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『キン肉マン』アニメ化から40年 原作者自ら要望した「改変」で大ヒットに?

マグミクス / 2023年4月3日 6時25分

『キン肉マン』アニメ化から40年 原作者自ら要望した「改変」で大ヒットに?

■徹底したファン目線で「改変」を行う

 本日4月3日は、「週刊少年ジャンプ」で連載されていた人気マンガ『キン肉マン』がTVアニメとして1983年に放送開始した日。今年で40周年になります。アニメになったことで、より大きなヒットを生むことになった『キン肉マン』について振り返ってみましょう。

『キン肉マン』は当初、1978年の第9回赤塚賞に準入選した読み切りからスタートし、その後に連載が始まったギャグマンガでした。しかし、作者のゆでたまご先生(原作担当の嶋田隆司先生と、作画担当の中井義則先生の共同ペンネーム)が大のプロレス好きだったこともあり、「第20回超人オリンピック編」を機に内容が格闘路線に舵を切るようになります。

 この路線変更が読者に大いに受け入れられ、やがて不動の人気を得ることとなりました。その人気も安定していたころ、TVアニメ化が決まります。原作マンガでは、ちょうど「黄金のマスク編」で悪魔将軍との戦いが始まるころでした。もっとも勢いのあった時期と言えるでしょう。

『キン肉マン』はほとんどの局が日曜朝10時からの放送でしたが、この時間枠には『笑っていいとも!増刊号』という高視聴率番組が競争相手として存在していました。そこで嶋田先生はTV局に「早めに超人オリンピックを始めるよう」に要望します。そのため放送開始の翌月中旬から、人気の高い格闘路線が始まりました。強力な裏番組への対抗策というわけです。

 こういった原作者からの要望は他にもありました。原作マンガでは読者の支持があまりなかった「アメリカ遠征編」がTVアニメで大きく変更されたのも、原作側の要望からだったそうです。こういった原作側の要望が、TVアニメの構成をマンガよりファン目線で面白くなるよう変えていきました。

 この他にも原作マンガではなかった部分にもギャグが頻繁に織り込まれるようになったのも、原作側の要望だったそうです。それによりナチグロンや五分刈(原作では赤岩)刑事のレギュラー化、原作マンガ途中から消えてしまったキン骨マンやイワオをコメディリリーフとしてレギュラーで起用することで独特のテンポを構築しました。このギャグとバトルのテンポの良い切り替えがTVアニメの魅力のひとつではないでしょうか。

 こうしたTVアニメならではの独特の構成が受け入れられたのか、視聴率も徐々に上昇し、放送1年後にはゴールデンタイムでのTVスペシャルや劇場版の制作が決定します。そのころには『キン肉マン』は誰もが知るヒット作となっていました。

■冷めぬファンの熱意 「奇跡」が三度起こる

アニメ化「復活」で描かれた「キン肉星王位争奪編」を収録した「キン肉マン一挙見Blu-ray キン肉星王位争奪編2」(東映ビデオ)

 アニメ作品のヒットは視聴率の高さだけで決まるものではありません。関連商品の売れ行きが大きく左右します。『キン肉マン』の場合、原作マンガの部数アップはもちろんでしたが、それ以上に社会現象を生んだ商品をヒットさせることに成功しました。それが「キンケシ」と呼ばれる商品です。

 キンケシとは「キン肉マン消しゴム」の略称ですが、正式には消しゴムではありません。ガシャポンなどのカプセル式自動販売機で排出される商品を、スーパーカーやウルトラマンのころから材質が似ていることもあって、「消しゴム」と呼んでいただけです。

 このキンケシブームが『キン肉マン』を大ヒットへと導いた商品でした。その熱狂ぶりは当時を知る人ならおぼえていることでしょう。『キン肉マン』のキーアイテムと言えばキンケシ……という方程式は現在に至るまで受け継がれており、現在連載中の新シリーズのキャラまで立体化しています。

 他にもスポンサーではなかったのですが、この頃から「牛丼」がポピュラーな食べ物と認識されたのも『キン肉マン』の影響が強かったと言われていました。アニメオリジナルで生まれた「牛丼音頭」は、劇中で頻繁に使われていたこともあって主題歌と同じくらい耳に残った曲だと思います。

 もちろん串田アキラさんによる主題歌もギャグと熱さが混在した名曲でした。しかし、筆者がそれ以上に注目するのが超人たちに個々のテーマソングがあったことです。超人ごとに間奏にセリフが入ったこの挿入歌はとても人気が高く、いわゆるキャラクターソングの先駆けのひとつといえるでしょう。

 こうして3年半14クール全137話まで『キン肉マン』のTVアニメは続きました。しかし、週刊マンガ連載作品のTVアニメ化としては最大の弱点である、「原作の展開に追いつく」という事態から惜しまれつつも放送終了となります。

 当時まだ連載でストーリーが進行中だった「キン肉星王位争奪編」は、結果的にTVアニメとして放送されることなくアニメ版『キン肉マン』は幕を下ろすことになりました。しかし、5年後の1991年10月6日に『キン肉マン キン肉星王位争奪編』として奇跡の復活を果たすこととなります。

 人気があったとはいえ、原作の最終回までをあらためてTVアニメとして数年後に再開することは当時まだあまり例がなく、製作側の『キン肉マン』への期待、ファンの熱意が叶った得意な例といえるでしょう。

 しかし、この奇跡はどうやら一度だけではないようです。

 2011年から異例の新章である「完璧超人始祖編」が連載開始した『キン肉マン』。かつてのファンをふたたび熱い気持ちにさせた本作が、本年2023年3月17日に「新アニメ始動」というニュースが飛び込んできました。多くのファンが歓喜の声をあげ、新作アニメの公開を心待ちにしています。

 この「3度目の奇跡」に、筆者はキン肉マンの通り名のひとつである「奇跡の逆転ファイター」という言葉を思い出さずにはいられません。

(加々美利治)

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