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『ガンダム』ヤラれても戦わない、地球連邦軍の「不自然」な態度 シャアの粛清も納得?

マグミクス / 2023年4月8日 6時10分

『ガンダム』ヤラれても戦わない、地球連邦軍の「不自然」な態度 シャアの粛清も納得?

■地球への攻撃は意味がない?

 地球連邦とは、アニメ『機動戦士ガンダム』シリーズに登場する架空国家です。地球とスペースコロニーと、月面都市の一部を領土にしています。

 最初の作品である『機動戦士ガンダム』では、宇宙世紀0079年にスペースコロニー国家であるジオン公国により、スペースコロニー群「サイド」が壊滅させられ、地球にもスペースコロニーを落とされて、全人口の半数が死滅するという大損害を被ります。

 連邦軍は一年戦争を戦い、ジオン公国を打倒したのですが、宇宙世紀0083年にジオン残党のデラーズフリートが再び、コロニー落としを敢行します。連邦軍はデラーズフリートを壊滅に追い込みますが(『機動戦士ガンダム0083』)、一致団結して地球防衛のために戦ったのはここまでです。

 0087年には、地球連邦軍はジオン残党狩りを目的とした特殊部隊ティターンズと、スペースノイドの権利を擁護するエゥーゴに分裂して、内乱状態となります。エゥーゴが勝利しますが、その後で、地球にハマーン率いるネオ・ジオンが攻撃を開始します(『機動戦士Zガンダム』)。

 0088年の『機動戦士ガンダムZZ』で、ネオ・ジオンは地球政府の高官が住むダブリンにスペースコロニーを落とし、首都ダカールをも占領します。地球連邦からすれば、これ以上ない暴挙のはずですが、この時代の地球連邦軍は、スペースコロニーの落下を阻止しようとしません。

 ハヤトのセリフによれば「地球連邦はコロニーが落ちても何もしない。連邦政府の望みは地球の人口が減ることだ」とのことで、実際、地球連邦はネオ・ジオンと戦わず、ハマーンの政治的要求を受け入れて、サイド3を割譲しています。エゥーゴがハマーンを打倒しなければ、地球圏はネオ・ジオンに支配されていたかもしれません。

 そして、劇場版アニメ『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の舞台となる0093年で、シャアの率いる新生ネオ・シオンは、地球に小惑星「5thルナ」を落とします。地球連邦政府はそれでも、シャアと交渉ができると考え、スペースコロニー「スウィート・ウォーター」や、小惑星「アクシズ」をネオ・ジオンに割譲します。

 なぜ地球連邦は、ここまで地球への攻撃に対して無反応なのでしょうか。

 シャアは『逆襲のシャア』で、「地球に住む者は自分のことしか考えていない。だから抹殺すると宣言した」「人類が絶対に戦争を繰り返さないように、地球圏の戦争の源である、地球に居続ける人々を粛清する」と宣言しています。もし「地球が特権階級の楽園」なのであれば、特権階級たちは、自分たちの聖域・地球を守ろうとするはずです。

 ちなみにシャアは、元々は大量虐殺を是とする人物ではありません。『機動戦士Zガンダム』のダカール演説時には、ダカールの町への被害を顧みずに攻撃を続けるティターンズに対して「見るが良い! この暴虐な行為を」と批判しています。

 また、ティターンズの毒ガス攻撃で全滅したコロニー内で、虐殺を否定するライラに「見てわからんのか。地球連邦が第二のザビ家になろうとしているのが、わからないのか」と反論していますから、ザビ家の虐殺行為には批判的であることもわかります。

 地球連邦が、地球上の人命に無関心で、シャアが「人類の粛清としてアクシズを落とすことに、それほど罪の意識を感じていない理由」ですが、筆者は「人口」だと考えます。

 一年戦争で「総人口(110~120億人のようです)の半数が死に至らしめられた」というナレーションがあります。ここでの犠牲者の大半が、開戦時に攻撃されたサイド1・2・5であり、コロニー落とし自体による人口被害はそれほどなかったと考えられます。

「宇宙世紀0050年に総人口110億のうち、90億人が宇宙に上がった(つまり、地球人口は20億人)」「コロニー落としの被害は20億人」という資料がありますが、0079年でも人口が変わっていないのなら、20億人いるはずの地球の人口はコロニー落としで「ゼロ」になってしまいますし。

 連邦軍が地上戦で大部隊を編制したり、大艦隊を宇宙に撃ちあげている以上、一年戦争時の地球には大きな人口がいたことは間違いありません。

 なお「0050年に宇宙移民が停止された後、一度、スペースコロニーに上げられた人口の一部が地球に戻った」と考えるなら「全人類を宇宙に上げるという目標を、地球連邦が放棄した」という、劇中描写と合致します。

 0050年におけるサイド3の人口が20億人という資料もあります。その一方で劇場版『機動戦士ガンダム めぐりあい宇宙』で「サイド3の人口は1億5000万人」と語られています。「地球連邦が、独立を叫ぶサイド3を危険とみて、地球に人口を戻させたから、人口が20億人から1億5000万人に減った」とするなら、辻褄が合います(ジオンが「選民思想」を持つ理由にもなるでしょう。この場合、サイド3にいるのは「選んで残った人たち」だからです)。

■戦わない地球連邦の「思惑」とは?

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 本題に話を戻します。『機動戦士Zガンダム』で、7年前に全滅したはずの「サイド1・2・5」は再建されています。つまり、『Z』でサイド1・2・5に住んでいた人たちは「一年戦争後にどこからか移住されてきた」としか、考えられません。

 地球連邦は「宇宙に人口の大半を上げる」という公約を0050年に中止しましたが、一年戦争以降、サイド1・2・5を再建して、地球居住者をそこに移住させたことで、公約が概ね達成されたのではないでしょうか。

 こうした前提に立つなら、『Z』以降の地球には人口はほとんどいないことになります。にもかかわらず、地球連邦の首都は地球上のダカールで、一年戦争前と同じく地球から宇宙を支配しようとする特権階級がいて、それらは地球に残っている。また、連邦の方針に反して、反スペースノイドで、不法滞在となっても、地球に残った人たちもいたのでしょう。

 状況がこうであれば、ハヤトの「地球連邦はコロニーが落ちても何もしない。連邦政府の望みは地球の人口が減ることだ」、シャアの「地球に住む者は自分のことしか考えていない。だから抹殺すると宣言した」「人類が絶対に戦争を繰り返さないように、地球圏の戦争の源である、地球に居続ける人々を粛清する」は、ある程度理解できます。

「地球にほとんど人がおらず、いるのはごく一部の特権階級と不法滞在者だけ」なのであれば、地球にスペースコロニーや小惑星が落とされても、地球連邦としては多大な労力と人命をかけて、阻止することはしないでしょう。

 だから『0083』では阻止しようとして、『Z』以降では「無視」したし、シャアも「地球にアクシズを落としても、人はほぼいないから警告でしかない。私は人類の中心が地球に戻らないようにしているだけだ。だが、それでも罪は罪だから、父ジオンの元に召されても仕方ない」と考えているのではないかとも、考えられます。

『機動戦士ガンダムUC』で、フル・フロンタルはサイドだけで経済を完結させる「サイド共栄圏」を提唱していますが、地球にほとんど人口がいないと考えるのであれば「地球の無視」はリアリティを持って考えられるのかもしれません。

(安藤昌季)

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