「マリオ」に両親はいるの？ ワリオとの血縁関係は？ 人気ゲームキャラの知られざる設定

■「マリオ」にまつわる世界的に知られていない「設定」

　世界中で人気を博すゲームキャラクター「マリオ」。

　1981年にアーケード版『ドンキーコング』に登場して以来、テニスやカートレース、ときに医者になったり、ときに「ペーパー」になったり、ときに「赤ちゃん」になったり、それはもう八面六臂の大活躍。あらゆる垣根をやすやすとジャンプするマリオですが、その設定はどこまで公式で決定されているのでしょうか？

　例えば、彼に家族はいるのでしょうか。そんなことを言えばルイージが拗ねてしまいますが、ルイージが明確にマリオの「弟」として登場したのは1983年発売のゲーム&ウオッチ版『マリオブラザーズ』からであり、最初からいたわけではありません。

　ではそんな彼らを生み育てた両親はどこにいるのでしょうか。少しドライな言い方に変えれば、マリオとルイージの両親はどこまで設定されているのでしょうか。世界的なスーパースターの「両親」に関する描写は意外なほど少ないのです。

　これに関して（ややこしいですが）生みの親である宮本茂さんはインタビューで次のように語っています。

「ゲームを作る上で邪魔になりそうな情報を入れなかったんですね。今後も、それを踏まえた上で自由に作っていきたいと思っています。」

　この自由度がマリオの躍進に大きな影響を与えたことは確かでしょう。とはいえ両親の描写がまったくない訳ではありません。代表的なものがスピンオフ作品『スーパーマリオ ヨッシーアイランド』。こちらはコウノトリが落とした赤ちゃんマリオをヨッシーが運んでいく大ヒット作。エンディングでマリオの両親がシルエットでのみ登場します。ちなみに両親が住んでいる家はキノコ型。マリオたちがキノコで元気が出るのは実家パワーかもしれません。

■「マリオカート」勢からしたら急に現れた「W」のあいつ

『おすそわける メイド イン ワリオ』　(C)2021 Nintendo Co-developed by INTELLIGENT SYSTEMS

　もうひとり、マリオ近辺をうろつくキャラのなかでどうしても見過ごせない男がいます。「ワリオ」です。『マリオカート64』ではじめて彼を知った人も多かったのではないでしょうか。

　なんとも邪悪な顔つきに、邪悪な笑い声。一体、何ものでしょうか。闇落ちしたマリオ、にしてはカラーリングがゴキゲンです。

　この「ワリオ」がデビューしたのは1992年に発売されたゲームボーイ用ソフト『スーパーマリオランド2 6つの金貨』。これまでのシリーズにはいないボスキャラとして生み出されたのが彼でした。大前提、やっぱり彼は「敵」としてそのキャリアをスタートしたのです。

　ワリオの生みの親で『メトロイド』などの開発に携わった清武博二さんによれば、開発中は（マリオの生みの親である）宮本茂さんには見せなかったとのこと。

　ワリオは人気を博し、次回作『スーパーマリオランド3 ワリオランド』ではまさかの主役に大抜擢。その後は清武さんの手から離れてみんなからも愛される存在に。そういう意味では「マリオ」も「ワリオ」も似たような育てられ方をしています。ちなみにワリオはマリオの幼馴染という設定。これも、宮本さんに内緒で作ったとか。

　さてそうなってくると気になってくるのは『マリオテニス64』で初登場し「ワルイージ」ですが、彼はワリオの「ダブルス相手」要員のような立ち位置で誕生。生みの親である高橋秀五さんの話によれば、「逆L」のマーク以外はほぼ最初からすぐ決定し、任天堂も即OKを出してくれたと言います。ちなみに「ワリオ」と「ワルイージ」には血縁関係はないようです。

　世界で愛されるにはこのくらい「アバウト」な設定の幅がないといけないのだとしみじみ考えさせられます。なお「悪いヨッシー」の「ワッシー」みたいなのはいないのか探しましたが……普通にいました。自由ですね。

（片野）