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『世界名作劇場』大人になると分かる「落涙必至」の切ないエピソード

マグミクス / 2023年4月15日 9時25分

『世界名作劇場』大人になると分かる「落涙必至」の切ないエピソード

■泣けるのは最終回だけじゃない! けなげなネロに涙腺崩壊

『世界名作劇場』は、日本アニメーションの公式では同社制作の『フランダースの犬』(1975年)から、『こんにちはアン Before Green Gables』(2009年)までの、シリーズ計26作品があります。その黄金期であった1970年代、80年代に子供時代を過ごした方にとっては、家族で一緒に見て、笑ったり泣いたりした懐かしいアニメ番組として心に残っていることでしょう。

 しかし、よーく思い出してみると、大人と子供では泣くタイミングが違うことは、なかったでしょうか? これは、子供が主人公の児童文学をベースにした作品であることから、子供は主人公と同じ目線で冒険を楽しみ、友情や愛情を知って成長できる一方、大人は自分の子供に対するように主人公を見守っていたためと考えられます。

 今回は『世界名作劇場』で「大人になったからこそ分かる泣ける&切ないシーン」について振り返ります。2023年3月現在、『世界名作劇場』の作品は、Amazon prime videoやフジテレビオンデマンド、バンダイチャンネル、dアニメストアなどで視聴することができるので、大人ならではの視点から、再視聴してみるのもオススメです。

●『フランダースの犬』……貧しさを恨まない、ネロのけなげさが切ない

 幼い頃に両親を亡くしたネロは、絵が得意な少年。祖父と一緒に牛乳配達の仕事をしてつつましく暮らしていた彼は、飼い主からひどい虐待を受けて捨てられていた犬・パトラッシュを助け、祖父亡き後も支え合って生きていました。しかし、裕福な幼なじみの少女・アロアの父親に嫌われ、風車小屋に放火した犯人だと疑われたことで、ネロはますます追い詰められ、ついには寒い雪の日に家を追い出されてしまうのです……。

『フランダースの犬』といえば、誰もが大号泣するであろう場面は、すべてを失ったネロがパトラッシュとともに天使に導かれて天に昇っていくシーンでした。仕事が多忙を極めた時、来客前の掃除や料理の準備で疲れ果てた時、ベッドに倒れこみながら、思わず言ってしまったことはないでしょうか? 「パトラッシュ、ぼくはもう疲れたよ」と。そのくらい、脳に刻み込まれた泣けるシーンです。

 そんな『フランダースの犬』には、子供の頃には分からなかった、「大人になって胸が締め付けられるシーン」がいくつもあります。そのひとつが、アロアがネロにお父さんの古い帳簿をあげるエピソード(第15話)です。当時、紙は高価だったため、貧しいネロには買うことができず、いつも木の板に絵を描いていました。そんなネロに、アロアは、お父さんの古い帳簿を渡し、何も書かれていない裏に絵の練習するよう勧めたのです。

 帳簿を抱きしめたネロの「あぁ、紙のにおいだ……」という、うれしそうな顔と声。子供の頃は、ただ「紙がもらえて嬉しいんだな」としか思いませんでしたが、大人になると、貧しさのせいで我慢していたことは多いはずなのに、それを恨んだり嘆いたりしないネロのけなげさが切なくて泣けます。

■ただの妄想少女ではない! 『赤毛のアン』のアンの泣ける生い立ちとやっと手にした家族の愛と絆

●『赤毛のアン』……アンの愛に恵まれない生い立ちが切ない

『赤毛のアン ファミリーセレクション』DVDBOX(バンダイビジュアル)

 男の子を希望していたマシュウとマリラの兄妹のもとに、孤児院の手違いで、おしゃべりで空想好きの赤毛の少女・アンがやってきます。マシュウとマリラの愛情、心の友・ダイアナとの出会い、そして学校生活……。アンは賢く、美しく成長し、なくてはならない大切な家族の一員になっていきます。

『赤毛のアン』の主人公・アンは、とても感性豊かな少女です。グリーン・ゲイブルズの自然にいちいち感激し、これからの生活に胸を膨らませ、もともと口数が少ないマシュウを圧倒して、夢と現実を行き来しながらしゃべり続けます。兄妹が本当は男の子を望んでおり、自分が来たのは手違いだったことが分かると、今度はこの世の終わりかというほど嘆き悲しむのでした。

