自分の原作なら「改変」も思いのまま? 天才漫画家たちがアニメ監督をした「結果」とは
マグミクス / 2023年3月31日 18時25分
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■私費を投じてアニメ制作に乗り出した“漫画の神様”
映画『THE FIRST SLAM DUNK』が、興収100億円を超える大ヒットを記録しています。ご存知のとおり、この作品の監督は原作者の井上雄彦先生が務めました。すでに完成された名作を大胆に再構成したストーリーは、原作者しか実現できない荒業です。もし誰かが発案したとしても、きっと反対されてしまうでしょう。
ところで、井上先生のように自分の作品をアニメ映画にするとき、漫画家が自ら監督するのは、かなり珍しいケースだと言えます。漫画家とアニメ監督はまったく別の職業ですかから、当然といえば当然のこと。しかし、それをやり遂げてしまった漫画家もいます。
まずは何といっても“漫画の神様”手塚治虫先生の名を挙げなければいけません。ディズニーに憧れていた手塚先生は、私費を投じてアニメ制作会社・虫プロダクションを立ち上げるほど、アニメ制作に情熱を傾けていました。
実験アニメーション作品をはじめ、いくつもの作品に監督として携わった手塚先生ですが、満を持して臨んだのが、自らのライフワーク『火の鳥』を映画化した『火の鳥2772 愛のコスモゾーン』(80年)です。本作での手塚先生は、原作・脚本・総監督を担当しています。
長大かつ壮大な原作から主に未来部分を抽出し、当時大ブームだったSF要素を大幅に取り入れた作品です。やはり原作者の手塚先生でなければ、このような大胆な改変とイメージチェンジはできなったでしょう。アニメーションの最新技術が導入され、冒頭10分以上セリフがないなど野心的な演出も行われていますが、作品の質的にも興行的にも成功とは言い難いものになりました。
続いては、大友克洋先生が監督を務めた『AKIRA』(88年)です。70年代末にデビューし、漫画界の「ニューウェーブ」として名を馳せた大友先生でしたが、『幻魔大戦』(83年)にスタッフとして参加したことでアニメ制作に興味を持ち、オムニバス『迷宮物語』(86年)の中の短編「工事中止命令」で監督デビュー。そして、長編初監督を務めたのが自身の代表作をアニメ映画化した『AKIRA』でした。
徹底的に緻密でリアルな画風で知られた大友先生でしたが、『AKIRA』では自ら絵コンテ、レイアウト、原画、作画修正を担当。セリフと口の動きを合わせるリップシンクなどを導入して徹底したリアリズムを追求し、ハイクオリティな作品を実現しました。興行収入は10億円に達することなく、大ヒット作とは言えませんが、後に世界中で評価されて「ジャパニメーション」ブームの先鞭となりました。また、『AKIRA』に参加した多くの若いスタッフが、後に多くのリアル系アニメを手がけています。
■原作者とスタッフが怒鳴り合いの大ゲンカ
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『ルパン三世』の原作者、モンキー・パンチ先生が自作の監督に挑んだのが『ルパン三世 DEAD OR ALIVE』(96年)です。それまでにも『ルパン三世 ルパンVS複製人間』(78年)や『ルパン三世 カリオストロの城』(79年)など、数多くの長編作品が作られていましたが、原点回帰を図った本作では原作者が監督として登板することになりました。
女性や子供に優しいルパンではなく、ワイルドな感じや危険な匂いのするルパンを作りたかったというモンキー・パンチ先生。コミックリリーフになっていた銭形警部を切れ者に戻すという試みも行なわれました。一方で“宮崎ルパン”に引っ張られるスタッフも多く、現場では怒鳴り合いのケンカが続いたとか。興行成績もふるいませんでした。
2019年にモンキー・パンチ先生が逝去されたときは、追悼番組として『ルパンVS複製人間』が放送されましたが、『DEAD OR ALIVE』を放映すべきではという声も少なくありませんでした(後にBS日テレで放送)。ちなみにモンキー・パンチ先生がアニメ監督に興味を示したのは、「モンさんどうしてアニメやらないの」「アニメって面白いからやりなさい」と生前の手塚治虫先生に言われたからだったそうです。
ほかにアニメ監督を務めた漫画家としては、『宇宙戦艦ヤマト』に企画の途中で参加し、最終的に監督を務めた松本零士先生、OVA『COBRA THE ANIMETION』を監督した寺沢武一先生などがいます。自作のアニメを監督してしまう漫画家は、やはり“天才”と呼ばれるような人が多いようです。
(大山くまお)
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