『ドラゴンボール超』で、界王神がポタラを活用しない理由 「全王が怖い」から？

■弱いのに問題にならない界王神

　世界的人気作『ドラゴンボール』の続編で、こちらもアニメ、マンガともに人気の『ドラゴンボール超』には「12の宇宙」が存在し、各宇宙の神々の頂点に立つのが「界王神」です。

　主人公・孫悟空のいる「第7宇宙」にも界王神はいます。『ドラゴンボール』では、宇宙の秩序を守るために、魔導師・バビディの魔人ブウ復活を阻止しようとして登場しました。

　本来、界王神の使命は星や生命を創造し、見守ることですが、当時は破壊神・ビルスが眠っていたため、自らブウ問題を対処しようとしたようです。ただ、界王神は「弱い」のが問題です。「魔人ブウ編」では悟空たちの強さに驚愕し、復活した魔人ブウには手も足も出ず、合体アイテム「ポタラ」を使って従者のキビトと合体しても、「足手まとい」と呼ばれるほどです。

　ポタラは劇中でも最強クラスのアイテムで、ふたつある耳飾りをふたりの人間が付けることで、合体できます。ふたりの戦闘力を、「掛け算」するほどのパワーアップ効果があるだけでなく、界王神しか使えない「時の指輪」も使用できるようになります。

『ドラゴンボール超』では、この「ポタラ」の設定が変更され、「人間同士がポタラで合体しても1時間しか持たない」「人間が合体した時に莫大な力を使うと、合体時間が短くなる」という設定となりました。

　しかし、界王神の関わる合体であれば制限はないはずなのですが、作中で「ポタラ」を活用している描写はありません。なぜなのでしょうか。

　悟空たちのいる第7宇宙では、西、北の界王神が殺害され、南の界王神とその上に立つ大界王神が魔人ブウに吸収されているようです。ちなみに、界王神と破壊神は「生命を共用している」とのことで、『超』では破壊神ビルスが「お前が殺されたら、オレも死ぬ」と、界王神に言っている場面もあります。

　他の宇宙の界王神がどうなっているのか不明ですが、第7宇宙と同じく東西南北の界王神がいて、その上に大界王神がいるのであれば（『ドラゴンボール超』では他の宇宙の大界王神や、方角の界王神は登場しません）、5人全てを殺害しなければ破壊神は死なないということで、あまり危機感がないのかもしれません。

　しかし、第7宇宙は東の界王神しかいないため、界王神が弱いことは著しい問題のはずです。実際「魔人ブウ編」で、界王神は魔人ブウどころか、バビディの手下である魔王ダーブラにも勝てなさそうでした。ちなみに第7宇宙の界王神と破壊神には、とてつもない実力差がありますが、他の宇宙は「東西南北界王神＋大界王神」がいるのであれば、この全員のパワーと破壊神の強さが同じなのかもしれません。

　せっかくポタラがあるのですから、「界王神は合体すればいいのではないか」と思ってしまいます。ドラゴンボールで分離できるようですから、他の宇宙の東西南北界王神や、大界王神と合体してもいいでしょうし、界王神見習いのザマスとゴクウブラックや、老海王神と魔法使いのばあさんのように、合体相手の片方が人間でも問題ありません。

　作中で、界王神はポタラの使い方を知りませんでした。間違って付き人のキビトと合体して、パワーアップしますが「元が大したことないんだから、魔人ブウに吸収されるのがオチ」と老界王神に言われます。老界王神は界王神にポタラの使い方を先に教え、界王神が悟飯と合体すれば、ブウを簡単に葬れたでしょう。また、そもそも命を共有している破壊神と合体すれば、弱い界王神の道連れで破壊神が殺されることも避けられるはずです。

　上記のようにしない理由は、ふたつ考えられます。ひとつは「破壊神ビルスの性格」です。ビルスはブライドが高く、かつわがままな性格をしていますし、自分の強さに強い誇りを持っています。いくら自分の命がかかっているとはいえ、自分より弱い界王神との合体はプライドに関わるのでしょう。

　もうひとつの理由としては、「全王の定めた『宇宙の秩序』に反する」から、という理由も考えられます。全王の機嫌を損ねれば、宇宙ごと消されることは「宇宙サバイバル編」でも描かれているので、破壊神との合体は有効だとしても、「論外」なのかもしれません。

　とはいえ、ポタラは悟空とベジータ以外にも使えるアイテムですから、界王神は「悟飯＋ピッコロ」みたいな別の（もっと聞き分けのいい人同士の）合体をさせてもいいのではないでしょうか。

（安藤昌季）