 子供の頃は、そんなジェットコースターのように激しく変化するアンの感情の起伏に巻き込まれるように、物語に引き込まれていったものです。そして、彼女と一緒になって赤毛をからかったクラスメイトのギルバートに怒り、先生のちょうちん袖の洋服にあこがれ、マシュウの死に涙を流しました。

 大人になって見直すと、そんなアンが珍しく言葉少なになったシーンが胸に刺さります。それは、マニラに自らの生い立ちについて聞かれた時(第4話)でした。生まれて3か月で両親を続けて亡くしたアンは、親戚にも引き取り手がなく、しかたなく手伝いに来ていた女性の家に引き取られます。酒乱のご主人に怒鳴られながら、幼いアンは4人の子供たちの子守りをしていましたが、おじさんが亡くなると別の家にやられ、今度は8人の子守りに忙殺させられることに……。

 そして、2年後におじさんがなくなると、おばさんは子供たちを親類に渡してアメリカへ行ってしまい、行き場をなくしたアンは、自力で孤児院へ向かったというのです。家族の愛を知ることなく育った彼女の悲しい境遇に、彼女を孤児院に送り返そうとしていたマニラも言葉を失います。

「おばさんたちは、よくしてくれたのかい?」というマニラの質問に、実際にはそうではなかったにもかかわらず、「ふたりとも、私によくしてくれようという気があったのはたしかよ」と答えるのは、アンの心優しさからでしょう。しかし、それと同時に彼女の空想癖は、つらいことの多い日々を乗り越えるための術であったことを知り、胸が詰まります。

 そのほか、「そうさのぅ……」が口癖のマシュウが成長したアンに言った、「1ダースの男の子よりおまえにいてもらうほうがいいよ」「おまえはわしの自慢の娘なんだ」という言葉(第46話)も、大人になって聞くと、より胸に響く深い言葉です。

●『ペリーヌ物語』……2度目のお父様のお葬式が切ない

 父・エドモンを亡くしたペリーヌは、母・マリとともにフランスで織物工場を経営する祖父・ビルフランのもとを目指しますが、旅の途中で母も亡くなってしまいます。なんとか祖父の工場のある町に着いたものの、そこで冷酷で厳格な祖父の人柄や、祖父がインド人の母・マリとの結婚に反対して父を勘当したことを聞いたペリーヌは、名乗り出ることができずにいました。そこで名前を偽って、祖父の工場で働くことにします。

 ペリーヌは祖父のために英語通訳をしたことがきっかけで、孫だと明かさないまま、祖父の個人秘書になり、屋敷にも一緒に住むことになります。しかし、祖父はエドモンとの仲たがいの原因となったマリを憎んでいました。彼は「嫁とは思っておらん」と言うばかりか、思わず「おふたりにはお子様も……」と言ったペリーヌに、「金ぐらい出してやるさ」と冷たい言葉を聞かせます。祖父に気付かれないよう声を押し殺して泣くペリーヌに、視聴当時、子供ながらに彼女に同情して、涙を流した人も多いはずです(第39話)。

 そしてついに祖父がエドモンの死を知ることになり、ペリーヌにとっては悲しい2度目のお葬式を迎えます。もちろん子供の時でも、人の死が悲しいことであることは分かりますが、大切な家族や親しい人の死を経験してきた大人なら、お葬式を2度もして、悲しみを繰り返すことのつらさに、心がえぐられるように感じるかもしれません。

 しかも、1度目は母と一緒に悲しみを分かち合えたペリーヌですが、この2度目のお葬式では母もすでに亡くなっており、祖父には自分が孫であることを明かしていませんでした。誰かと一緒に嘆くこともできないという彼女の状況は切なすぎて、大人はペリーヌのために涙を流してしまうことでしょう。

 他にも、『あらいぐまラスカル』『ふしぎな島のフローネ』『小公女セーラ』『ロミオの青い空』などにも、大人になって分かる切ないシーンがありました。日本アニメーションの公式HPや動画配信サイトをチェックして、大人になった今こそ再視聴をオススメします。

(山田晃子)

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