当時の気持ちを思い出して心がぽかぽかになりました。描いてくれてありがとう」など、感想DMをいただきました。胸がジーンとなりました。

「忙しい毎日に疲れた時に読みに来てます」というコメントも、たくさんいただけてうれしかったです。

ーー作品タイトルに「漫画家志望」とありますが、現在はどのような活動をしているかを教えて下さい。また、今後Twitterで発表される作品については、どのように活動していきたいとお考えでしょうか？

　1年ほど前までは担当編集者さんにネームなどを定期的に送っていたのですが、企画が通らなすぎて最近は行き詰まっている状況です……(涙)。

　商業活動を目標にしつつ、Twitterやpixivにも創作マンガを公開していきたいなと思います。やはり読者の方から反応をいただけることが、次の作品を作るエネルギーになっているので。耳かき専門店エッセイマンガの第3弾も描きたいなと思ってます。

（マグミクス編集部）