意外な知識が勉強になる人気マンガ 「読んでて良かった」「東大生太鼓判」

■楽しみながら学べるマンガは役に立つ！

　書店の参考書コーナーには、さまざまな分野の知識をマンガで学べる参考書が多く並んでいます。覚えるのが難しい知識でも、マンガで楽しみながら覚えられる参考書は実際に手に取ったことがある方も多いのではないでしょうか。

　このような参考書だけでなく、一般的なマンガで描かれていたシーンや設定、キャラクターの名前から自然と覚えているパターンもあります。

●東大生も太鼓判！　『はたらく細胞』

　人間の体内を舞台に、擬人化した無数の細胞たちが病原菌と戦う姿を描いたマンガ『はたらく細胞』（作：清水茜）は、楽しみながら勉強になる要素が多く、高く評価されています。人が病気や怪我をした際、個性豊かな細胞たちがどのような役割を果たしているのかを面白おかしく描いており、全国の学校で授業に使用されている事例も少なくありません。

『はたらく細胞』はこれまでに本編に加え、スピンオフ作品の『はたらく細胞BLACK』がアニメ化されており、2021年7月に放送されたTV番組「林修の今でしょ！講座」特別編では、現役東大生500人が選ぶ「勉強になるアニメ」ランキングで堂々の1位に選ばれています。実際にSNSでは、「読んでたおかげで国試の試験で役立った」「体調不良の原因がわかった」と、実生活で知識が生きたことを喜ぶ声も。

　また、『はたらく細胞』は『テルマエ・ロマエ』や『翔んで埼玉』など、過去にも大ヒットした実写化作品を手がけた武内英樹監督によって、実写化されることも発表されました。実写化によって、さらに多くの人が人体を学ぶ機会が増えそうです。

●キャラクターの名前でしっかり覚えられた！　『七つの大罪』『鋼の錬金術師』

　キリスト教において罪の根源とされる、七つの悪しき感情・欲望を指す言葉である「七つの大罪」は、マンガでもさまざまな形でモチーフとされてきました。2012年から2020年まで『週刊少年マガジン』で連載され、劇場アニメも製作された『七つの大罪』（作：鈴木央）は、そのタイトル通り「七つの大罪」がモチーフとなったキャラクターたちが活躍するマンガです。

　同作において、主要キャラクターである騎士団「七つの大罪」のメンバーは、七つの大罪になぞらえた異名と刺青を持っており、主人公は〈憤怒の罪（ドラゴン・シン）〉のメリオダスと呼ばれています。さらに各キャラには七つの大罪に沿った罪状がありますが、物語が進むにつれ、罪状には真相があったことが明らかになっていきます。

　同様に、『鋼の錬金術師』（作：荒川弘）では、主人公・エドワードとアルフォンス兄弟の前に立ち塞がる敵、ホムンクルスたちも七つの大罪がモチーフとなっており、それぞれが七つの大罪を英語読みした名前と特徴を持っています。

　たとえば「色欲」の名を持つ「ラスト」は、ウェーブがかった長髪で黒いドレスをまとった妖艶な美女という設定です。性的な欲望である「色欲」を表しているかのように、人を誘惑させるようなビジュアルが特徴的といえます。

　映画やアニメ、ゲームでもたびたびモチーフとされる「七つの大罪」について、「何で覚えたか」という話題では「映画の『セブン』で覚えた」「覚えたきっかけは『天使禁猟区』だったかも」という人もいる一方、キャラクターのビジュアルや設定に色濃く反映させていた上記2作をあげる人も少なくありません。

●世界中のオーパーツが登場！　『スプリガン』

　2022年にNetflixで再アニメ化されたマンガ『スプリガン』（原作：たかしげ宙、作画：皆川亮二）は、超古代文明の遺産「オーパーツ」を封印するために設立された組織「アーカム」の特殊エージェント「スプリガン」として、強大な敵に挑む少年・御神苗優（おみなえ・ゆう）の活躍を描いた作品です。

　作品が連載されていた1989年から1996年は、ノストラダムスの大予言が注目されていたこともあり、オカルトブームを迎えていました。謎めいたオーパーツによって世界崩壊の危機が訪れようとする状況下で奔走する優の活躍を描いた『スプリガン』には、実在するオーパーツも数多く登場しており、同作をきっかけにオーパーツについて知った読者も見られます。

　実際にNetflixでの再アニメ化が発表された際、「これでオーパーツ覚えたな」「オリハルコンとか水晶ドクロを知ったのはスプリガンだった」と、かつての読者たちの声がSNSを中心にあふれていました。

（田中泉）