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『Zガンダム』なぜセイラは政治利用されず「放置」? 連邦・ジオンが手出しできなかったワケ

マグミクス / 2023年4月19日 6時10分

『Zガンダム』なぜセイラは政治利用されず「放置」? 連邦・ジオンが手出しできなかったワケ

■ミネバ以上の政治的価値がありそうなのにナゼ?

 セイラ・マスと言えば、アニメ『機動戦士ガンダム』のヒロインです。現在でも新作フィギュアが出されるほどの人気キャラクターですが、類いまれなる美貌と、高貴な性格、印象的なライバルである「赤い彗星」シャア・アズナブルの妹で、敵国ジオンを建国したジオン・ズム・ダイクンの娘という属性もあって、存在自体がヒロイン的と言えます。

 なお、ダイクン家やザビ家、サハリン家、トト家、クランゲル家など、宇宙世紀では「名家」が力を持っており、血統が人を束ねる理由にもなります。

 ザビ家最後の生き残りである、ミネバ・ラオ・ザビは本人の意志とは関わりなく、ジオンの象徴である生き方を強いられます。『機動戦士ムーンガンダム』に登場するミネバは、本物かどうかはわかりませんが、象徴としての生き方しか選べていませんし、恐らくは本物であろう『機動戦士ガンダムUC』のミネバも、立場を生かしてできることを模索しているように描かれていました。

 グレミー・トトが反乱を実行したのも「自分がザビ家の血を引いている」ことからのようですから、出生は非常に大きな政治的要素と言えるのではないでしょうか。

 そう考えると『機動戦士Zガンダム』以降のセイラが、世捨て人として生きていることは不思議にも思えます。彼女はジオン・ダイクンの娘であるアルテイシア・ソム・ダイクンで、存在自体が政治的な人物だからです。

 ジオン、特にシャアが率いる新生ネオ・ジオンからすれば、最大限に保護すべき人物ですし、シャアが倒れた後に、ダイクン派としては「アルテイシア様をお連れして」と考えても不思議はありません。セイラ自身は「父の後など継ぎたくない」と考えているでしょうが、ミネバと同様、本人の意志など無視して象徴にされてもおかしくありません。

 特に、スペースノイド相手に虐殺をしたザビ家のミネバより、セイラは穏健派(パラレルワールドの『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では異なりますが)であるダイクンの娘であり「スペースノイド統合の象徴」として、相応しい人物のはずです。

 シャアが消息不明となった『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の宇宙世紀0093年で、セイラは30~31歳ですから、年齢が若すぎることもないでしょう。

 一年戦争後のセイラは『機動戦士ガンダムZZ』の描写によれば、株式投資家として暮らしているようです。マンガ『THE ORIGIN』最終巻では、アストライア財団を立ち上げて、戦災孤児の救済に乗り出していると描かれています。マンガ『機動戦士ガンダム ピューリッツァー』でも、セイラが「私のやっている財団の仕事。戦災孤児の救済活動」と言っていますから、そのような立場なのだと考えられます。

 マス家は名家なので、財団をやる資産はあるのでしょうし、株式投資家というなら、社会活動をしないことも理解しやすくはあります。とはいえ、地球連邦政府はセイラの出生を把握しているでしょう。セイラは政治利用される可能性としては、アムロ以上の存在ですから、地球連邦はアムロに対してと同様に、監視して隔離していたに違いありません。

 隔離されていても、株式投資家であれば、社会活動はできます。セイラは『ZZ』で主人公ジュドーの妹であるリィナを保護しています。マンガ『機動戦士ガンダム ピューリッツァ』では、宇宙世紀0094年にリィナとイギリスの港町で暮らす描写があります。

 この作品で主人公キッカをセイラと会わせたのは、大きな政治力を持つルオ商会の幹部ステファニー・ルオです。ステファニーは、キッカに航空券を渡して「現地に飛んでみてのお楽しみ」と、セイラの存在をぼかした発言をしていますから、セイラの存在は隠蔽されていた可能性が高いです。

 セイラとリィナが一緒に暮らしているのは、ニュータイプの反乱を恐れる連邦政府が、反乱の火種になりかねない二人を保護・隔離しているからでしょう。

 なお『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』では、セイラの兄であるシャアの側近で、ニュータイプエンジニアであるアルレットは、セイラが妹で生存していることを知っており、かつシャアが関わるわけにはいかない事情を理解しているような描写がありましたが、それはセイラの存在が公然と知られている描写ではありませんでした。

 シャアはセイラに「ホワイトベースから降りろ」と命じているくらいですから、妹の生存を公言したりはしなかったのでしょう。連邦の思惑と、兄の愛情がセイラを世捨て人にさせているのだろうと、筆者には思えます。

 ただし、キッカがセイラに会った目的は「アムロの伝記を書くこと」で、取材に応じたセイラは「兄であるシャア」の話を多数していますから、その取材内容を、そのまま伝記にすれば「アストライア財団のセイラは、シャアの妹、つまりアルテイシア・ソム・ダイクン」と知られてしまう可能性が高いです。

 そう考えるなら「ホワイトベースの元クルーである、セイラ・マス」は亡くなったことになっており、取材した内容は「キッカがセイラの生前にホワイトベースで聞いた話」のように伝記化されるのかもしれません。『ピューリッツァー』は連載中であり、この辺りがどうなるのか注目されます。

(安藤昌季)

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