気になる！『刃牙』に残された謎 「オリバの罪状」「範馬の血と壁画の関係」

■地上最強の生物はどうやって生まれたのか？

　人気格闘マンガ『刃牙』シリーズでは、例えば渋川剛気の片目を潰した相手（柳龍光）など、当初は分かっていなかった部分も、連載が進むにつれて徐々に明かされてきました。しかし、いまだ謎は残されており、今後の展開への期待できます。今回は、そんな『刃牙』シリーズのよく分かっていない謎の部分を、振り返ります。

●範馬勇一郎とは何者か

『刃牙』シリーズの第3部『範馬刃牙』での、刃牙と勇次郎による「地上最強の親子喧嘩」の際に、霊（？）として登場したのが、勇次郎の父・範馬勇一郎でした。突然の登場でしたがその後、太平洋戦争の沖縄戦終結後に、彼が離島でアメリカ軍を相手にひとりで戦い続けたエピソードが紹介されています。

　勇一郎は米軍による爆撃をやり過ごした後、島に上陸してきた米兵たちを圧倒しました。彼は投げ技を得意としており、投げた敵を別の敵にぶつけることで、ひと投げで最低3人以上の死傷者を出し、敵の指揮官が本国に原子爆弾の使用を打診するほど、恐怖させたのです。さらに、人間をヌンチャクのように振り回す技「ドレス」を駆使して、軍艦アイオワを奪取したことで、勇一郎は「勇次郎以前に米国に勝った男」と評されるようになりました。

　これほどの強者である勇一郎の人柄や勇次郎との関わりは、気になっている人が多い部分ですが、それらは謎のままです。ただし勇次郎は、勇一郎を「人生観や生き方が対極に位置する」と述べていました。

　そして、武神・愚地独歩の若かりし頃を描いた『バキ外伝 拳刃』では、勇一郎が当時最強のプロレス王・力剛山と、八百長試合をして負ける様子も描かれており、勇次郎のような勝利至上主義ではないことが分かります。また、勇次郎の母は「仏門」に入っており、範馬家の過去に何があったのか気になるところです。

　また、勇一郎に関連する謎として、「範馬の血」が挙げられます。勇一郎、勇次郎、刃牙と三世代に渡って、人間離れした強さを持つことは描かれていますが、その力の秘密は判明していません。しかし、「親子喧嘩」と並行して描かれた謎の描写がありました。

　刃牙たちが戦っていた同日、エジプトのギザのピラミッドにて、ある研究チームが背中に鬼の顔を持つ悪魔に古代人たちがおびただしい数の兵器を向けている様子が描かれた、「壁画」を見つけたのです。そして、その悪魔がもうひとりの小さい悪魔と戦っている様子も壁画に描かれており、勇次郎と刃牙の関係性にも被って見えます。範馬家の祖先が紀元前2500年以前にも存在し、そこで猛威を振るっていたことを示しているのかもしれません。

　このピラミッドの件は4部以降まだ触れられていませんが、話が紀元前までさかのぼったことから、ネットでは範馬の血のルーツが「地球外生命体」なのではないか、と予想する人もいました。いずれ来る「最終章」で「宇宙人との格闘」が描かれる、という説も出ています。

●松本梢江の父の謎

　刃牙の恋人である松本梢江の父・松本太山（まつもと・たいざん）は、 格闘家だったことや空手と因縁があったことは示唆されていますが、すでに故人だったこともあって、多くの部分が謎に包まれていました。

　第1部『グラップラー刃牙』で、神心会空手の大会で優勝した刃牙が下宿していた松本家に帰宅した際、家主の松本絹代が、亡くなった夫の太山も同じように傷だらけになっていたことを刃牙に伝えています。そして、太山がひとり娘の梢江を残し、幸せそうに死んだことも伝えていますが、それ以降、彼の情報は長く出てきていませんでした。

　しかし、2022年から連載されている『漫画 ゆうえんち-バキ外伝-』にて、太山がラーメン屋台「こずえ」の主人として登場します。そして、ナイフを胸筋で受け止めたり、桜の木を抱きしめることで開花を早めたりと、彼の人間離れした能力が描かれました。そして、太山は師匠として主人公・葛城無門の成長を手助けするのですが、幼い梢江の病気の治療費を稼ぐため、「ゆうえんち」に挑んで致命傷を負い、亡くなったことが描かれています。

　自分よりはるかに強い相手にも怯まない梢江の強さも、父親譲りなのかもしれません。今後、独歩や他の過去から活躍する武術家たちとの因縁も描かれるのか、気になるところです。また梢江本人も『範馬刃牙』の終盤以降登場しておらず、刃牙との関係はどうなったのか、心配してしまいます。

●オリバが収監された罪状とは？

　圧倒的な筋肉とパワーを誇るビスケット・オリバは、アメリカ最強の男で「ミスター・アンチェイン（繋がれざる者）」と呼ばれています。オリバは一応はアリゾナ州立刑務所に収監されている囚人ですが、あまりの強さゆえに、刑務所を自由に出入りし、犯罪者を捕獲する特殊な立場です。

　さらに、飲酒や喫煙、携帯電話の仕様も許されており、広大な個人図書館を刑務所内に所有し、1日10万kgカロリーの食事を用意させる、刑務所の壁に自分の巨大肖像画を描かせるなど、囚人とは思えない待遇を受けています。しかし、これほど特別な行動を許されているオリバですが、彼が刑務所にいる理由は明かされていないのです。

　出身はキューバとされていますが、幼少期や恋人のマリアとの出会いも明かされておらず、多くの謎が残っています。刑務所に入るきっかけになった何かしらの事件はあるはずですが、1978年に悪徳警官ジェフ・マークソンを路上で半殺しにしたこと以外、特に過去は語られていません。

　前述の範馬勇一郎や松本太山のように、謎が多く残っている人物は、外伝で描かれることもあるため、オリバも外伝などで謎が明かされることが期待できます。

（SU_BU）